…ようやくトンネルの出口付近にまでくると、左手の歩道に小さな立て看板を見つけた。
<おいしいコーヒーと音楽♪ 岬カフェ ここを左折>
ここを、左折?
看板の立っているところには、ガードレールと風防のためのフェンスの切れ目があるから、一応、左折は出来そうだが、そこを曲がったとしても、雑草がぼうぼうと生えた荒れ地がひろがっているだけに見えた。まさかその先に喫茶店があるとは思えない。
(中略)
…私は思い切ってステアリングを左に切った。
予想通りそこは未舗装の荒れ地だった。しかし、思いがけず車の轍があったので、その上を這うように進んでいった。前方のずっと先を見遣ると、雑草だらけの地面が途中で消えてなくなっていた。きっとそこは断崖になっているのだろう。
轍に沿って、セレナはじりじりと左にカーブしていった。
やがて右手遥か下方に海が見えはじめたとき、希美が「あっ」と声をあげた。
あったのだ。本当に、喫茶店が。
(「虹の岬の喫茶店」 森沢明夫 幻冬舎 第1章より抜粋)
この喫茶店は実在します。
行ったことがある方は、本文の描写に納得するはず。
そこだけゆっくり時間が流れているかのような空間です。
本は短編6話。
なるほど…
何かから抜け出したいような時、ココは一人で訪れるには良いかもしれません。
Posted at 2013/02/25 10:36:12 | |
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