
Amazonプライムで「エクソシスト3」の配信が久しぶりに復活。
ホラー映画の推しは「エクソシスト3」「遊星からの物体X」「パラダイム」「ヒルコ/妖怪ハンター」「ザ・カー」の5本。
なかでも「エクソシスト3」は80〜90年代のチープで暗い映画、例えば「羊たちの沈黙」とミッキー・ロークの「エンゼル・ハート」を足して「セブン」で割ったような雰囲気がごっつええ感じです♪
「エクソシスト3」の背景諸々をBlu-rayの特典映像より以下拝借。
世界的に大ヒットした「エクソシスト」の原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティ氏が評価も配収も大ゴケした続編「エクソシスト2」に納得せず、俺ならもっと良いのが出来るぜと制作会社を説得して自ら脚本を書いて監督したのが「エクソシスト3」。
ところが監督業と小説家とでは随分勝手が違っていたようです。
監督は続編扱いを避けたくてタイトルを原作通り「レギオン」としていたのですが、制作会社側は逆に大ヒット作の続編を売りとしたかったので「エクソシスト3」をゴリ押し。
原作は宗教色とサスペンス色を濃くした内容で双子座殺人鬼役のブラッド・ドゥーリフ(「ロード・オブ・ザ・リング」で王様の蛇の舌グリマ役で知られています)を中心にほぼ撮影を済ませていました。

ところが試写会で制作会社は「エクソシスト」に比べるとあまりにもあっさりとした展開に愕然としたようです。
これではとても客が入らないと制作会社は納得せず、急遽悪魔祓いのシーンを追加・撮り直して公開したのが「エクソシスト3」。
「エクソシストは悪魔祓いでヒットしたのだから、悪魔祓いのシーンを入れるべきだ」「顔の知れている前作の役者を使うべきだ」と監督の意向に逆らってゴリ押し。
撮り終えているのにも関わらずダミアン神父役ジェイソン・ミラー氏で撮り直すことまで強いていたのです。

撮り直しがスタートすると、肝心のジェイソン・ミラー氏はなんと重度のアル中で長い台詞を覚えられない(大汗)
やむを得ずブラッド・ドゥーリフ氏を呼び戻し、長い台詞のあるシーンはドゥーリフ氏、簡単な台詞で済むところはミラー氏で撮影(滝汗)
でっ、ブラッド・ドゥーリフ氏演じる双子座殺人鬼と警部補が初めて対峙するシーンは、ホラー映画の歴史に残るほどの名シーンです。
殺人の記憶を言葉で再現して見せるシーンがとても上手くて怖くて良いっ!本作はジョージ・C・スコットが主役ではなくて彼が主役だったのではないかと思えます。
結果として、制作会社の反対で監督の思い描いていたストーリーでは公開出来なかったのですが、後味の悪さでは数多くのホラーのなかでもピカイチ。
後年監督が当初撮っていたビデオを発掘して再構成したのが「レギオン」という原作通りのタイトルの作品で今回Blu-ray化して公開されています。
こちらは配信等で一般公開されていないので詳しいストーリー伏せますが、別ものと言える内容で、ホラーというよりサスペンスといった内容です。
(「エクソシスト3」のあらすじ※注:ネタバレあり)
「エクソシスト」でダミアン・カラス神父は、少女を救うため、悪魔を自分に乗り移らせて窓から飛び降り、自らの命と引き換えに悪魔を追い払った。

15年後。
少女の周りで起こっていた事件の捜査にあたっていたカラス神父の友人キンダーマン警部補。
親しくしていた少年がある日突然首を切られてキリスト像の首にすげ替えられるという無惨な死を遂げたのをきっかけとして罪のない者たちが次々と猟奇殺人の被害者となってゆく。

その手口は、何年も前に起こった双子座殺人事件そのものであったが、既に犯人は刑死しており、糸口が全く掴めなかった。
そんな中で病院の独房に隔離されている身元不明の男が突如として自分が双子座殺人事件の犯人だと言い出す。
警部補が面会すると、その男は15年前に亡くなった筈のダミアン・カラス神父その人だった。

蘇生したダミアン神父は、死んだ筈の双子座殺人犯に身体を操られ、その手で子供や友人の神父たちを殺めていた。

追い払われた悪魔は、最も残酷かつ効果的な方法でダミアン神父に復讐していた。
双子座殺人犯は警部補に「双子座殺人犯による犯行」であることをマスコミに公表しなければ酷い目に遭わせると脅迫する。

家族の身を案じた警部補が家族のもとへ戻ると、操られた精神病棟の患者が家族を襲おうとしていた。

家族を庇った警部補が襲われたところで、なぜか患者は失神...

悪魔の復活を察知したダミアン神父の友人ダイヤー神父が隔離病棟を訪れ、悪魔との対決を始めていたのだ。

時を置かずしてキンダーマン警部補が病棟に入ると、床には叩きのめされたダイヤー神父が横たわっている。
警部補は咄嗟にダミアン神父の姿を借りた悪魔に銃口を向けるが、途端に壁に貼り付けられる。
圧倒的な力の前に警部補は平伏すしか無い。
不信心であることだけでなく、悪魔の力を信じるとまで口にしてしまう。

いよいよ最期かと思われた時、瀕死のダイヤー神父の手に光がさし、意識が戻る。
ダイヤー神父「ダミアン、闘え、闘うんだ」
ダイヤー神父の言葉に一瞬正気を取り戻すダミアン。
同時に悪魔の力から開放される警部補。
ダミアン神父「ビル、いまだ!撃ってくれ!私を殺してくれ!」
3発の銃声が轟く。
警部補「我々が勝ったんだ」
ダミアン神父「ビル、私を解放してくれ」
1発の銃声が響く。
美しい讃美歌が流れ、警部補らがダミアン神父の墓を掘り返すところでエンドロール。
(以下感想)
双子座殺人犯の手口はかなーり猟奇的ですが、遺体はシーツ越しやし、手口は語られるだけなので、グロいシーンはほぼ無い天井を這うスパイダー婆さんやデカい剪定ハサミでひと暴れするコスプレ婆さんには笑えます。
されかけるところとダイヤー神父がコテンパンにされるシーンがちょいエグぐらい。
それから、ビックリさせられるのは剪定ハサミのシーンと突然吠えるとこぐらいなのでこの手のホラー映画にしては全然大したことありません。
信仰心が全く無く、これまで数多くの修羅場をくぐり抜けてきたであろう現実主義の権化キンダーマン警部補(米国の犯罪ってめちゃエグいもんね。それを経験して警部補までなった人物なのできっと海千山千の筈)がその圧倒的な力の前に跪き、絶望のどん底に突き落とされて「悪の力を信じる」とまで言わされてからのドンデン返しがお見ごと。
ただ、それにしてもあまりにも理不尽で神も仏も無い結末は悲しい。
私には信心も◯ソもないのでこの理不尽な仕打ちは全く理解はできませんが、この悲しい結末にはやられます。
結局は悪魔も人間も全て神の手のひらの上で踊ってるだけなのでしょうかね。
もちろんハッピーエンドではありませんが、何度観ても飽きないホラー映画の名作です。
「エクソシスト」と「エクソシスト3」を続けて観ることをお勧めします。