この黒塗りのスモーキーとバンデイット(スモーキーとはCB無線などで使われていた隠語で警察の事、バンデイットとは盗賊、無法者の事)で使われたとされる車両が数年おきに競り市に出て高価格になり話題になります。撮影では数台潰された筈なのになんでこう定期的に売りに出るのか。。。
この影視が大ヒットしたお陰で、ファイヤバードだけでなく、ポンテイアックの売上が急上昇、車両提供したポンテイアック側は大喜びで、当時のGMの社長がバート・レイノルズ氏に電話をして、これから一生、毎年新車のトランザムを無料で上げます、と約束したそうで、以後、新型になり続けてもトランザムの新車が納車され続けてたんですが、ある年、新車が来ませんでした。不思議に思い、GMに電話を入れると社長秘書室の方が電話に出て、ああ、そうでしたね、あの約束、でもあの ”一生” と言うのは当時の社長の ”一生” で、それが終わりましたから、今後は新車の提供はいたしません、と言う回答で、バート・レイノルズも問題にしなかったとか。もらった新車は自分では乗らず、殆ど家族や友人に贈答したとの事。それらが市場に出回って度々競り市に出てくる訳です。
そのGMの社長とは、名前は出しませんでしたが年表からピート・エステスだとは容易に分かります。彼は1988年にシカーゴ・オヘア空港で心臓発作によりこの世を去ってます。ポンテイアック部門の社長時代だったエステス氏。
話題を全く変えて。。。。。。
昨日見たミュージック・ヴィデオ。英国の赤毛のロックスター、エド・シーランくん。米西部、ツアーバスに乗り遅れ様々な冒険に出会うあらすじ。背景がどっかで見たことあると思ったら、ロスアンジェリース北部、サンタクラリータからパームデールを繋ぐ道路。ここは山を貫く大小二本の道がほぼ並行して繋がっており、例のステイーヴン・スピルバーグの処女作、デニス・ウィーヴァー主演の ”デユエル” の撮影された道路です。このヴィデオはツアーバスをプリムス・ヴォラーレのステーションワゴンが追いかける事になりますが、デユエルでは同じクライスラーのコムパクト車のプリムス・ヴァリアントが使われたのは偶然か。娯楽産業の盛んな南加州では、撮影用にありとあらゆる自動車を提供する専門業社が幾つもあります。以前はドラマの中で、欧州の想定場面で出てくるメルセデスやジャギュアが皆、大きなバンパー丸目の前照灯の北米仕様で興醒めしたのを覚えていますが、最近ではそう言う場面でも正確な車種を揃えるようになりケチを付けるのも難しくなりました。。。
このヴィデオに出てくる黒塗りの大型ツアーバスは、プレヴォスト製の45フィート版。X3型。こう言った芸能人グループ御一行仕様は最近ではちゃんとキャタログに載っていて好みの仕立て、販売、整備サポートなんかフルパッケージで用意されてます。それもこの手の需要が結構あるからで、ロックバンド仕様の他、走る事務所、走る医療施設、ホテルに泊まりたくない富豪の隠れ家とか、特に感染病で騒がれる近頃、こう言った車両製造・販売会社は凄く忙しいらしいです。
プレヴォストはキャナダで家具作りからコーチビルダになり、その後ランソム・オールズの会社、REO自動車会社からバス車体の委託生産を始めたのが元で、REOとは、ランソム・イーライ・オールズ氏の名前の頭文字です。
Ransom Eli Olds。
オールズ氏は言わずと知れた、オールズモビルの創立者。でもオールズモビル自動車製造は数年間後にGMへ売却し、後に色々な会社を自分で創立しますが、REOもその一つ。REO社は初期には豪華な乗用車、バス、それからはトラックに専念して、最終的にはトラックのダイアモンド社と一緒になって1970年中盤まで生き延びました。
REOの作っていたトラック、スピードワゴン。実にいい名前ですね。。。
昔流行っていた歌グループにREOスピードワゴンって言うのがありましたね。あのグループの名前はここから付いたそうです。なんでも大学で出会った仲間とバンドを結成して名前を模索していた頃、たまたま授業に戻り黒板にREOスピードワゴンと書いてあったので、即、それに決定したとか。その授業はトラック業界と物流関係だったらしいです。連中、REOとオールズモビルの関係、知ってたのかなああ。。。
エド・シーランのヴィデオに戻ります。最後の場面にお相撲さんタイプの人が登場し、シーランくんとカタコトの日本語で会話をし、最後に流れる曲はシーランくんの曲ではなく、女性の歌う、それも日本語で、が流れ終わりになります。なんとも不思議なミュージック・ヴィデオでした。曲名は Overpass Graffiti 検索すると出てきます。
このお相撲さん、山本山龍太さんです。こちらではヤマさんと呼ばれてます。
このサンタクラリータからパームデールに行く道路、背後の景色とか1970年代のドラマには必ず出てくる場所で、このヴィデオの撮影、こう言った背景が映るように設置された撮影専用施設があり、新旧の給油所、古いレストラン、便利店なんかも揃えたミドルトンランチと呼ばれる場所(会社)です。以前ぼくもモハーヴィ砂漠で仕事を終えてLAX空港から帰宅する時、時間があれば必ず通る道でした。
冒頭、バート・レイノルズ氏と一緒に写ってる若い子は、彼の唯一の息子さんの(養子)クイントンくん。ハリウッドで映像技師として働いているそうです。
Posted at 2022/05/23 11:00:40 | |
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