
昔むかし、前進ルックでGMのデザイン部門を恐怖の底に落としたてた張本人、ヴァージル・エックスナー。彼の聳え立つ尾翼、凝りに凝った尾灯も見る人を未来の世界へ連れて行く雰囲気満々でした。1960年型インペリアルの尾灯。
ステーションワゴンでも4扉ハードトップ!コレは大型の1960年型ニューヨーカー
最大の衝撃は計器盤でした。その頃絶頂期だったクライスラーは電気屋さんのシルヴァニア社開発の電界発光装置、今で言うエレクトロルミネセンス、ELですね、をいち早く取り入れた計器盤、パネルセント・ライト (Panelscent Light) と言う計器盤を1960年から装備します。12ヴォルトの直流電圧をおおよそ250ヴォルトの交流に変換昇圧し、計器盤の目盛り裏側のパネルに電圧をかけるとほの蒼く光、それを立体的な造形のメッキで縁取りされた装飾枠で飾り立てると言う物。空飛ぶジェット機の様な派手な外観、運転台に座ればこれまた未来を先取りした計器盤、これじゃ一般的なGM各車が古臭く見える訳です。
幻想的な世界へ導く、パネルセント照明。。。
昼間でも圧倒的な造形で驚かされます。中央の透明な半球ポッド脇のスイッチ群もスゴイ。フランスのパナールなんかはコレ見てチビったのかなあ。。。。
60年後のクライスラーも同じ機構で計器盤光らしているの、興味深いですね。
もう言葉では説明できない。。。1961年型フューリー。
デソート・アドヴェンチャーと。。。。。ダッジ・フィーニクス。共通点があります
この両車、速度計の裏がスケスケに透けているんです。。。
シトロエンもちゃっかり同じ構想。
GMが最初に計器盤を電子化したのは確か1978年型キャデラック・セヴィルと記憶してます。同時にドライヴ・コンピュータみたいなのも装備出来て最先端技術を取り入れるキャデラックの将来を予測させられました。でもGMが本格的にデジタル技術に没頭しだしたのは防衛軍事会社の、あのハワード・ヒューズが創立したヒューズ電子を買収してからでしょう。 GM各車は時代の流行りも伴って片っ端から操作のボタン化、計器盤のデジタル化を遂行します。
6眼の前照灯のポンテイアック6000、やたらとボタンが多い。。
保守的なオールズ・デルタ88、昔の速度計は皆、こうだった。。。
それも電子化。
ボタンの多さ、もう操作性など完全に無視です。1992年型オールズモビル 98リージェンシー。
1991年型オールズモビル 98リージェンシー。計器盤細部。
ポンテイアック、1989年型グランプリ。この頃のポンテイアックなど、多数あるボタンは角形ではなく角が丸められていて押すとフンワカした感覚で、それはそれなりに操作性良好だった記憶があります。鮮明に覚えているのはこの頃のデルコの音響装置の音質の良さ。
ポンテイアックはアクの強い造形が好きでした。このボンネヴィルの座席の形状。もっちりムッチリ。卑猥ですね〜。
その座席は12通りに調整出来て当然押しボタンがズラッと並びます。
最新技術のショーケース、以前はキャデラックだったんですが、この頃はその役目がビュイックやらオールズに移行してます。コレは1989年型カトラス・スプリーム。中央の情報表示はCRT, 古いテレヴィジョンと同じ、カソード・レイ・チューブ。
リヴィエーラやらトロナード、エルドラード系の部品を流用して最先端技術を見せたかったビュイック・リアッタ。利は無かった。
笑って下さい親父ギャグ。
リアッタの売り物はHVACと音響を全てCRT画面に組み込まれたタッチスクリーンで操作する事。同系統のリヴィエーラなんかも同じ構造を使ってました。
でも直ぐにスイッチ付きの一般的な方式に替わっちゃいました。計器盤に注目。こちらもCRT表示です。
キャデラックも負けちゃいません。デトロイト・イタリ・デトロイトへ往復送られ組み立てられていたアランテの計器盤。ボタンの数ではポンテイアックにも勝る。。
1970年代設計の旧、A・Gボデーも一応電子化されてました。コレはビュイック・リーガルの高性能版、グランナショナル。
1985年に登場したNボデー、昔はスカイラーク、コレはサマーセット。コンソール中央に鎮座するラジオがカワユイ。
AC・デルコ製。コレ、欲しいわ。
でも三年後にはつまらない形状に退化しちゃいました。多分経費節約ですね。
同じ様な物、同時期のカマーロにも注文装備で選べました。こちらは首振りする凝ったシロモノ。
コレは通常型。コンソール後方にある大きい丸型水晶時計に注意。コレは1985年くらいまで装備出来たらしく廉価版のAMラジオに時刻表示出来ない為の物だったらしく、時刻調整はコンソールボックスを開けて中から調整棒を弄るらしい。
そのカマーロにもデジタル化が。
同時期のポンテイアック火の鳥。人間工学、視認性など全く無視。まるでヴィデオ・ゲーム。でも時代の背後が反映されている感じですよね。。。
そう言えば最近は所謂旧車にも計器盤をデジタル化するキットが結構出回ってます。コレを見て興醒めするか、正確さを良い改良と思うかはそれぞれだと思います。
1982年にカマーロがモデルチェンジした際、新しい注文装備でコントアー・インテリアってーのがありました。コレは特別座席をリヤー・シーグラー社に作らされ座席に色々調整できる様にしてあり、1983年からは特別色で派手な振る舞いで、側から見るとレカーロそっくりの座席なんですが、れっきとした合衆国製なんですよね。。。
このコントアー仕様、1982年の初期ロットはリヤー・シーグラー社の納入が間に合わず、助手席だけヘッドレスト一体の通常座席で誤魔化していたと言う。。。左右で座席が違うなんて、昔のホンダ・アコードにあったパーソナルシートを彷彿させます。
リヤー・シーグラー社、現在では座席製造の大手、LSIと言いますが、元は古い自動車部品製造のシーグラー社をあのリヤジェットのリヤーの電子部門が買収して始まった会社です。ビジネスジェット機の代名詞を作ったビル・リヤー氏は実際、航空用電子機器の発明・製造で材をなして自分の名前を託したジェット機の製造を始めた人です。
コントアー仕様。特別柄は後部座席にも。。。
しつこく扉の内張にも。。。。ちなみにこの特別生地、今でも入手可能なんですよ。
1980年代に流行った探偵番組、サイモンとサイモン 。主人公の1人が乗るのがカマーロのZ28。セヴィルに追っかけられている。僕ならセヴィルに乗りたい。面白い事にこの手のドラマ、他の似た様な探偵番組と ”クロスオーヴァー” する事があり、サイモンとサイモンはあの有名なマグナムP.I. とタイアップして、サイモンの筋書きの中にマグナムのヒギンズが登場して番組内で活躍すると言うエピソードがありました。
クライスラーって廉価版でも必ず電流計やらが付いて来るの、昔から子供心に不思議に思っていました。でもあの影視、デユエルでラジエータから水蒸気吹き上げながらセムアイに追われるデニス・ウィーヴァーが上昇する水温計を見ながらステアリングを叩く場面、ありゃ水温計が装備されて初めて可能になった場面で、GMなんかの普通の警告灯だったら雰囲気台無しになってた所です。コレは1972年型ヴァリアント
デユエルの撮影場所、一度クライスラー車借りて行ってみたいです。ロスアンジェリース北部、サンタクラリータからパームデールへ通じる峠道。
そしてコレが最新型キャデラック・エスカレードの計器盤。もうiPad真っ青な情報量、画像。
今日の全く関係ないハナシ。コーヴェット後側にある赤いサイドマーカーライトの前にある白い灯火。あれは車両横を照らす後退灯デス。ギヤを後退に入れると灯ます
前側にあるのは通常のコーナリングライト。
今日の全く関係ないハナシ、その2。合衆国でのトヨータ・ヤリスの販売が2020年型で終わります。メキヒコ工場での生産は今月で終わり。と言っても合衆国のヤリスはマズダ2デミオを仮装した、売る気もなく宣伝も殆どされなかった悲しいクルマ。本家のマズダは合衆国では現在2・デミオを販売しておらず。マズダのメキヒコ工場は大統領トランプに散々批判指摘された新工場で、現在の不景気コレからの経済事情を踏まえ、非常に苦しい事になりそうです。。。
わ か る よ ね
