10月も早、後半に入り来月の大統領選挙が間近に迫ってきました。ぼくは出来る範囲で政治、宗教を記するのを避ける努力をしているのですが、巷は逆で、喧嘩を売るごとく、今日もピックアップトラックに沢山の旗立ててやれ、B氏しか無いとか、いや、T氏が我らを救ってくれるとか喧々轟々と走り回っていました。
同じ避ける言葉でなるべく ”アメリカ” と言う表現を控えます。慣用句で一般的にはアメリカ合衆国を示すこの ”アメリカ” と言うのはぼくに言わせばアメリカ大陸、北米、南米を両方表現する方法であり、アメリカ合衆国でも50の州が集まってできた国であり、その一つ一つが簡単に言えば国なのです。よって州により法律も違いますし、言葉、食べ物、習慣、文化、全て異なります。それを取り仕切る大統領ですから、選ばれる理由も一筋縄では行かないもので、4年おきのこの選挙、皆、一般大衆を興奮させます。
50州、50通りの物の考え方がありますが、共通している事も当然沢山あり、その一つが我が国とピックアップトラックの関係でしょう。このピックアップトラックこそ外国の人に理解し難く、かつ、我々の心に根付いている文化何です。そのピックアップトラック文化が過去30年で急激に変化していく事情をお話しましょう。
50の州、ぼくは何回か自動車で大陸横断した事がありますが、このだだっ広い国土、殆どが農地と荒野です。欧州から来た移民は馬に引かせた馬車で西へ西へと開拓が進みます。その当時と全く変わっていない土地は現在でも沢山あり、移動電話の電波の届かない所とか、ラジヲ放送の届かない所などざらで、それでも馬車の後に鉄道を引いて東海岸から西海岸まで来たんですね。当時の馬に変わって一番頼りになったのがそのピックアップトラックです。物資を運び、鉄道の駅から遠い牧場まで脱穀機の部品を運び、街に食料の買い出しに行き、日曜日には家族を荷台に乗せ一張羅着て教会へとトラック文化は浸透していきました。それも戦後になると国は豊かになり、街は潤い、ピックアップトラックの代わりに気の利いた乗用車が普及し、ピックアップは主に農場、仕事場で使われる道具に専科します。特異なのはそのピックアップトラックの販売台数で、今でもフォードで年間何と890,000台!を売り捌きます。もちろんコレには商業用も一般消費者用も含まれていますが、恐ろしい数です。ですから自動車三会社、ピックアップトラックの開発には本気で没頭します。特に最近は乗用の4扉ピックアップトラックがひと昔の高級車に変わる役目を受け継ぎ、一般家庭でも使われ始めたのが特質されます。
ピックアップトラック、GMの70年台のモデルはぼくに言わせば頑丈に作りすぎたきらいがあり、1988年に新型の、GMT400と言われる型にモデルチェンジした際は、多少華奢な身構えに変わりましたが中身は洗練されていて、特に乗用車のダウンサイズで学んだ技術も取り入れ進化しました。その頃前後して、鶏税をかいくぐる為にこっちで荷台を合体させて”脱税”していた小型ピックアップトラックが税法改正で旨味が無くなった後、GMはS10と言う小型ピックアップトラックを1982年に登場させます(ファスター・LUVの後釜と言うだけではなくいすゞがかなり開発に加わっていた様子)。この小型トラックは最初から荷物運搬以外の用途、若者が気軽に乗り回したり、荒野にキャンピングに行ったりする、娯楽用途をかなり意識しており、注文装備の豊富さ、内装の一部をシープスキンで張ってみたりその後に来るSUV社会を暗示していました。S10のお兄さんの様な風格のGMT400は販売当初はまだ、かなり真面目な働く人の車両、って言う感じでしたが、それも1990年台に入ると乗用需要の儲けが高い事にきずき、次第に内装も豪華になってきます。S10とS10ブレーザーは1987年から座席の中央が本革で張られている座席が注文でき、C/Kシリーズは1995年に内装の変更時からシェヴォレイのピックアップトラックでは初めての革座席が選べる様になり、1996年からは右側の延長運転台用の補助扉がお目見えします。
現在非常に乗用普及している六人乗り4扉のピックアップトラックは以前、シックスパック(ビーヤの缶が六本くっ付いて売っているのと同じ呼称)とか、クルーキャブと言い、主に工事現場に作業者6人いっぺんに連れて行く際便利な車、と言う感じで内装は簡素な物が殆どで広告も大抵鉄兜被った建設作業風のニーニーや、山へ木を伐採に行く山男が肩並べて6人乗っている図が多かったです。シェヴォレイはこの4
扉型にもう一つボーナスキャブと言う仕様がありまして、コレはクルーキャブの後席を取り払って荷物置き場にした物で公用車なんかでたまにみました。
まあ兎に角この4扉型のピックアップトラックが寸法的に5人、または6人を樂に載せられ、短めとは言え荷台もあり(通常有蓋)最新の電子技術を投入すれば燃費も以前のフルサイズの乗用車より遥かに良いし、内装も昔の高級ビュイック真っ青な程の質の高い革をふんだんに使いと、結局、蓋昔のフルサイズ車の用途にぴったりあるので、最近、爆発的にこの手の4扉ピックアップトラックが普及してきたのであります。
最新のフォードのピックアップ、キングランチ仕様。
1988年に登場したGMT400。現在でもどんな小さい部品から改良された部品など、完全レストア出来る部品供給体制が整っている、今でも非常に人気のある車種です。
最初は全車、ヘッドレストが付いていませんでした。何故なら連邦安全基準が商業車には要求していなかったからです。FMVSSー202条、乗用車のヘッドレストは1969年から。商業車はやっと1991年の9月から義務付けられました。
シェヴォレイのピックアップは昔から一番下から、標準、シャイアン、スコッツデールと最高級版のシルヴァラードに分かれていました。その最高級版シルヴァラードは現在のシェヴォレイのピックアップ全ての名称になりました。コレは1991年式なのでヘッドレストがありません。シルヴァラードの内装。このベンチシート、膝先までちゃんと座面が長く、とても良い座席でした。
急遽、ヘッドレストが加えられた1992年型のシルヴァラード。結局シェヴォレイは1995年に内装の大改良まで基本的に1988年から同じ座席を使っていました。この初期型は計器盤の樹脂類の耐久性に問題がありましたねえ。。。
1988年登場時、ど肝を抜いたのがこの先進的な計器類です。でもバーグラフ状の指針にコントラストが無く、特に日差しの強い下では非常に見難く、1989年の1月生産分から変更になり、結局1991年辺りから通常の計器盤に変更されました。
改良型。セグメントの先端が赤くなった。
1990年型、最初からカセットテープは助手席側に後ずけされてました。。。
1991年型、通常の計器盤に改良。
1975年から1979年まであったBig10と言う仕様。ピックアップトラックはどの会社の車種でも伝統的に1/2トン, 3/4トン, 1トンと区分けされます。ハーフトン 、スリークオータートン、ワントン。コレは昔は積載量を表したのですが、近頃は実際の積載量より、そのタイプの属している”タイプ”を差し、ハーフトンは通常街流しやら乗用に使う一般タイプ、スリークオータートンになるとトライラーを引いたり日常的に重いものを積む実用型、ワントンは重いトレーラを牽引したり作業場で重いものを扱う営業タイプって感じですね。シェヴォレイは1500、2500、3500と分けていますそれ以上になるとHDとか星の数ほどある注文装備でカスタマイズできます。そのBig10と言うのは一番軽いハーフトンなのですが、総重量が重くなっています。所謂ハーフトンのヘヴィー仕様で、骨格の厚さ、寸法、ギヤ比などは変わらないのですが、重い重量に対してタイヤの寸法、ブレーキと懸架バネの強化で対応しています。何でこんな車種があったのかと言いますと、1975年から小型商用車にも排気ガスの規制が始まり、6000パウンド以下の軽重量トラックにも乗用車と同様の規制を掛けられ、それにはEGR, 冷却吸気吸入、排気触媒などのややこしい装置と性能低下を余儀なくさせられました。一番困ったのは触媒装備による無鉛燃料の使用で、フリートの営業などで何百台単位で使う事業者には値段の高い無鉛燃料は深刻な問題でした。それでシェヴォレイは最大自重をわざと重い仕様を作り、同じお手軽のハーフトンでも6000パウンド以上の重さで重商業車にさせて排気ガス規制を逃れる為に作られたのでした。されどコレを見ていたキャリフォーニア州は法規を変更し、6000パウンドの境を8,500パウンドにまで引き上げ、連邦政府もそれに追従して、結局このBig10仕様は消滅しました。
数年前にあったニセBig10の復興版。このツートーンの塗装見て育ったぼくはレトロ感がタマらいですね〜。でもこのモデル、もう新型になっちゃいました。
現在ポピュラーな4扉型ピックアップトラックの源流は此奴です。1973年に出た旧型は1991年まで基本的に変更なしで生産されました。あの悪夢の新規格、H4703/H4701の前照灯が痛いです。。。この前照灯の悲劇はいつか書きますね。。。
4年遅れて出てきた4扉型。でもこの世代は乗用豪華仕様は現れず、現在の姿のは一世代位前、ごく最近からです。
流石一般大衆廉価版で有名だったシェヴォレイ、その中でも一番高級な乗用車、カプリースに革の座席が注文出来るのは1988年が初めてでした(コーヴェットは以前にもあったかも)。後扉にオペラ窓を付けたカプリース・クラシック・ブローハーム。限りなくキャデラックになりたかったシェヴォレイの注文装備でした。
計器盤の木目は南米産、バーハイ・ローズウッド調です。
以前はバーズアイ・メープル調。1981年型。
1984年型。ゲージパッケージ付き。
シェヴォレイのカプリース・インパーラ、ローズウッド調は、実は1976年型にもあったんですよね。。。コレはフル装備のインパーラ。計器盤左下端にあるHVACパネルが見えないですが、助手席側に空気孔があるのはエヤコン装備車。
1976年はダウンサイズする前の年。特別仕様のタイプS、超廉価仕様、小さなハブキャップが素敵ですね。ローズウッドのアクセントのある計器盤はS仕様ではないと思います。
シェヴォレイの廉価版と言えば、コーヴェアにもありましたね。。。タイプ500って奴。飾りの無いラインは基本造形の素晴らしさを返って強調してます。後期型コーヴェアの4扉は柱のないハードトップ。されど柱の無いハードトップなんて、矛盾した言葉ですよね。最近よく記されている、写真はイメージです、と言う注意書きと同じでs。。。
1975年型、クライスラー・インペリアルクープ、普通なら後半分をパデッドルーフにしたがるのに、こちらは前半分。中から覗くネーネーが何とも妙齢でサマになってます。2扉インペリアルには例の後席ラヴァリエー・吊り革付いていたのかしら。。。
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2020/10/19 17:18:02