
突如、自動車産業の中心地、ミシガン州に来てます。
とは言っても、例のサギノー市から数時間北上した何も無い村、一番近くのレンタカー屋まで自動車で走って2時間と言う所。仕方なく宿でくすぶってます。
昔のクライスラーの本社はミシガン州のハイランドパークと言う所にありまして、今はどうか知りませんが、70年代、一応クライスラーは大会社でGM, フォード系とは一味、二味も違った自動車の大綱でした。
そのクライスラー社が、サンダーバード、モンテ・カーロなど、所謂2扉スペシャルティ・カーですか、に対抗するのに生み出したのがコードーバ。そのコードーバの宣伝に登場したのがメキヒコから移住して来た、ヒスパニック系の俳優では一番有名なリカード・モンタルバン。
彼はコマーシャルで、このコードーバは信じられない事に、豪華絢爛なコリンシアン・レザーの革内装まで注文装備出来るんですと言うのです。
消費者の皆様は、あっ、そうなんだ、あのコリンシアン・レザーなんだ、と感嘆!
です。が。
一体このコリンシアン・レザーとはなんじゃらホイ、と疑問符を出す視聴者は余りおらず、クライスラーは一人で笑っていたのでした。と、言うのもこの、コリンシアン・レザーと言う代物、これはこの広告を作った代理店が考え出した架空の名前で、実際はニュージャージーの納入会社の工場で普通に作られた製品だったのです。グリースのコリント地方とは全く縁もゆかりもない事実。
それを皆んな、ああ、コリンシアン・レザーなんだ、と勝手に納得して。。。
その後もこの、コリンシアン・レザーとリカード・モンタルバンの組み合わせは一人歩きを始め、パロディにまで出てくる始末。あれから40数年、我々の年代ならコリンシアン・レザーと聞けばある一定の懐かしい響きを頭に浮かべるくらいですから、あの広告代理店は素晴らしいコピーライターに恵まれていたと感服します。
当時のクライスラー車の革内装はフォードやGMに比べても、柔らかくて色調が何と言いましょうか、我々はよく安風情の売春宿の赤色と言う表現を使いたがるんですが。。。それは煌びやかな派手な艶々の赤色でして、ドアを開けた方が恥ずかしくて頰を赤らめてしまう程の色彩でした。落ち着いた重厚なGM系、若々しいフォード系とは矢張りれっきとした差があったのが面白いですね。。
その後クライスラーはダウンサイズに乗り遅れて破綻寸前。フォードのアイアコッカの指揮の下で政府からお金を借りて、Kカーで何とか生き延びた後、メルセデスやフィアットに蹂躙され今に続きます。
リカード・モンタルバンは余程クライスラーがお気に入りだったのか、1975年にこのコードーバの広告で起用されてから、1990年代までクライスラーの宣伝やらスポークスマン的役目を受け持っていました。
そのKカー、一時期初期型と後期型、両方日本で売られていたそうで、最初はエリアスK、廉価版に絞られていた時分でも、名前をダッジ(何故かクライスラーでは無い)ミシガン、と改名されて売られたそうなんですが、実際のところ、何処の輸入元で何処の販売網で売られたのか、形式認定改造は何処をどう対応したのか? 売れたのは何台くらい? 購買層はどう言うった人たちだったのか。。。残存している可能性は? こう言った事、今の内に調べて何処かに記録していないと貴重な事実が永遠に闇に葬られるような気がしてならない、ワタクシの今日此の頃、
この地、ミシガン州の安宿で危惧しているのでありました。
にふえーでーびる。
Posted at 2018/08/01 04:39:50 | |
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