上官殿!
夏真っ盛りではあるのですが、我ら「陸上自走隊 横浜方面隊」基地のある関東地方および周辺地域含め、何故か週末に天候が崩れることが多いのであります!!
(上官殿)まぁ確かにそうではあるな。
野営を伴う訓練実施が難しいため、単日での山岳訓練を行いたいと考えております!
今回の訓練地は、浅間山外輪山の最高峰である「
黒斑山(くろふやま)」です。標高は2,404M。
まず
浅間山ですが、過去数万年の間に幾度と無く噴火と山体崩壊を繰り返してきた極めて活発な活火山であり、周囲に複数のカルデラを擁しています。
黒斑山があるのは、その中で一番外側にある第一外輪山と呼ばれる場所です。
山岳訓練を行った当日、浅間山は噴火警戒レベル2に指定されており、山頂部には立ち入ることが出来ません。
それを知りながら、何故わざわざ訓練地として選択したのかと言うと、それは浅間山そのものを鑑賞するためです。
浅間山は、富士山と同様に観賞用の山として非常に見栄えがする山です。
遠くからでも一目でそれとわかるそのプリンのようなシルエットは、目の前で見れば迫力満点。
と言うことで、巨大プリンを眺める外輪山巡りに繰り出しましょう!
《
関越自動車道 → 上信越自動車道》
早朝に「陸上自走隊 横浜方面隊」基地を出発。
関越道を北上し、藤岡JCTから上信越道へ。非常にいい天気!今日の訓練が楽しみです!!ヾ(○´▽`○)ノ彡☆
ところが!
長野県に入った途端にこの曇り具合・・・正面に見えるはずの浅間山は、影も形も見えず。今日の訓練は先行き不安です・・・(°_°;)
ところがところが!!
《
高峰高原ビジターセンター》
登山口にほど近い駐車場に着いた時には、ご覧の通りの快晴!
山の向こうはこんな晴天だったのですね。ホント山って行ってみないと分からない。
本日はここ(車坂峠)からスタートし、外輪山最高地点の黒斑山へ登頂。
その後、外輪山の端に位置する鋸岳まで縦走し、火口原へ下り立入制限エリアの境界まで行きます。
下山は再び外輪の稜線まで登り、スタート地点の車坂峠へ。
コースタイムおよそ7時間。
《
黒斑山登山口》
黒斑山への登山道には、表コースと中コースの二つのルートが存在します。
表ルートは展望が良いが、道中は登り下りを何度か繰り返す。
中コースは最短距離の登りだが、樹林帯の中を進むため展望皆無。
ここは当然、表コースへと進みます。
まだ朝の時間である樹林帯は、静けさに包まれています。
自分の息づかいと足音以外、わずかな風の音と鳥の鳴き声のみが周囲に響きます。
歩き出しは、小さなアップダウンを繰り返して少しずつ標高を上げていきます。
とは言え、そこは登山道。
徐々に傾斜はきつくなっていきます。
そこそこ傾斜はキツくなっていきます ε=( ̄。 ̄;A フゥ…
歩き始めて30分ほど、森の中から視界の開けたガレ場に出ました。
いつの間にか、眼下に雲を見下ろせる高さまで来てたのですね。
雲の下は小諸市街地。遠く向こうに見えるのは八ヶ岳連峰です。
再び樹林帯に突入。一歩一歩進むごとに確実に標高は上がっていき、
この長い階段を登り切れば、樹林帯を抜け一気に眺望が開けます。
《
槍ヶ鞘》
外輪山の稜線に乗る場所。
目の前には浅間山が、その雄大な姿を見せつけます。
外輪山上の最初のポイントである、トーミの頭が見えました。
まずはあそこを目指して進みます。
これまでの手入れされた登山道から一転して、ガレ場の急登。
《
トーミの頭》
なんとも不思議な名前をしておりますが、トーミとは遠見(とおみ)が訛った結果だそうです。
トーミの頭からは、浅間山の全体の姿を拝むことが出来ます。
活火山の証しである黒々しい山体と、麓に広がる鮮やかな緑。
写真ではなかなかスケール感が伝わりませんが、惚れ惚れするほど美しく巨大な山です。
ちなみにトーミの頭の足元はこの通り、断崖絶壁。目も眩みそうな高度感です。
浅間山を正面に左を見ると、これから歩く外輪山の稜線が。
予定では、外輪山の端にある鋸岳まで縦走し、その後に下の火口原へ下ります。
一番高い所が、黒斑山山頂です。
山頂手前の緑が剥げている部分、4人パーティーが登っているのが見えますね。
写真を撮り終えたら、そのまま黒斑山へと向かいます。
左に見える黒いのは、黒斑山山頂付近に設置されている火山活動観測施設の電気・通信ケーブルです。
《
黒斑山山頂》
標高2,404M。
山頂はあまり広くなく、浅間山側の展望のみ開けています。
トーミの頭より少し標高が上がったので、火口が見えます。
噴煙が立ち上ってますね。
ここで、下界で買ったコンビニおにぎり2つと唐揚げを食べながら休憩。
満足したところで、山岳訓練を再開します。
黒斑山山頂からは、再び樹林帯。
しばらく歩くと、視界の開けた崖際の場所に出ました。
この道が本当に気持ちイイ!
浅間山を右手に望みながら、最高の稜線歩きを楽しめます。
やたらとゴツゴツ、岩が露出したピークが見えてきました。
ピーク直下はちょっとした岩場となっています。
今回の訓練で唯一手を使って登った場所です。
《
蛇骨岳》
外輪山のピークの一つですが、名前がカッコイイ以外には取り立てて特徴の無い場所です。
この辺りになると外輪山の向きが変わって、正面に浅間山の姿が見えるようになりました。
右側は相変わらずの断崖絶壁です。あまり近づきすぎないように。
どんどん先へ進みます。
外輪山の稜線は、緩やかなアップダウンを繰り返しながら、浅間山本体へと近づいていきます。
《
仙人岳》
特にこれと言った何かがあるわけでもない、ただの稜線上の一ピークです。(サクッと通過)
先にある鋸岳に向かいます。
Jバンドと呼ばれる、下の火口原へ下る道の分岐までやってきました。
一旦は通過して、外輪の先端部分まで前進します。
一番端が見えてきました。あそこが稜線歩きのゴールです。
鋸(のこぎり)の名を冠した山は日本全国に多数存在しますが、この山の鋸っぽさはかなりのハイレベルでは無いでしょうか。
現時点での、ベスト・ワン鋸の称号を送りたいと思います。
《
鋸岳》
ここまで近づくと、浅間山本体はスマホカメラでは全く収まりきらないほどの大きさ。
麓には広大な裾野が広がっています。
なお浅間山の登山道はすべて長野県側にあり、群馬県側からアタック出来る道は存在しません。
過去におきた浅間山噴火の溶岩流が、すべて群馬県側に向かって下っていったと言う事実がその理由です。
《
Jバンド》
分岐まで戻ってきました。ここから外輪山下の火口原へと下ります。
高度感バツグン、断崖絶壁の脇を下っていきます。
慎重に降りていけば、取り立てて危険と言うほどの道ではありません。
降り切ったところ。
個人的にですが、まるでジブリ映画に出て来そうな光景が広がっています。
ちなみに、下ってきた道を見上げるとこんな感じです。
まあ、なんと言うか崖ですね。
この後、上まで登り返さなければならないという事実は、ひとまず忘れることとする。
そして浅間山本体。やはりこの山はとてつもなく大きい。
湯ノ平口方向に向かって、谷底の道を歩いていきます。
この付近一帯は、賽の河原と呼ばれています。
《
賽の河原分岐》
噴火警戒レベルが2以上の場合、この先は立ち入り禁止。
このように厳重に封鎖されます。
もちろんワタクシ二等兵は、最初から浅間山を眺めに来ただけなので、規制突破なんてリスキーな行為に手を染める気は毛頭ございません。
《
湯ノ平口》
このまま真っ直ぐ進むと、浅間山登山口に到達します。
目の前に絶壁にようにそびえ立つ外輪山。
あの向こうに行かないと、登山口には戻れません。
正面に見えている岩が、行きに通ったトーミの頭です。
下から見上げると、こんな感じだったのですね。
《
草すべり》
かなりの急斜面を登ります。
上からは真夏の太陽が照りつけ、瞬く間に大粒の汗が噴出してきました。
ぜーはーぜーはー (;´Д`)
おかしいな。下山ってこんなに苦しいものだったっけ。。。
振り返るとこんな感じです。物凄い急斜面であることがお分かりいただけるかと思います。
急登と登り続けること、およそ1時間。
やっと、行きで通った外輪山の稜線上まで戻ってきました。
登山口へ戻ろうとしているので、先ほどの急登も、登っているのに下山中であるわけです。うーん・・・
再びトーミの頭から、浅間山を眺める。
そのプリンのような姿を、惜しげもなく見せつけ続けていました。
さて、今度こそ本当の下山?を開始しよう!
帰りは中コースを通ります。
コースタイム的にはこちらのルートが最短。展望皆無な樹林帯の道ですが、もう展望はお腹いっぱい。
展望は皆無ですが、道中を楽しもうと思えばいくらでも楽しめます。
蜂さんと蝶々が、仲良く蜜を堪能中。
快調に飛ばして、トーミの頭からは一時間かからずに、高峰高原ビジターセンターまで戻ってきました。
黒斑山における山岳訓練は晴天の下、大成功のうちに終了しました。
例え浅間山本体に登ることが叶わずとも、外輪を巡るだけでも十二分に満足の行く登山が可能です。
目の前にそびえ立つ浅間山を見上げれば、「大きいことはいいことだ」と言う言葉が持つ迫真性を、ひしと感じることが出来るでしょう。
「鑑賞用の山」として、非常にオススメします。
<コースタイム>
登山口(7:40)-トーミの頭(9:00)-黒斑山(9:15~9:35)-蛇骨岳(9:55)-仙人岳(10:10)-鋸岳(10:35)-賽の河原分岐(11:15)-湯ノ平口(11:30)-トーミの頭(12:25~12:45)-登山口(13:40)
「お疲れ、自分」
(おわり)