切り方によって放電効率(または寿命)に差が出る???
アルミテープチューンの原理は、コロナ放電による静電気除去と言われています。
(私は、それ以外のマイナーな原理も隠れている気がするのですが、それはさて置き)
コロナ放電は、アルミテープを切断した際にできるミクロの「バリ」から起こると考えられます。
「テープの角から」という説もありますが、それだと4角に切ったテープでは角は4つしかなく、放電や腐食によりすぐに先端が損耗してしまい放電能力が低下してしまうと考えられます。(工業用のコロナ放電器は、ハイコストなタングステン電極を使うなどして損耗対策をしています。)
ギザギザカットのハサミを使っても、その角を拡大して見れば鋭くないものも多く、効果の正体は角が増えたためではなく、バリの周長を増加させた事によるものと見るべきだと思います。
さてさて、
「バリが多いほど、コロナ放電は効率が上がり、放電能力も下がりにくい。」
という仮説を元に、効率の良いアルミテープの切り方を考えてみます。
結論から言うと、切れ味の悪い(;´∀`)ハサミがおすすめ。(そうは言っても切れなければダメです)
以下、私なりの解説です。
アルミテープを切るとき、多くの方はハサミを使います。
ハサミの切断方法は「せん断」です。
(せん断がキモなのです!)
せん断によって金属が切られた部分を拡大してみると、、、
実際は「せん断面」と「破断面」、そして「バリ(かえり)」に分かれているのですね。
意外に思うかも知れませんが、金属のせん断という作業では、破断面 & バリ(かえり)という「引きちぎられた」部分が必ず発生します。

↑実際に画像をググって見ると解るのですが、
「せん断面」は、平滑で突起はほとんど有りません。
コロナ放電しにくそうですね。
それに対して「破断面」と「バリ」は、ザラザラ、と言うよりミクロの突起の塊りです。
(これには「延性破壊」というプロセスが関係しています)
↓延性破壊(せん断は中段の図)
で、アルミテープチューンの場合、
「せん断面より、破断面とバリが多い方がコロナ放電に有利」
と考えられます。
そうするためには、ハサミの
①上刃と下刃のクリアランスを拡げる。
②刃(エッジ)の切れ味を鈍くする。
の2つが考えられます。

↑
http://www.miyagi-com.co.jp/column.html
要するに、
●合わせの精度も悪く、刃も鈍い普通の工作バサミで充分と言えます。
●ピンピンにキレて研ぎ角も鋭い、ラシャバサミや髪切りバサミなどは不向きと考えられます。
●ギザギザハサミは、クリアランス精度が悪い(もちろん切れる範囲で)ほどおすすめです。周長も増えますし。
●カッターによる(マットを下に敷いての)切断は、それは「せん断」ではないので良くわかりません。
バリ(かえり)は発生しますが、破断面の割合は少なくなる気がします。
カッティングマシン(プロッター式)もこの部類に入るので、コロナ放電の能力としてはどうなのか疑問。
●発想を大きく変えて、
ハトメを入れて千切ったら、破断面が多くなるので良いかも知れません。
(;^ω^)
トヨタの純正部品(櫛形のアレ)は、アルミテープを積層していると噂で聞きましたが、実際はどうなのでしょう?
本当であれば、アルミの厚さを増加させないで積層させた意味は、破断面とバリのコントロールにある様に思えます。
もちろんDIYでも積層は有効だと思います。
さらに蛇足ですが、
サンドペーパーでロールされているアルミテープの側面を荒くしておくと、引っかき傷により、無数のミクロのバリを作ることが出来そうです。(破断面のディンプルには数で及びそうにありませんが、テープの側面にわざわざハサミを入れるのが面倒な場合は有効かも)
同様に、アルミテープの表側にサンドペーパーをかけるのも有効と思います。バリは作りにくいものの、表面積に関しては比較にならない程のアドバンテージがあります。(問題は外見ですね)
・・・・・・・・
以上、仕事でイヤという程バリを観察してきた私なりの見解でした。
アルミテープチューンに関しては諸説あるのが前提ですが、考察の一助になればと思います。
最後までお読み頂き有難うございました。
(⌒▽⌒)
Posted at 2017/09/28 23:54:45 | |
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