
先週から国営放送、朝の連続番組、チムどんどんが始まりましたね。同じ家族なのになぜか皆、発音が違うのが気になりますが(笑)、流石、山原の風景は素晴らしいです。まあこの手の企画としては上々の始まりと感じます。中でも驚いたのが、あの懐かしいGMCのバス、通称フィッシュボール(金魚鉢)が出てきます。一体何処から調達してきたのか、まさか合成画像?1960年代のヤンバルに当時としては新しい金魚鉢の大型35フィート長乗合バスが走ってたかは分かりませんがそれこそ、あきさみよ〜です。一応年代的には合ってます。
ちらっと見えるのは1964年式シェヴォレイ・インパーラ?
この金魚鉢、またの別名をGMCのニュールック・バスと申しまして、当時としては画期的な新型バスだったんです。まあその前走っていた ”オールドルック” のバスが戦前からのバスを改良しながら使っていたので当然かもしれませんが、1959年に発表されたこのバス、金魚鉢のあだ名は6枚に分かれた前窓の中央が前に反り出していて金魚鉢みたいだからです。以前の ”オールドルック” のバスの3倍の面積になった前窓に角度を付けたのは、光などが反射しない為と優れた視界確保からですが、外から見るとシワを寄せたおバーみたいでとても愛嬌がある形です。
この金魚鉢は結局20年間生産され、60年代と70年代の北米の風景を象徴する様な形になりましたが、1994年配給の大ヒット影視、”SPEED” でサンドラ・ボーラックとキアヌ・リーヴスを上回る主役で世界中にその印象を裏づけたのが記憶に残ります。
金魚鉢ニュールックの前は、当然 ”オールドルック” と呼ばれるバス、戦前からの製造でしたが、ニュールックが出た後も1960年代後半まで製造されていた様子。ヒッチコックの ”North by Northwest” (北北西に進路を採れ)の中で、ヒッチコックは作品の中に必ず自分がカメオ出演するのですが、North by Northwest では、作品初頭に1959年のマンハッタンの忙しい場面が次々と出る中、バスに乗り遅れる太ったおっさんが、よく見るとヒッチコック自身、その出発してしまうバスが、金魚鉢の前身の、”オールドルック” 型バスです。
この金魚鉢が真っ盛りだった頃のGMCは飛ぶ鳥を落とす勢いの商業車の固茹卵(ハードボイルドね)集団で、業界を引っ張る最先端の商業車で元気が良かった頃です。例のGMCのモーターホームもそうですが、1970年代初頭に連邦政府が誘っていた、新時代のバス輸送構想に参加して、GMCが出展した未来のバスのデザインなんかがGMCのモーターホームをほぼ、同じ時期として似ているのは偶然ではなかったみたいです。
これがGMが連邦政府のコンペに出展した未来のバス。
その新時代輸送構想にGMCが提案したバスはターバイン・エンジンを原動力とし、未来的な外観を持つ今でも斬新なバスでして、まだ高床式の車台ながら初めて、乗降口のある前方右側の車高を、膝を折り曲げてしゃがむ様に下げる、”ニーリング” 機構を持ち乗降を容易にしていました。ターバインの原動力(ジェットエンジン)は1960年代、自動車やらトラック会社各社が研究開発没頭していた技術で、クライスラーは実際、限定的ではありましたがターバイン・エンジンで走る自動車を販売しましたが、当時の技術では未だ色々問題があり、ターバイン駆動に適するのは大型の商業車でして、GMも戦前から航空機のターバインエンジンを製造する大企業、アリソン・ギャス・ターバイン部門を傘下に持っていましたから、数種の商業車にターバイン・エンジンが積まれ研究されていました。
ターバイン駆動の前提で考案されたと思われるGMトラックの未来図。
シェヴォレイ(GMCではない!!)のターバイン動力の未来トラック、ターボ・タイタンIIは実際に試作されました。
この新時代輸送構想は何の成果も出せず結局終了したのですが、応募した3社、GM、ローア企業(後にグラマンに吸収される)とAMジェネラルの内、GMとローア社は提案した試作車をハッテンさせ新型バスとして登場させます。
そのGMが出したのが、ブッタまげる程、夢物語の試作車から、殆どど変わっていない感じの新世代のバス、名付けてRTS II (ラピッド・トランジット・システム)なぜ II=2代目かと申しますと、政府に提案した試作車が初代のRTSだったからです。
このやんばるを走っていた(ホント?)GMCの金魚鉢からは想像もつかぬ程近代的になったRTS-IIは、1977年から納車開始。実際の車台は高床式金魚鉢の車台を流用し、金魚鉢の床がが32インチ高だったのがRTS-IIでは若干低めの22インチに (って言うか、当時は低床式のバスなんて誰も考え付かなかった)改良された程度。
原動力は残念ながらターバインではなく普通の2ストローク・ジーゼル。この未来的な外観は流線型で、スムーズな外板はガラス繊維強化樹脂をパネル化して構成され、ぶつけた際そのパネルを交換するだけで容易に修理可能、そのパネル自体がアクリリック樹脂の皮膜塗装がされていて、汚れに強いだけでなく落書きを殆ど寄せ付けない工夫が凝らされていました。因みに客室側窓もアクリリック樹脂製です(現在のバスは大概同じですね、でもよくイタズラで傷を付けられると修理できない)。膝を折る ”ニーリング機構” が本採用されたのもこのRTS-IIが最初で、乗り口は最低13インチ高まで下ろせますが、ずっと後に車椅子で乗降出来る事が必須になると、車体中央の扉にリフトを設置する事になります。
この新型バスをぼくは子供の頃、ニューヨーク市で心待ちに待って心が湧いたものですが、実際は余り評判良くなく、矢張り新機構や斬新なデザインで犠牲になった実用性やら信頼性が問題になり、GMCは大型トラック部門を後日売り払うのと同じく、RTS-IIを含む大型バス部門を1987年に売却してしまいました。それでもしぶとくRTS-IIは売却先の企業で製造及び維持供給され結局最後に作られたのが2007年、大改造し低床式にまで進化したものの、既に原型を止める訳もなく未来のバスの未来が終わってしまいました。
これはGMC売却後、改良され乗降扉が幅広になる新型。
製造権を売られた会社がまたひっくり返り、有志が集まり製造続行、でも此方も倒産。試験的に低床式に大改造された試作車が出ますが、資金不足で頓挫。結局RTSシリーズは2007年が最後でした。
RTS-IIの問題の一つは冷房装置でした。乗合バスの冷房化は金魚鉢が出たずっと後、1970年代中盤からの記憶ですが、当然RTSーIIも冷房装置を最初から装備配慮されていたのですが、機構過熱の問題が深刻になり、結局あの特徴的な傾斜した後窓(実際はパネルで窓ではなかったみたいです)の傾斜部分に巨大なコンデンサを背負わせて美しい外観を大いに損させざる得ませんでした。
おんぶする冷房装置も数種類ありました。外観を大幅にスポイルされてます。
序でに記するのはRTS-IIが納入されるも不具合が発生していた頃のニューヨーク市、先記の連邦政府新時代バス構想に参加したローア企業・グラマンのフレキシブル・バス870型を大量導入を1979年でしたっけね、するんですが、数ヶ月でフレームの欠陥が発生し出し、何百台の車両が運行不可能に陥り大問題になりました。フレキシブル・バスとは米国老舗のプロフェッショナル車両を製造する車体架装会社の一部門でして、別にフレームがくねくね曲がるからフレキシブルなのではなく、最初に作った製品は二輪車に付けるサイドカーをフレキシブル(曲がる)マウントを使い二輪車にくっつけた所、非常に成功したので、フレキシブルと言う社名が付いたのです。そのフレキシブル社が航空機部品製造のローア企業が買収、それをこれまた航空産業にも深い関係を持つグラマン社が買収。その時に起きたバスのフレームのひび割れ欠陥事件でした。ニューヨーク市はフレキシブル・バスが使えず、ぼくはマンハッタンで待てど暮らせどバスが来ない。。代わりに此方も出たてのGMC、RTSーIIを酷使、するとこちらも故障の連続で大訴訟になりました。。。
フレームの亀裂問題で大騒動になった、グラマンのフレキシバス。外観とは裏腹に高床式。
米国内のバス製造産業は結局、欧州、及びキャナダ勢らに吸収、合併などが続き現在はどうなっているやら自分でも混乱します。
やんばるで乗合バスに乗った事はないのですが、沖縄のバス、郊外に行く線は通常、整理券を受け取り、乗車距離により運賃が変わるのですが、乗り込む際、目的地方面により停留所が同じでない事があったりします。それよりウチナーなのは、糸満辺りで停留所付近を歩いていると、高い確率で乗合バスが近づき、外部PAで、乗りませんか〜と呼びかけてくる事があります。運転手さんもたまに、思い出した様に観光さん達が乗車していると、次の停留所は、と流れる録音テープの合間に、突如観光案内などを車内放送してくれたり、お客さんもお客さんも和気藹々の雰囲気が多く、通学の子供らは乗車すると運転手さんに皆、挨拶したり。特に郊外へ走る路線は東陽バスが一番独特の運転手さんに遭遇する割合が高いのが経験です。でもぼくが以前通っていたコザから那覇行きのバスはずっと現代的で少し、寂しかったのを覚えています。。これも近代化、時代の流れか。
香港に住んでた頃はバス出勤。特急列車の方が速いですが、空港バスの方が断然安く、イタリヤ製革張りの座席、無線電網、今や電源も取れて、二階席は見晴らしもよくお気に入りでした。
ずっと昔の旧正月、お姉さんの家で夕飯食べた後、ワンポア・ガーデンを歩いていたら群衆に出会いました。違法駐車で曲がり切れなくなったKMBのバス。
ここいら辺、道はそんなに狭くはないんですが、駐車禁止の場所に停めるとこういう事態に。。。違反者はトヨタ・カリーナII。
香港はモーターサイクルのお巡りさんが直ぐ、すっ飛んできます。
騒ぎを聞き付け違反車の持ち主が現れ、結局注意だけで逃してもらった様子。お正月ですからね。観客も笑顔。一件落着う〜。
香港のバスは日本電装製の特別冷房装置が付いているので、冬でも冷蔵庫の方が暖かい程、強力に冷えます。香港人は何故か冷房機は空気を浄化すると信じ込んでいて、温度を下げれば下げる程空気が浄化されると、真冬でも冷房をガンガンいれます。
独国ネオプラン社製のユーロライナー。格好は良いですが、よく壊れる。
