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2021年11月27日

ねじ曲げる力。ポンテイアック・テンペスト

ねじ曲げる力。ポンテイアック・テンペスト















一年で最大の祝日行事、収穫感謝祭も無事終わり、昨日からクリスマス商戦の火蓋が切られた所、あれ、もう11月もあと僅か?

集合住宅、ウチの界隈は一軒につき屋根のあるカーポートに一台、無蓋の場所に一台ずつ駐車場が用意されているんですが、その無蓋、ウチの指定場所の2台隣のアンちゃんのトラックの触媒が盗まれて大騒ぎでした。今、触媒の盗難が非常に流行っていて実は自分も被害に遭ったんですが、お隣さんのトラックは若い人が皆やる、大きな車輪を付けて車高をずんと上げてまるで小山の感じで、床下がスカスカだったので、ジャッキアップしなくても下に潜れば簡単に排気管切って触媒外せるのでやられてみたいです。

この車高を高く上げた改造車、威勢が良く、まあ、自分を強く見せる表現に手っ取り早いのか、職場でも若い人が高価な部品を取り付けて上へ上へとするのをみますが、コレ、部品屋さんもこう言った類の物、売って生計立てているので余り言いたくないんですが、こう言った改造、実際は車両の信頼性を著しく落とすだけでなく、単純に危険なんですよね。何せコレだけ想定外の巨大車輪なんかだと、重量も半端じゃありません(その重たい車輪がビュンビュン回転するんです、遠心力も凄いです)。コレだけ直径を大きくすれば回転時にテコの原理で車軸に掛かるねじれる負担が半端じゃありません。当然エンジンマウント、駆動軸の継ぎ手などの部品まで変えている人見ませんから、各部品の負担、摩耗、疲労エライ事になるのは明らかでして、当然駆動系の設計された伝達力に基づいてプログラムされたエンジン統括プログラムも全く用を足さなくなりますので、燃費はもちろん、悪路を走ろうとしても足回りから来る抵抗とエンジンの出力・トークの関係があじゃぱ〜になります。面白いのはチョッと古いピックアップですかね、巨大エンジン、巨大車輪やらに ”アップグレード” して、んじゃ、キャブレターも大口径のおっきな奴!をよく見るんですが、いざ悪路に入り込んで低速でギャスペダルを踏み込み、ここぞ!と言う所で大きなスロットル板を全開にすると吸気管内の負荷が一挙に落ち加速ポンプから噴射された燃料が尽きれば、あっと言う間にエンジンの出力低下で牛歩も出来なくなると言う。。。グリップの良さそうな太いタイヤを履かせたり車体の補強を部分的にしたりすると、あっという間にタイロッドのガタが来たり、車体鋼板に掛かるストレスが部分化し他の車体部分が急激に応力腐食割れを起こしたりと。。だから流通個体、いじった車体は極力避けるのが無難と囁かれるこの業界、ちゃんと意味があるのですわ。





昔、急激に普及しだした輸入小型車のVWビートル(まだ日本からの輸入車が普及するずっと前の話です)に焦り出したGMが苦労して小型車を開発していた頃、ポンテイアック(覚えている?)からテンペストと言うコムパクト車を売り出しました。


コムパクトと言ってもビュイック・スペシアルやら後に中型カトラスになるオールズモビルのF85と同じクラスです。車格的には兄弟車とは言いますが、技術的に全く違う自動車でして、考え出したのは丁度スチュードベイカーから移ってきた若手優秀技術者、あのバック・トウー・ザ・フューチャーのジョン・ザカリー・デローリアン氏でした。

若きデローリアン氏。彼の家系はルーマニア。ルーマニアは昔から結構自動車やらヒコーキ、共産時代から高度工業産業に強い国ですね。ジョン・デローリアン氏はデトロイト生まれ。



当時、まだ消費者運動の槍玉に挙げられていなかったシェヴォレイの小型車、コーヴェアをポンテイアック化しようと企みますが却下され、その代わりにコーヴェアの部品、主に後輪駆動のトランスアクスル、サスペンション、床板などを流用。

テンペスト、前部がチョッとコーヴェアに似ているでせう?



このテンペストに使われたエンジンが奇抜で、トロフィー8と呼ばれた、389キュービックインチ(6.4リッター)のV8を半分ぶった切って四気筒3.2リッターにしてトロフィー4として搭載。面白いのはこのエンジン、本当にV8の左バンク半分を切り取っただけなので、残ったバンクは右に45度傾いたまま載せられてます。コレだけ巨大な四気筒です、一次二次振動の処理尋常じゃありません。バランスシャフトなんて出てくるずっと前です、どうやっていたか。そして、その動力伝達がおったまげます。

トロフィー4。V8の半分をぶった切ってある。


エンジン、左半分が消えているのが異様。。


外から見ても本当にV8の半分をぶった切ってある。奇抜。



この巨大で重くブルブル震える四気筒、経済的な理由でコーヴェアからの部品の流用され、後ろにコーヴェアのトランスアクスル持ってきて少しでも重量物を後ろに持って行き重量配分を均一化し、スイング・アクスルの独立懸架で操縦性向上を狙い、床板もコーヴェアの物を改造。ここで問題です。コーヴェアはリヤエンジン後輪駆動なので床下に伸びる駆動軸の凸起がありません。それを最低限にする為に開発されたのが、驚愕、なんと撓む、反り曲がる駆動軸、ドライヴシャフトだったんです。

エンジン、クラッチは前、変速機は後、コーヴェアの後輪独立懸架。


反り返った駆動軸。トークチューブ内数個のベアリングで曲げ状態を保たれている。



鋼鉄の棒を曲げたり捻ったりする代表例はトーションバーのねじり棒ですね。この駆動軸も同じ様な物で、ニッケル・モリブデン鋼合金を削り、ショットピーニングで硬化加工した後、磁粉探傷検査をした後腐食防止塗装をして、エラく金がかかっています。それを前にあるエンジンと後ろにあるトランスミッションを僅かに反ったトークチューブで繋ぎ(その中にこの特殊駆動軸を数個のベアリングで宙に浮かせてある)手動変速版はクラッチはエンジンの直ぐ後で、パワーグライドの自動変速はトークコンヴァータが後の変速箱の前にあり、特質するのはその、駆動軸の太さで、手動変速版は直径がたったの1.9センテイメーター。どうしてこんなに細くて役に立つのかと言いますと、エンジンからトランスミッションまで伝達するねじる力はエンジンの出力分だけなので細くても事が足り、車体を動かす増幅された後の強いねじる力はトランスミッションから駆動輪までは逆に、太くて強固でないといけないのです。因みに自動変速機版の駆動軸はさらに細く直径が1.7センテイメーター、流体継ぎ手のトークコンヴァータで更にトークを増幅出来るからです。

肝心の駆動軸の画像が見つからなくて。。でも細いのが解るかしら。。。



この異様な駆動系の保持はエンジン側に柔らかく大容量のエンジンマウントとリヤのトランスアクスルのマウントだけ。これで大排気量4気筒特有の振動をねじ込めようと考えたそうで、結果として不思議な程、振動、騒音、耐久性に問題点はなかったと聞きました。

でも多分経費の問題だったんでしょうね、この凝った駆動系のテンペストは3年間だけで、モデルチェンジした際、普通の機構に退化しちゃいました。

開発された特殊鋼の駆動軸が後の四輪駆動車に用いられる様になるトーションバー捻り棒の耐久性に関与したのは明らかですね。。。

テンペストは4扉セダーン、2扉コンヴァーチブル、2扉クープと4扉ステーションワゴンがありました。反り返る駆動軸のお陰で床の突起物が減ったのが自慢でしたが、後ろにトランスミッションを抱えているので嵩張り、特にステーションワゴンは車体後部が嵩張って上屋が薄いのが何となく分かります。


コーヴェアも荷台下にエンジンを納めているので後が薄い。コーヴェアのステーションワゴン版はレイクウッドと言う名称、2世代目の精悍な形に改良された奴にはステーションワゴン版なかったのが残念です。


VW初めての4扉車、タイプ4、通称411か412と言われていました。ビートルなんかの水平対向4気筒エンジンの背を抑えたパンケーキ・エンジンと呼ばれるエンジン、ステーションワゴン版は矢張り荷台は薄く荷運びには使い物にならず。411も412も売ってたのが3年間くらいですか、合衆国では全く人気ありませんでした。


後ろには脚を支えるバネも無く、すっからかんのくせして後ろすぼまりのお陰か、カーゴ容量が非常に小さく、巷で考えてられるよりずっと狭い荷台はシトローエンのDS。テールゲート上部扉、後側窓下部が錆びると面倒臭い事になる。。。経験者は語る。


標準装備のルーフラック、荷室が狭いので重宝しますが、このルーフラックの一番前の横渡し棒にはゴムのホース状のカヴァーが被さっており、ご丁寧にそのカヴァーには溝が切ってあるだけでなく、それを捻った状態で、溝が螺旋状態に付けます。これは風切り音を低減するための工夫。 


矢張りステーションワゴンでダントツに使いでのあるはプジョー504でせう。延長してある車軸間、後ろに行くにつれて高くなる屋根。後車軸片方2個のコイルバネ。半トン以上のペイロードの癖に載せても空車でもゴムを混ぜたスポンジケーキの様な乗り心地。テールゲートが傾いていますが、収容出来る荷物の量と重さがもう、ハンパじゃなかった。。。何を求めても必ず応えてくれる、いい自動車だったなあ。。。。


全く関係のない画像。ぼくはこのフォードの古いBバスと言われるバスを16歳の頃 ”借りて” 退学させられそうになる。


その後に来たのがインターナショナルのロードスター。これも ”借りた” のがバレて退学させられそうになる。。。。。。


昨日、カリーヒで起きた薮火事。たったの4年間でしたが消防に従事した身にとっては矢張り見に行きたくなります。ヘリポクター2機で近所の水泳プールから水を救ってピストン輸送。幸い消防署、警察署が目の前。火の手の先には建造物無し。この水汲む袋をバンビ・バケツと言い操縦士の操作で底が開き液体投下できます。コレは容量1,200リッターくらいの奴かな。正午過ぎから日没までずっと飛んでた模様、お疲れ様でした。今日は鎮火してるかしら。。。。








今日のオマケ画像。先週末のクアロア。


冒頭画像はウィスコンシン州ケノーシャ製、ルノー・アライアンス、別名ルノー9。後車軸が凝っていて、車体左右一杯に走る中空の太いパイプの端をスプラインで切って中にパイプをもう一本入れて車幅の二倍近い長さのねじり棒トーションバーにしてマシュマロー感覚の乗り心地を味わえました(但しそれを支える柔金属のブッシングがヘタリ異音の元になったけど)。軽量小型車で軽量時でも満載時でも、柔らかくてもへこたれない乗り心地を作り出すのは非常に難しいのです。
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Posted at 2021/11/28 07:17:23

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この記事へのコメント

2021年11月28日 9:16
タイプ4見たことありません

しかし孤を描いた駆動軸、ボディーも反りますね!
コメントへの返答
2021年11月30日 13:54
タイプ4が出た時期は、VWはとっても苦しい時期でしたね。世界的な燃料危機の前夜、確定出来てない次世代の技術、それに吸収したNSUもオートユニオンもゴロゴロ模合状態で。。。1974年にやっと出たゴルフが救世主。息を吹き返す。

弧を描いた駆動軸、あれは ”ロープドライヴ” と言う名称でした。テンペストとコーヴェアを合体させれば四輪駆動のコーヴェアが出来た筈だったのに。

プロフィール

「合衆国のVW文化、その3 http://cvw.jp/b/1945280/48426381/
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