
カローラ スポーツのMT車に試乗してきました。因みに青い個体は別の試乗車で廉価なグレードのハイブリ仕様、MT試乗車の方はターボ車の最上級グレードでオプション装着されていた見栄えの良い仕様でした。
トヨタとしては久々にフツーに良いデザインですね。妙なプレスラインに頼るのではなく、造形でデザインの質感を出すようなバランスの良さが18インチ車では感じます。
ただ間近で見るとフロントバンパーとリアビューはヤリ過ぎかな?と。これはメーカーアイコンなので仕方無いでしょうが。
自分好みでは無いですが欧風な雰囲気で纏まり良いです。
内装はフランス風なシンプルで好みのものです。C-HRと同じテイストですが、パーソナルで暗い感じのC-HRに対しケレン味少なく好感が持てます。
シンプルながらも素材感やセンスの良さで質感にも満足しますが、色調はイマイチで… 欧州仕様だと各色選べるのかもしれませんが、モノトーン系の暗い色や似合わない赤内装なのはちょっと。
とはいえ、価格相応で北欧や独車の質感には及ばずですが国産車の中では良い塩梅ですね。
フロントシートの居住性やドラポジには不満ありません。シートの出来も良さそうな気がします。
リアシートは車両の大きさを考えると狭いです。フツーの方が乗るには必要十分ですが、同クラスと比較すると膝周りも頭上スペースも狭い方で居住性の高いBセグ車とは幅以外はそんなに変わらないかと。
カローラなのでもう少し汎用性を求めているかと想像していましたが、意外に割り切って作られてますね。
それよりもリアシートへの乗降性の悪さはマズイかと(^_^;)
開口部が狭いのも欧州風ですが、そんな欧州車と比べても非常に乗込み難くて驚きます。お年の召した方には無理かと…
ラゲッジもリアシート同様に使い勝手が悪そうな形状と開口部周辺のデザインです(^_^;) 見た目程には使えないような気がします。
あと、大きく開くテールゲートからも欧州車を感じます。フツーのトヨタ車の様にテールゲートがあまり開かず頭をブツケて周りの人に笑われる…なんて事は無さそうです(笑)
そんな事からC-HRとキャラクターがモロ被りな印象を受けました。ファミリーというよりスペシャリティ寄りな思想で設計されてるので日本ではC-HRという人気車とキャラ被りで売り難いかもですね。
試乗に出かけます。
試乗コース的にクルマの性格が解るようなコースではないので、ボチボチなインプレでも。
シフトフィールは、ストロークは大きいけど適度に節度感あり、スポーティではないですが確実にシフトできるので実用的です。
ただ、シフトレバーはもう少し短い方が良いですね。1速や3速に入っている時に手を伸ばすと出っ張っているエアコンパネルに手が当たるので…
クラッチは軽い踏力で動きで感触が無い為にクラッチミートポイントが解り難いですが、慣れれば然程問題ないかと。
ステアリングフィールは乏しいですが、操舵量に対してリニアにヨーが立ち上がるので自然に運転できます。色んな操作に対してロールやピッチングなどクルマの動きが自然に感じますが、そんな所にこのプラットフォームの出来の良さを感じますね。
ただ多分パワステが原因だと思うのですが、早い操舵や切り返し、ステアリングを回し込むといった操作をするとステアリングに質量が残った様な素直にハンドルが戻らないという気持ち悪いフィールが残ります。今までのトヨタ車よりは良くなっていますが、まだ不自然感が消えてませんね。
乗り心地は良いです。18㌅を履いているので路面の凹凸を拾いますが、タンッタンッと軽く受け流す感じにショックを上手くイナしてくれるので小気味良い質の高い乗り心地に思えます。
従って突き上げ感は皆無で、タイヤの追従性も良さそうな気がしますね。
この辺りは15㌅の廉価版に相当差をつけてます。コチラは路面からのショックは柔らかいですが、少々ブヨブヨした感覚が残るので…
この感触の違いはショックアブソーバの仕様が乗り味に大きく影響してるかも。
エンジンはイマイチな印象です(^_^;)
18㌅の一番良いグレードだとエンジンとショックアブソーバー、色々と制御モードを選べるらしいですが、ノーマルモードしか試していないので通常モードでのエンジンの印象を。
パワーバンドに入っていれば其れなりに走るので不満は無いですが、過給の立上りが遅すぎます(^_^;)
2000回転以上回さないとタービンが回ってくれませんね。重めな車重に1.2lなのでこれでは困ります。
巡航時はシフトダウンすれば良いだけの話なので構いませんが、例えば交差点や渋滞で1500回転くらいから2速で加速する街中で有りがちなシチュエーションだと自然給気領域のトルクが無さ過ぎて悶絶するかと。
そんな穏やかに走るべき時に1速へはトルク変動が多すぎて入れたくないし、クラッチ蹴って回転上げるのも… ね(^_^;)
ストップ&ゴーが多い日本では辛いだろうな…
他社のこのクラスのダウンサイズターボでは、過給の効きが早いもので1200回転から遅いものでも1500回転からブーストが立ち上がるので実用性に問題無いのですよね。
と、比べてしまうとエンジンの仕上がりに不満が残る訳です。
その代わりに高回転でパワーが伸びてくれれば納得もしますが、その点でも他社のユニットと同様5000回転くらいから伸びが無くなるのでヤレヤレな気分になります。
現状の1.2㍑ターボ車はCVT仕様の方がマッチング良いでしょうね。
C-HRを走らせた時は、定速走行時は1000回転台後半で巡航し、少しでも加速させよつとすると2000回転以上のエンジン回転域を使うようなCVTのセッティングになっていますからね。 そんな事からこのエンジンの特性はある程度察しはついていましたが。
このままのエンジン仕様で6MTだと、あと200kg軽くして2速より上のギア比をローギヤード化しないと辛いのでは。
印象としては、欧州車の良い部分の雰囲気を表現しているといったクルマの出来の良さを確認できて良かったです。
その分日本車の良さは削がれていますが、欧州市場向けのクルマでしょうからソコは納得ですしトヨタが造るものですからツマラナイトラブルを心配しなくて良いのは利点ですよね。
ただ、カローラスポーツと名乗るにはPUに魅力無いのが問題です。
現状の1.2lターボは廉価版として実用域を磨かなければアレですし、上質なスポーツフィールを目指すなら1.5l級ターボ辺りのパワー感&フィールは欲しいですよね。
そしてピリ辛スポーツとしては、帰国子女的なロータスチューンの1.8lスーパーチャージャーがあれば…
シャシやキャラの出来映えからすると現状のPUラインナップでは勿体無いです。