上官殿!
我らが『陸上自走隊 埼玉方面隊』の本部基地がある関東地方は、ようやく夏の暑さが和らぎ、季節は秋へ移ろうとしております!
しかし山岳地域においては紅葉が見頃を迎え、10月下旬からは雪が降り始めるなど、既に冬に向かっている状況であります!
そこで畏れ多くも、山岳訓練を実施することを進言致します!!
他偵察部隊は、これから秋に向けての偵察活動を行うと推測されております。
ここで上官殿の先見性を存分にご発揮頂き、他偵察部隊に先駆けて訓練を行うことで、大日本帝國軍部における上官殿のご偉功は、更に大きなものになること間違いございません!!
はっ!!
早速実施して参ります!!
今回の訓練地は、今年3回目となる北アルプスへ。
上高地から
槍ヶ岳(標高3,180m)を目指し、この時期であれば紅葉の美しい
涸沢を経由して、眺望に恵まれたパノラマコースを経て下山する、歩きがいのあるルート。
2泊3日の行程で、歩行時間は21時間30分くらいを予定。
その独特のフォルムに魅了され、多くの登山者に敬愛される槍ヶ岳への登頂へは、一般的なコースタイムで、上高地から9時間30分程度を要します。
よって1日目は、槍ヶ岳登頂に向けた移動日となります。
上高地へはマイカーでのアクセスは禁止されているため、手前にある沢渡にクルマを停め、バスにて上高地を目指します。(9:30)
30分程で、上高地バスターミナルに到着、河童橋に向かう。(10:10)
たくさんの観光客で賑わう河童橋は、上高地観光のメッカとなっており、周辺にはみやげ物店や食事処、ホテルが並んでいます。
観光客を掻き分けてしばらく進むと視界が開け、巨大な三角錐のような山容が特徴的な
明神岳(標高2,931m)が見えて来ます。
上高地から1時間ほどで明神館、2時間ほどで徳沢園という山小屋に到着。
道もキレイに整備されており、運動靴でも何ら問題なく森林歩きを堪能出来ます。
さらに徳沢から1時間、上高地から3時間ほどで、横尾山荘が建ち、避難小屋やキャンプ場がある横尾に到着。(12:40)
観光客が立ち入って良いのはここまで。
9割近い登山者が、左の横尾大橋を渡り、涸沢へと向かうルートを進んで行きます。
ワタクシ二等兵は、画像右の槍ヶ岳方面へ。
ここからは登山道らしい道になり、勾配も少し出てくる樹林帯の中を歩く。
岩の上を歩く箇所もあるので、ゆっくり登ります。
この辺りではまだ標高は1,700m程度ですが、既に紅葉が色濃い箇所も出て来ます。
そして1日目の宿泊地、
槍沢ロッヂに到着。(14:20)
2日目の槍ヶ岳登頂に備え、早めに就寝します。
2日目は、周囲が明るくなると共に槍沢ロッヂを出発。(5:40)
樹林帯を抜けると、テント場のあるババ平に出ます。(6:25)
東鎌尾根方面には、厚い雲が。
槍沢大曲り。(6:35)
先ほどの東鎌尾根方面へと向かう分岐です。
ここで槍沢ロッヂでもらった弁当を開き、朝ごはん。
あ、写真撮り忘れた。。。。。。。。。。
大曲から先は、ひらずら急登に挑み続けることになります。
天狗原分岐。(7:35)
ここから槍ヶ岳の肩までは約2km、高低差は750m。
急勾配が続くので、ゆっくり登ることを心がける。
そして、いよいよ槍沢カールの入口へ。(8:15)
晴天であれば画像右側付近に、槍ヶ岳の穂先が見えているはずなのだが、ガスに覆われ全く見えない。
この辺りで、標高は2,500m付近。
振り返ると、これまで歩いてきた道程が見え、これから続く急勾配に向け気持ちを新たにします。
クサリや梯子はないものの、登りはどんどんツラくなってきます。
一歩一歩ゆっくり、呼吸を整えながら進みます。
殺生ヒュッテ分岐。(9:09)
ほんの120m先にあるはずの殺生ヒュッテすら、全く見えません。
こんな状況ですが、殺生ヒュッテ分岐から先はジグザグの道となり、勾配は更に増します。
標高も既に3,000m近いため、高山病とまでいかなくても、息が上がる登りです。
ジグザグ道の直線部分を休まずに登り、次の直線に差しかかる手前で、立ち休みをして息を整えます。
ヌゥォォォォォォォォォォォー!!
素晴らしい眺望もなく、視界なき中での山岳訓練は、体力・精神力鍛練にはもってこいであります!
下山した後は、これまでより数段も違うワタクシ二等兵の姿を、上官殿にお見せ致しますぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉー!!
と決意を新たにしたワタクシ二等兵に、ここでも遠く離れた上官殿のご威光が届きます。
突然すぐ近くで鳴き声がしたので、そちらに視線を向けてみると。。。。。。
雷鳥さんが! それも二羽!!
(岩の上と岩陰)
わざわざ鳴いて、居ることを知らせて頂けるとは・・・・・・
上官殿のご威光に感謝しつつ、山の神様、雷鳥さん、ありがとう!!
意気揚々と、
槍ヶ岳山荘を目指します。
槍ヶ岳山荘は、槍ヶ岳直下の標高3,000mに建つ山小屋です。
そこまで行けば、上官殿の奇跡のようなご威光が再び発揮され、槍ヶ岳の穂先を望めるであろう。
さあ、どうだ!!
。。。。。。。。。。
全く視界なし。
更にここ3,000m付近は、雨も風も強く、眺望どころか槍ヶ岳穂先への登攀も危ぶまれる。
当然のごとく、山荘に登山者の姿はまばら。(9:45)
このような状況下で槍ヶ岳穂先の岩登りをしても楽しくないのと、明日3日目は天候が回復するという予報なので、頂上制覇を諦め早々に下山開始。
まっ、自然が相手なので仕方がない。
頂上からの360°大展望は、またの機会にとっておこう。
下山途中、ガスの切れ目から一瞬、槍ヶ岳穂先が見える。
山の神様のささやかなサービスかな?
この日は一気に涸沢方面への分岐のある横尾まで下り、横尾山荘に宿泊。(15:30)
3日目は、北アルプス有数の紅葉の名所、涸沢を訪れます!
続きは「秋季山岳訓練 後半」にて!!