昭和40年代男。
第八回は、雪のハナシでも。
ボクが生まれたのは北海道の札幌市。
国道36号線で千歳に向かって走ったところ。
郊外の住宅地に住んでいました。
内地(本州)の人に「温泉くんは北海道のどこだい?」って聞かれて
『札幌です』っていうと
「札幌なんて都会だねぇ」って言われます。
たしかに札幌の都心部は都会だけど、僕の住んでたところは住宅地のエッジで、家の前の道を挟んで向う側はヤマ(雑木林)でした。
冬になると、札幌は雪に包まれます。
秋が深まって寒くなってくると、雪虫っていう虫が飛んできます。
蚊くらいの大きさで、お尻に綿毛みたいなのが付いてて、雪みたいに舞っているのです。
その雪虫を見ると、そろそろ初雪が降るなって思うのです。
初雪が降ると、子供は大喜びします。
毎年冬には雪が降るのに、それでもやっぱり初雪は大喜びなのです。
でも一方で、大人は嫌がります、雪かきが大変で道も悪くなる、長い冬の始まりだから。
初雪は一回降っても、すぐ溶けてしまいます。
その後また雪が積もって、それが溶ける前に次の雪が降ると、それが根雪になります。
僕が子供の頃、家のクルマはカローラでした。
FRのセダンはケツが軽いので、すべる路面には弱かった。
当時は雪道にはスパイクタイヤが当たり前で、道路の除雪もあまり行き届いていなかったので、雪が積もるとワダチが出来て、運転が難しかった。
バス通りは雪が解けていても、脇道に入ると道路はぐちゃぐちゃ。
どこかでクルマが雪にハマっている音がすれば、脱出のために車を押しに行くのは、札幌ではよく見る光景でした。
初雪が降る前に、夏タイヤからスパイクに交換するのですが、それは温泉少年の仕事でしたww
小学生のころから、父親と一緒にジャッキアップして、十字レンチでタイヤ交換していました。
ジャッキアップと言っても、ガレージジャッキなんていうものが個人宅にあるような時代ではなく、当然の車載ジャッキ。
しかし当時の車載ジャッキは、ハンドルも組み立て式ではなくて一体型、握る部分にはプラスチックのパイプがついていてクルクル回るような仕様でした。
今よりも「使える」ジャッキが搭載されていたのです。
北海道の道路は広くて走りやすいっていう人がいますが、それは夏だけのこと。
道路に積もった雪は、除雪車(通称「ブル」)が来て、道路わきに雪を積み上げていきます。
こんな車両がホントに走ってて、雪を道路脇に押し付けていきます。
だから、歩道なんてものは、あっという間に雪の山で埋まります。
それでもその雪山の上を歩いて、子供達は学校に通います。
学校の周辺はスクールゾーンになっていて、さすがにこの辺りは歩道も除雪してくれます。
ロータリー式の除雪機で、雪を遠くまでぶっ飛ばします(^O^)/
冬の北海道は雪・雪・雪の雪だらけになります。
家の屋根に降った雪は、三角屋根から滑り落ちて、家の横に積もります。
家の前に停めたカローラにも、たっぷり雪が積もりますので、ほうきで雪をおろします。
または洗車ブラシで、ボディの雪を払い落とします。
落とした雪は、ジョンバーとかスコップで、家の前に山積みにします。
積みきれなくなった雪は、空き地に捨てます。
通称「ボブスレー」と呼ばれるプラスチック製のソリに雪を積み込んで、空き地まで運んで捨てます。
捨てられた雪は、隣近所から集まるので、一冬の間に山になり、どんどん成長します。
僕が小さい頃に発売された『ママさんダンプ』は、雪かきの革命でしたね。
初めは鉄製で重かったけど、のちに樹脂製の軽くて丈夫なダンプになって、今では一家に一台ダンプがあります。
雪国の子供は、冬でも外で遊んでいました。
ヤッケとかアノラックと呼んでいた上下セットのナイロン製の防寒着で完全防備ww
靴は長靴、母の編んだ毛糸の手袋は左右の間を1mくらいの毛糸でつないであって、無くさないようになっていました。
手編みの手袋は、5本指は難しいので、「ぼっこてぶくろ」です(ミトンのこと)
子供の遊び道具で一番人気だったのは、『ミニスキー』!!
スーパーや文具店で売っていた、プラスチック製の長さ4~50センチのスキー板です。
スキー靴は不要で、長靴にベルトで固定する仕様でした。
長さが短いので、坂を滑り降りると云うよりは、スケーティングで進むものでした。
もう一つ、『ボブスレー』!!
昭和の小学生は、ひとり1台の「オレのボブスレー」を持っていました。
雪を運ぶのに使っていたり、スーパーで買い物した荷物を運んだりにも使いますが、本来は子供のおもちゃ。
これは斜面を見つけて豪快に滑ります。
時には1台のボブスレーに無理やり二人・三人と乗り込んで、斜面に突っ込んでいきますw
ボブスレーから突き出した足のかかとで、右左に自由に曲がります。
中には立って乗るツワモノもいましたが、たいてい坂の途中でコケます。
僕の実家の周りには、造成地がたくさんあって、斜面は豊富にありました。
友人のカズオくんは米屋の息子で、普通の3倍くらい大きい「配達用」のボブスレーを持ってきてくれて、友達全員で乗り込んで滑りました(^O^)/
そりゃもうお祭り状態ww
でもボブスレーもミニスキーも、道路で滑ったり、道路に向かう斜面で遊んだりして事故に会う子供がいて、学校で問題になったり(>_<)
あぁそれでも子供はやめられないのでした(^O^)/
※ちなみにプラスチックのそりをボブスレーと呼ぶのは昭和40年代生まれの札幌人だけらしいですwww
子供は冬になると、長靴を履きます。
長靴の上部には暖かそうなフワフワが付いた、防寒長靴です。
月星とかミツウマとか。
そして、靴底にはスパイクがついた長靴がすごく流行りました。
『3段スパイク』とか『ロータリースパイク』とか『36本熊のツメ』とか新しいアイテムに興味シンシンで、早朝の凍った水溜りを見つけると、その威力を試すべくスライディングでグリップ力をみんなに見せ付けるのでした。
中学生になると、ひざ下くらいまである特長という長靴がツッパリ君のアイテムになります。
でも、長いからと云って、入口がすぼまった防雪長靴は、通称「汲取り長靴」と呼ばれてまったく評価されませんでした。
その後、ゴム長靴に変わって登場した『スノトレ』が子供靴の主流になっていきました。
北海道に降る雪はパウダースノーだとよく言われますが、それはハイシーズンの山の上でのこと。
地域や季節により変わります。
気温が低いと粉雪(パウダースノー)になり、帽子に付いても雪の結晶が見えたりします。
喜んで雪だるまを作ろうとしても雪同士がくっつかないので、形になりません。
マイナス5℃以下になると、雪の上を歩いた時に「キュッキュッ」と音がします。
踏んでも固まらない雪は歩きにくいし、子供には楽しくない雪です(それでも降れば楽しいのですがw)
気温が高いと降ってくる雪が大粒になります。
ボタ雪とかぼたん雪とか言ってました。
これは雪が湿っぽいので、雪玉が作りやすい。
雪だるまも転がすだけで勝手に大きくなります。
この雪なら歩いても足元がしっかりして、スタッドレスも効く状態です。
雪かきには重労働なこの雪は、子供が大喜びする雪です。
2月になると札幌は『雪まつり』の季節になります。
雪まつりというと、観光客がドッとやってくる札幌観光の目玉行事でしたが、観光客が来るのは「大通り会場」ばかり。
もうひとつ「真駒内会場」っていうのがあって、そっちは見る雪像よりも、巨大滑り台なんかが作られていて、地元の子供が大喜びする地元ファミリー向け会場なんです。
真駒内会場に行きたかった温泉少年は、親におねだりしましたが、人混みがすごいので親はなかなか連れて行ってくれませんでした。
それでも一回だけ連れて行ってくれた思い出があり、兄弟で狂ったように遊んできたのを覚えています。
いまはもう「真駒内」は無いけど、第二会場は作られてるみたいです。
僕が通っていた小学校では、冬になると校庭に水撒きをしてスケートリンクを作っていました。
体育の授業でスケートをやります。
土日は解放してましたので、スケート靴を肩にかけて学校まで歩いていきます。
高いところに旗が上がっていて、色でリンクのコンディションを表現していて、寒い晴れた日はOKだけど、大雪で雪かきが出来ていなかったり、春になって気温が上がると解放不可の日もありました。
小学生は授業もあるのでMYスケート靴を持っていて、女の子はフィギャー(フィギュアのこと)、男の子はスピードが憧れでしたが、スピードスケートは禁止(刃が長くて危ないので)のスケート場が多く、ハーフという靴を持ってる人が多かった。
又はホッケーも人気で、トリッキーな滑りを見せていました。
ボクは初めは姉のお下がりのフィギャーでスケートに慣れて、のちに親の知り合いからもらったホッケーのお下がりで技を磨きましたww
北海道でも雪の多い地区と少ない地区があり、函館や苫小牧は雪が少なくてスキーよりスケートが盛んです。
札幌はどちらもやってました。
中学になると今度はスキーが授業に設定されました。
スキーと言ってもアルペンとノルディック(クロスカントリー)があるんです。
ノルディックなんていう洒落た呼び名は、当時はぜんぜん知らなくて、「歩くスキー」って呼んでましたが。
中学校の校庭の向う側がヤマ(雑木林)だったので、ガッコの先生がヤマを開拓して、クロスカントリーコースを作っちゃったのです(^▽^;)
実は温泉少年は、スキーが苦手でした。
体育の授業で、クラスの全員がスキーを履いて、この特製コースを回るのが授業でした。
もちろん、初めはグランドで基礎練習をします。
一歩滑走、二歩滑走、スケーティング・・・・
寒い北海道ですが、本気でやると汗びっちょりです(*_*)
コースの中には何か所かアップダウンがあるので、下りは滑走をするのですが、必ずコケるのです(*´з`)
コケるとコースに穴が開くので、あとから来るクラスメートには迷惑なんですよね。
それから、冬には1回「スキー学習」という日があって、学校でバスをチャーターしてスキー場に行くのです。
スキー場ではゼッケンをつけて、一日スキーの練習をします。
北海道だからって、全員がスキーが得意ではないので、上手いヤツからABCとクラス分けされます。
温泉少年はやっぱりヘタッピなのでCコース確定。
Aコースはいきなりリフトに乗って上から滑ってきますが、Cコースは先生の後について、ふもとの初心者コースを階段登行でえっちらおっちらと登ります。
登ったら「プルークボーゲン」、「シュテムターン」と順番に教え込まれます。
まぁ、こうやって基礎を教えられたから、関東に来ても雪山に行けたんだと思いますがね。
あ、そうそう、スキー学習ってまる一日ゲレンデに居るのですが、それをやるためには前後の体育の授業を他の教科に振り替えて、体育の授業を貯めるのですww
だからその日は、一時間目から全部体育の時間になるってワケwww
北海道の子供には、スキーは授業のひとつであり、得意な子もいれば苦手な子もいる。
授業でバスケットボールをやったことある人は全国に沢山いるけど、バスケ得意な子/苦手な子が居るのと同じ。
でもね、就職で関東に来たら、ちょうど「私をスキーに連れてって」効果でスキーが大ブーム。
ボクはといえば、苦手と言いながらも関東人に比べたら滑れるワケで・・・・
調子コイてスキーセットを購入し、毎週関越越えてスキー場通いしてましたわ( *´艸`)
あ、話を昭和に戻しますが。
北海道の春は遅く、4月と言っても桜もまだ。
それでも雪が溶けはじめたら春を感じます。
道路のアスファルトはわりと早く雪が溶けて乾きます。
僕が免許を取った時には、まだスパイクタイヤが主流だったので、教習車のFFカペラにもスパイクがハマってました。
春になってバス通りが乾いていても、そう簡単に夏タイヤには戻せないのが難しいところ。
アスファルトをスパイクタイヤで走れば、タイヤのゴムもスパイクも摩耗します。
同時にアスファルトも削られて『粉じん公害』というのがとても問題になりました。
冬に澄んでいた空気が、春には一転してホコリっぽく、アスファルトの粉と砂埃・・・
『車粉』とも呼ばれたこの空気は、いまの某国のPMナントカみたいなカスんだ空を作っていました。
春になると雪解け水にフクジュソウが咲いてる写真が思い浮かぶ方もいるかもしれませんが、雪国に住んでいた人なら、雪解けが汚いって事を知っています。
冬の間、雪に隠されていたモノが、雪解けと共に地表に出てくるのです。
カラスが食い散らかした生ゴミとか、誰かが棄てた空き缶とか。
良くあるのが電柱の根元にあるアレです、ワンコ飼ってる方ならわかりますよね。
アレも雪の中で冷凍保存されていたのが自然解凍されてくるわけですよ。
単純に未舗装路なんかはぬかるんで泥だらけだし、クルマも汚れるし、靴も泥だらけです。
でも、この雪解け水が流れるのって、小学生はけっこう好きなんですよねww
道路のワダチから雪(氷)が溶けはじめて、川になって流れます。
この川を使って遊ぶのです。
雪でダム作ったり、または雪を割って新しい流れを作ったり。
子供って、なんでも遊びにしちゃいますよね。
当然、子供は長靴なので、どんな深い水溜りも、どんな泥んこ水もまったく関係ないのですww
5月頃、世の中は黄金週間。
北海道の桜は5月頃に咲きます。
それでも山には残雪がありますね。
山の上にある残雪は、白い雪と黒い大地のコントラストが綺麗ですが。
住宅街の空き地にある残雪は、雪の上に降った粉塵や砂埃が、残雪の表面を覆っているので、真っ黒な土と変わらない色をしています。
だから、子供が空き地で遊んでいると、地面だと思ったところが残雪だったりすることがあるのです。
いきなり黒い地面にズボッと足がハマります。
中は白い雪があるんですけどね。
僕が小学生のころに、5月連休でキャンプに行きたいと親に言って、
「あんた、外はまだ寒いでしょ!」と親に止められた事がありました。
確かに、5月じゃまだキャンプっていう気温じゃないんですよね。
北海道はなんだかんだ、一年の半分くらいが冬なのかな。
北海道の父が、それでもやっぱり春は好きだと云っていました。
長い冬が終わって、待望の春なんですよね(^^)
昭和40年代男(1)「ラジコンのはなし」
昭和40年代男(2)「キャンプのはなし」
昭和40年代男(3)「マイコンのはなし」
昭和40年代男(4)「乗り物のはなし(2輪編)」
昭和40年代男(5)「ラーメンのはなし」
昭和40年代男(6)「テレビのはなし」
昭和40年代男外伝?「自販機ラーメンのはなし」by赤カブさん
昭和40年代男(7)「カメラのはなし」
昭和40年代男(8)「雪のはなし」