ディーラーに配備された頃に試乗しましたが、特に何も調べて行かなかったせいで車名がアクセラでは無い事に驚きました(^_^;)
それはさておき、先ず気になるのはスタイリングですよね〜
最近までのマツダの造形はCX-3以外はイマイチ好みではないですか、新しい方向性のデザインは気に入りました。
これ迄の70年代アメ車的な抑揚あるプレスラインを上手く今風に仕立てている感じだったのが、今度は50〜60年代イタフラ風でディテールなどの小細工は少な目にシンプルにパネル面の造形で魅力を引出しているのが素晴らしいですね。またボディの質感を出すのが難しそうな凹断面のパネルを魅力的にデザインに落し込んでいるのは驚きました。
因みに某メーカーや某デザイナーの様なデザイン処理が点在はしてますが、全体に融け込んでるので気にはなりませんね。
他の特徴としてはFFらしからぬショートオーバーハングとフロントホイールアーチからAピラーまでの距離、キャビンを後退する事でFRらしいフォルムに見せているところでしょうか?
メーカーの説明では最適なドラポジの為と謳ってる様ですが、ペダル配置に違和感無いCセグファミリーカーは沢山あるのでこれは方便ですね。素直にスタイリングの為と言ってくれた方が素直に話を聞けると思うのですけど。
そんな事からクルマのコンセプト的に考えると、どことなく中途半端な印象は受けます。 何せ後輪が駆動するグレードがメインでは無い所にこのフォルムですから説得力に欠けます。
あまりにも必然性に欠くデザインはどうかな?と。
FRっぽいディメンションであるが故の欠点が幾つかあるので尚更に中途半端に思えます。
その一つに、FR的に伸びやかなスタイルを目指したのでしょうが、実車を見るとダックスフンドの様にヒョロ長く痩せこけて見える事から、思い切りが足りない類の失敗感を感じます。マツダ3がプレミアムを目指すのならコレは問題かと。
欧州車を見れば解りますが、4輪が地面を蹴飛ばす様な踏ん張り感&躍動感や安定感を演出するのはクルマデザインの基本中の基本ですから。
そのスタイリングから実用性は無視しているのが解るので、もっと実用性を見限って思い切ってカッコ良さの追求に振る、例えばホイールアーチを更に片側15㎜程度張り出させるとかキャビンを絞り込ませてフェンダー辺りを張り出す様に魅せるとか… その方が解りやすくクルマに魅力を持たせれると思います。
よって、ボディ色を間違えるととても貧相なクルマに見えてしまうと思われます。
後にも書きますが、ボディスタイルに限らず全体のクルマの造り込み自体に中途半端な印象を受けるのがアレなんですよね。
内装ですが、Aピラー付根あたりのデザイン処理が相変わらずゴチャついていて(デザインスケッチの段階ではラウンド形状がスッキリ見えている筈なので問題無いのでしょうが)気になりますが、デザインと素材感共に細部まで洗練されていて外観のイメージ同様に魅力的だと思います。
とはいえ黒基調の内装色が全てを台無しにしてるかと。
特に展示車と試乗車は黒一色でコレには興醒めです。汗臭いガチスポーツなクルマでは決して無いので、お洒落な外観に見合う内装色が欲しいですね。プレミアム路線狙うなら尚更内外装のトータルコーデは大切です。
この辺りは追加車種や年次改良などで、魅力的かつイメージに釣り合った内装色が追加されるとは思いますけど。
居住性ですが、前席は低く包まれる様なシート位置で流石に広さドラポジ共に問題無いですが、後席は外観から想像つく様に割切りが必要です。後席の膝元はクルマが長いのでソコソコには余裕有りますが、頭上辺りは明らかにクラス最小レベルな狭さですし黒基調の内装と小さい窓のせいで穴蔵に閉じ込められた感が大きいです。 それに加えドアの開口部も狭い為に乗り降りも大変です。
だからといって、キャラ的に後席の造り込みがこのクルマの評価を下げる事にはならないので、人が座れるだけで良しとう方向性で納得できますね。
試乗車はディーゼルでした。
試乗に出ます。
初めに感心したのは、ステアリングの操舵、アクセル&ブレーキの踏力に対するクルマの反応がリニアな事です。
繊細な操作にクルマが適切な反応をしてくれるので、慣れれば気持ち良く走れそうな印象です。
コレは大切な事で、如何に限界が高く加速が良くとも、自分の意思にクルマが適切に応えてくれなければ、レーシングカーでタイムを競う訳では無いので、走りを愉しむ観点で見れば全て宝の持ち腐れになりますもの。
今までのマツダ車はこの辺りがイマイチでしたし、他メーカーでもちゃんと反応するクルマも少ないのでメーカーが真面目に造り込みをしている事が解ります。
走る喜び、そもそも運転する喜びとは?という事に対してのメーカーの良心的かつ志の高さが伺える回答と受取れます。
ただ、惜しい部分や疑問点もあります。
足回りの設定はインプレッサの様にまるで一昔前のドイツ車風な引き締まったもので少々驚きました。
市街地の試乗なんで何とも言えないですけど、高速域でフラット感ある乗り心地に変化していくタイプなのかな? そんな印象ですね。
ちょっとした路面の凸凹でもタイヤがコツコツとけっこうショックを拾いますもの。
けれども、突上げ感は前後共に無いのは良い事です。
その変わり、コーナリング時の姿勢変化は安定しているんだろうな… という振る舞いを見せてくれます。先に述べたステアリングに対するリニア感とも継っていて、フロント、リア共にコーナリング時の動きの自然さを予感させる挙動を見せてくれます。
基本的な足回りの能力にリアサスがリジットになったネガは感じられませんね。
ただ、そのスポーティな足回りのセッティングはボディ&内装のスタイルにマッチしてるのは良いけれど、このエンジンの性能とキャラに合っているのか?と言われると、合ってないのが問題ですね(^_^;)
ディーゼルのパワー特性やフケ上がりや音、振動などのフィーリング面に対して足回りが引き締まり過ぎです。
この足回りだとガソリンNA2㍑車の方がまだマッチするだろうし、もっと言えばそれ以上のパワーもフィールも伸び感のあるエンジンが欲しいところです。それでやっと見た目のイメージや足回りに釣合いが取れるんじゃないかと。
ディーゼルでももっとパワーやパンチがあるとか、現状のディーゼルと同じ力感でもスムースに吹け上がるガソリンエンジンの採用が最低限のラインではないでしょうか?
ディーゼル車の実力は実用車の域を出ないので、もっと緩めな足回りの方が楽しめるだろうし普段使いの乗り心地も確保されるのではないかと。
フツーに乗るならディーゼルの動力性能で充分ですし、乗り易い制御とパワー特性なので実用車としては問題無いです。
付け加えるとフツーに乗るならDCTやCVTでは無く、この良く出来たATの方が良いですね(^_^;)
この設定だと本命はSKYACTIV Xって事になるのでしょう。
そんな走りのトータルな印象ですが、他に気になる点も。
タイヤの接地性が低いというか、細かな路面の凹凸でコツコツとショックを拾った後のタイヤのバタつきが凄く気になります。
あと、粗いアスファルト舗装路でゴーッという音が思いのほか室内に侵入し、その細かな振動もキャビンに伝わってきます。その点では精神的疲労度を考えると長距離 高速走行は向かないかもしれませんね…
Bセグ車までなら有りがちな話ですが、最近のCセグ車でその様な事は殆ど無いので気になりますね。ましてプレミアムを狙うのなら… 幾ら引き締まった足回りだろうとこの程度の足の固さでコレでは駄目ですね。
剛性が足りてないとかいう致命的な欠点で無ければ、年次改良で良くなっていくとは思いますが。
解りやすいコンセプトでいいセンまで出来て魅力も感じますが、全てに渡りどこか中途半端で残念だな。殻を全て割る事は出来なかったんだな。
そんな印象を持ったクルマでしたね。
雑誌などの試乗記では良い事が書かれていたので少々残念には思いました。走るステージも違えばグレードも違ったりするのである程度は仕方ないのでしょうけど、流石にヨイショし過ぎじゃないのかな?と思ったりで。
けれど、数年後には現在の生煮え感(設定の悪さや熟成不足)が無くなるでしょうし、ある程度完成されたらもっと魅力的に見えるのかな? とも思えるクルマでしたね。