上官殿!
”国道”と聞いて、上官殿はどのような道をイメージされますでしょうか?
主要都市を結ぶ幹線道路、距離が長い、旅行のときに通る道。
行き交う多数の車、道幅が確保された道路、走行には特段の支障もない整備状況。
これが一般的な感想と思われます。
そもそも国道とは、全国的な幹線道路網を構成する道路として、道路法に基づき国が政令で指定するもの。
新設はもちろん、維持・修繕・災害復旧その他管理も原則、国土交通大臣が行う事になっており(指定区間外を除く)、まさに「国が管理している」道路です。
しかし、中には国道として指定されているにも関わらず、前出のイメージとはかけ離れた国道も存在します。
そういった一般的なイメージとは正反対の国道は、「酷道」と呼ばれています。
酷道は各地に存在していますが、今回は我が『陸上自走隊 埼玉方面隊』基地から一番近い、国道299号にて走破訓練を行って参りましたので、報告をさせて頂きます!!
国道299号は長野県茅野市を起点とし、群馬県を通り、埼玉県入間市を終点とする一般国道。
ほとんどは国道らしい整備された区間ですが、群馬・長野県境の十石峠は、元は林道という成り立ちを持っており、その期待(?)を裏切らない酷道っぷりを発揮しているとの事。
その酷道区間を目指し、まずは国道140号を秩父方面に進攻。
秩父駅を通過すると、国道299号との交差点に遭遇。 ここを右折します。
秩父市街を抜けた所で一部急勾配となっている区間もありますが、概ね以下のような快走路を進みます。
左手に見えてくる、巨大な東京電力の秩父開閉所を通過すると、やや道路状況に変化が。
集落では2車線道路
そうでない区間はセンターラインなし
と、志賀坂峠に向けて広狭が混在している道を進みます。
狭路区間は快走出来るとは言えませんが、交通量が少ない事もあって走りにくいとは感じない。
また既に山間地域に突入しているが、勾配・カーブともに緩やかなので、まだ酷道とは程遠い状況です。
志賀坂トンネルを抜けると、志賀坂峠に到着。
木々に視界を遮られているので、特にこれと言って見るものはありませんが、酷道訓練報告としては「連続雨量120mmで通行止め」の群馬県からのお知らせが、峠に華を添えています。
峠を離れると、一般的には急勾配・急カーブの範疇に入ると思われる道を下って行きます。
が、道路そのものの状態は比較的整備されており、センターラインのない箇所も道路幅は乗用車が難なくすれ違いできます。
視界が開け始めると、国道462号との交差点に突き当たります。
ここを左折。
左折するとすぐに、集落内の狭路を走らされます。
狭い所では乗用車同士のすれ違いすら出来ない上に、対向車も多い。
狭路区間は長くはないものの、交通量が多い事と、大型車両も通る区間である為、通り抜けるのに難儀する区間です。
この後は、しばらく快走路が続く。
道沿いには神流町恐竜センターといった施設もあり、行楽と思われる車も走っています。
神流川を渡った先で、国道299号の旧道と交差。
そしてその先ではスッパリと1車線がなくなってしまいます。
ここから600mほど走ると、群馬県道45号との交差点が現れます。
右折すると塩之沢峠を経て南牧村・下仁田町に至る事ができ、酷道299号のハイライトとも言える十石峠を迂回する最後の地点です。
ここまではそれなりの数の車が走っていましたが、ほとんどの車は県道へと進んで行きます。
当然ワタクシ二等兵は直進。
交差点の先には、十石峠に向かう者に大型車に対しての警告看板が立っています。
”通行は御遠慮下さい”という、何とも微妙な言い回し。
2〜3分で、ゲート登場。
怪しさ全開、この画像だけ見れば、ここが天下の国道と思う人は少ないはず。
警告看板には、遅すぎる”大型車通行不能”の文字が。
ここで言われても、周囲に大型車が転回出来るような場所はありません。
いよいよ酷道区間に突入です。
ここから先は台風による土砂崩れで、1999年から2004年まで、5年間も通行止めとなっていた区間。
国道なのに。
現在も降雨により、たびたび通行止めとなる区間。
国道なのに。
12月下旬から4月上旬まで、1年の1/4以上が通行止めという区間。
国道なのに。
ゲートを通過すると、道路状況は激変。
道幅は一気に1車線となり、路面も凹凸が目立って来ます。
右側の法面では砂防ダムを建設中。
工事で出た土を、端ではあるが路上に積まれると言う、国道らしからぬ扱いを受けている。
その先には小崩落現場が。
右側土の法面が崩落しているが、木の柵を設置するのみで、修繕の意思なし。
そんな状況ではあるが国道標識はきっちり立てられており、改めてここが国道だと認識させらます。
左斜め前方を指し示す補助矢印があるが、この状況を見れば右に進む者はいないと思われる。
カーブの連続する狭路をひたすら進みます。
関東最凶の酷道と名高い十石峠ですが、ガードレールの設置率は比較的高く、カーブミラーもそれなりに設置されています。
交通量は極少ですが、この区間で対向車に出会うと当然すれ違い出来ないので、どちらかが離合出来る場所まで後退する事になります。
神経をすり減らしながら狭路を走っていると、群馬・長野県境の十石峠に到着。
峠には車10台ほどが停められる駐車場にトイレ、展望台まであり、これまでの道路状況からは想像できないほどの設備が備わっています。
いつもはほとんど車の通らない峠ですが、週末のせいか数台の車が停まっていました。
長野側は当然下りとなります。
整備状況・道幅ともに、群馬県側とほぼ同等です。
酷道区間、長野側端点。
ここから先は、再びセンターラインのある快走路へと戻ります。
以上、報告を終わります!!
<オマケ>
国道462号から、下久保ダムへ。
SG式車両と比べると、その巨大さが分かります。
ただしここへは、ご覧のような超急勾配をクリアする必要があるので、特に冬期はお気をつけ下さい。