2015年09月20日
唯我独尊9、四(^_^;)花絢爛、2列座シートワゴンの迷走
時事ネタで退かれたところで前回の続き。
またまたЯVRとは違ったアプローチ。
今度は世紀末にロクイチと同じくして登場した2列座ワゴンの世界を。
バブルは崩壊し、RVもクロカンテイストが敬遠された転換期、
「2列座ワゴンの最後の抵抗」
がささやかながら繰り広げられた。
とはいえ、その実情は通常の2列座ワゴンであるステーションワゴンがもはやスバル勢の圧勝になり、他社は模倣までして追い掛けるモノの撤収を繰り返すようになる。
その逃げ道を模索していたようにも見える。
まず97年に日産からフルスパン2列座ハイトワゴンである「ルネッサ」が登場する。
基本はアメリカ産まれのフォーマットだったがこれを5座にする事でとてつもない車内空間を稼ぎ出す。
2m以上もの室内長を2列座でフルに使うのだから居住性は半端なく、フロントシートを回転対座させることまでやってしまう。
但し出自がバッテリーを積む電気自動車だった事で上げ底が凄まじく、ЯVRのようなモノフロアを作るも室内高が普通の乗用車であった。
言ってしまえばЯVRと室内の使い方が逆であった。
またアメリカンサイズが祟って2lターボと2.4lはすこぶる重く、幅もスキンから3ナンバー越えだった。
これにはトヨタもツッコみを入れた(-_-;)。
翌年にルネッサの筐体をイプサムのパーツで真似た「ナディア」が登場する。
3列座ワゴンを切り詰めて2列座にした生い立ちはЯVRと同じだが車内は大きくいじらず車体もルネッサと違ってスキンは5ナンバーに収めてる。
コレも3列座の寸法を2列座に割り振ってるので寸法の余裕にとってあるのだが、レイアウトはルネッサに近かった。コイツも前席回転対座に対応してたように記憶してたが確認は出来ない。
まぁ冒頭で「真似た」と人聞きの悪いことを言ったが、どう見てもルネッサとЯVRのイイトコ取りを狙った車にしか見えなかった。
しかもЯVRスポーツギアの対抗馬かTypeSUなるワイドホイールアーチにハイトサスの仕様も登場する。
~もっともそう言う車を翌年に出せるわけも無いというのは考えたら解る事だが
なお,当時トヨタのラインアップは余程余裕があったのか、半身サイクル後に「Opa」なる前後ウォークスルー2列座ワゴンも登場している。
しかしいずれも5座ワゴンの市場開拓には至らず、ЯVR共々4~5年のきら星に終わることになる。
もう一つのアプローチがあった。
「2列6座ワゴン」
だ。
ルネッサと同じくして日産は「ティーノ」を登場させる。
車体はもうサニーから目一杯膨らませたようなまん丸ファットボディーに幅一杯の3人掛けシートを2列擁した。
その一方で全長はЯVRより短く更にホイールベースが詰められて旋回性がいい。
2列並んだ3人掛けシートだが前後のその構造が大きく違う。
フロントはベンチシートの中央を倒せば超大型アームレストに出来、パッセンジャー感を持たせられた。
一方リアはナンと欧州ワゴン張りの全席着脱式で、しかも組み替えによって一個シートを取り払って2座に組み直すと左右のみならず前後方向にも異常な余裕が出来る。しかもオプションで一つはビルトインチャイルドシートが仕込まれている優れものだ。
全部取り払うと前席だけで3人乗ってもその後ろのラゲッジはファットボディーも相まって相当な空間になる。
こんなに創意工夫に富み空間性も高いワゴンだったが、やはりと言うかどうしてもと言うか、3ナンバーに張り詰めたファットボディーに当時は相当な抵抗があり、リアシートも使わない時どこ置くのって家庭事情では持て余した。
やはり先の2車の後を追うように5年の命だった。
こっちにツッコみを入れたのはホンダだった(-_-;)。
トヨタのようなガチ勝負を避け、ティーノの販売が終わった翌年、「エディックス」を登場させる。
デザイン的にはフィットをそのまま膨らませたようなスタイルでこちらもショート3ナンバーだった。
こちらの「お勉強」は複雑なパーツ式リアシートは辞めて単純にスライドシートのみとした。
ソレでは横3人掛けは幾ら3ナンバーボディーでも窮屈だ。
ホンダの回答は明快だった。
前後とも中央座を後ろに半身退がらせて肩の干渉を避けたのだ。コレは車のエンブレムにまでアイコンに描かれている。
この割り切りは支持されたのか、時代を逸した感があってなお売れ行きを残し、しかしけっきょく5年でその販売を終了する。
こうやって振り返ると2列座ファットワゴンはエディックスを別として世紀過渡期の5年でしか販売されていない。
おおむねユーザーからは受け容れられなかったのだ。
特に日産は分野進出もさることながらその設計も意欲的で、なんでモデルチェンジさえされなかったが悔やまれる。
これらの車には3列座ワゴンには無い「空間創世」と言う考え方が息付く。
しかし市場が選んだのはセパレートシートあるいはより多くの座席、その座席の折り畳みに偏重していった。
その使い方の根底を考えるとけっきょくは「無駄遣いの効率化」であり、かの車のような豊かさよりはむしろ発想の貧困さがついて回る。
その意味で私は3列座ワゴンが正直嫌いなのだ。
日本車って、取捨選択の誤りの連続じゃないのかなと思ってしまう。
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Posted at
2015/09/20 22:12:07
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