※長文注意 レビューオタな投稿主のため、長文になっております<(_ _)>
【主要諸元】
全長×全幅×全高 4820×1820×1465(mm)
車両重量 1660(kg)
最小回転半径 5.3(m)
駆動方式 FR
ミッション 7AT
タイヤサイズ 前/後 245/45R17
10.15モード燃費 9.0(km/L)
エンジン
形式 : M272
V型6気筒DOHC 2496(cc)
204ps/6100rpm
25.0N・m(kg・m)/2900-5500rpm
エンジン・トランスミッション(パワートレイン)にスポーティーな要素は無く、通常の走行では存在感が薄い。
走行性能において際立つのは、高速域で特に際立つ4輪の接地感と、ボディーの横方向の無駄な動きが無いことによる後輪の圧倒的なスタビリティ。
・パワートレイン
エンジンは初期のスロットルレスポンスが抑えてあり、悪い意味では緩慢な印象だが荒い踏み方でもジェントルな振る舞いを行うことが可能。
2500ccの自然吸気エンジンという事もあり、スロットルペダルを深く踏み込んでいったときははっきり言ってアンダーパワー。
特に、高回転域はもっさりしており回して云々言う類のエンジンではない。
個人的な感覚ではもう少しパワーが欲しい。
ただし、普通に走る分には不足のない程度の動力性能は確保されており、安楽な車の乗り味にマッチしている部分もある。
7速ATは同乗者には変速した感じを伝えないが、ドライバーには回転計の動きとごくわずかな変速ショックで伝えるようなセッティング。
ATのロックアップはアクセル開度にもよるが、一般的な加速だと2速20km/h強あたりからロックアップ開始。
一度ロックアップした後は、よほど荒いスロットルワークをしない限り全域でロックアップを維持。
シフトレバーの操作によるマニュアルモードも装備されているが、こちらもレスポンスはずいぶん控えめで、シフトダウン・アップ共にかなりのタイムラグがある。
その分、シフトダウン時の変速ショックは、プリッピング制御が入らない割にはかなり少なめ。
ただし、1速へのシフトダウンは「ガツッ」といったショックを伴うので、2速までの使用にしておいた方が無難。
以上のようにパワートレインの印象は、レスポンスなどよりもとにかく安全第一、シームレスという感じで、ドライバーの操作(特に急のつく)に対して穏やかに反応する。
意図的に荒い操作をしても車がそれをなまして反応するので、至極安楽な乗り味を維持。
しかし、ATの変速をドライバーにはしっかり伝えるセッティングになっているあたり、ドライバー完全無視というわけではなく安全に車を走らせるために必要な情報は伝えるという印象を受けた。
ちなみに、ドライブモードセレクターは「C(コンフォート) / S(スポーツ)」と2種類あるが、Sモードの場合はシフトアップタイミングが気持ち引っ張り気味になるのと、1速発進になるので出足の加速は良くなる。
ただし、Cモードの2速発進は非常にマイルドかつシームレスで、エンジン回転数を上げ過ぎずに加速できるあたりはトルコンの良さが全面に出ている。
また、Sモードではスロットルレスポンスが幾分マシになるが、いかんせんトルクが細いため電スロの引き出し的に厳しく、基本的な印象は変わらない。
ATのシフトスケジュールに関しては、一般道での常用回転域は~2500回転、高速道路で~3500回転程度。
一般的な発進加速では1400~2200回転辺りを維持しながら変速していき、7速は80km弱で到達。
各ギアのステップ比が小さいため、特定のギアで引っ張ったりする余計な動きが無く個人的には非常に好印象。
全体的な印象としては、出来るだけ低回転域に執着し、求められている出力を発揮できる最低限の回転数を選択するようなシフトスケジュールで、意図的に深くスロットルを踏まない限り3000回転以上に上がることはまず無い。
巡行時の回転数は、7速100kmで約2100rpm、5・6・7速が近いギア比で、市街地では6速以上を使う場面はほぼ無い。
・ボディー、サスペンション
高速走行における早い入力や大きな段差を通過し強い入力を受けた際においても、ピクリともしない高いボディー剛性。
また、後輪を軸にして前輪から向きが変わるため、ボディー後半部分の横方向の余計な動きが無く、安心してレーンチェンジ・コーナリングが行える。
試乗者はタイヤバランスが要因と思われる走行振動があったのが気になったが、それによる車両挙動の乱れや直進安定性への影響、ステアリングへのキックバック等の影響は皆無であり、基本となるサスペンションとボディーの造りこみがなせる業とも感じた。
また、高速道路上の陥没等で、フロントサスペンションの底つきと思われる衝撃感が何度か発生したが、不思議なことに車両の挙動とタイヤの接地感は一切乱れず、ステアリングへのキックバックも少なく、何事もなかったかのように処理した。
サスペンションは積極的にストロークさせるセッティングで、低速域では若干コトコト感を覚えるが終始快適な乗り心地を提供。※詳細は乗り心地の項目に記載します。
ただし、柔らかいとはいえ、フワついた足回りではなく柔らかい中にもしっかりダンピングは効いているので、走る上での安定感はしっかり確保されており、高速域は特に得意分野。
また、ソフトな足回りの割にはなぜかロール少なく、コーナリング中も非常に安定している。
ただし、高速域が得意といっても、超高速域では流石に走りの鋭さ・安心感に陰りが見えてくる。
ある速度域から上は、綱渡り感が出てくるのだ。
しかし、E250のエンジンパワーに見合った速度域にサスペンションをチューニングしている可能性も十分考えられることから、自然なフィーリングとも思う。
いずれにせよ、日本の道路環境で綱渡り感の出てくる速度に達することはまずない。
・ステアフィール
低速域から高速域まで遊びはなく、速度による変化がない終始重厚なフィーリング。
遊びはないと書いたが、ガキンガキンのレスポンスではないため、路面からのキックバックやワンダリングは極々少なく、なんだか不思議な感覚。
これ以上クイックすぎるとこの手のサルーンとしては少々過激なレスポンスとなり疲れる要因となるし、かといってゴムが捻じれるようなあいまいな感覚はなくしっとりとしたフィーリング。
また、コーナリングは安全性を重視してか弱アンダーステアな特性。
今回の車は、245/45R17・3年落ち6部山程度のレグノGR-XTを履いていたが、ボディー&サスペンションの能力に対してタイヤのキャパシティが負けていた印象。
まだまだ太いタイヤを履かせても面白くなるような気がした。
今回の走行シチュエーションでは本格的なスポーツ走行は出来なかったが、道中の軽いワインディングでの印象は通常の走行と変わらず、後輪は絶対の安定を見せコーナリング特性は弱アンダーステア。
もちろんステアリングを切った分だけ曲がってくれるが、何も起きずにとにかく安定志向。
積極的にワインディングに繰り出して、レスポンス云々というタイプの車ではない。
・ブレーキ
初期のペダルタッチの剛性感はそれほどでもないが、そこから踏み込んでいった際の制動力の立ち上がりが自然でリニア、効きも十分以上。
超高速域からの強めのブレーキングにおいてもジャダーの発生は皆無、非常に安心感の高いブレーキと感じた。
ただし、μの高いパッドを使っているのか、停止直前はかなり慣れないとカックンブレーキ気味になる。