
メーテレの西部警察傑作選、いよいよこれで泣いても笑っても最終回です。
西部警察は放送開始が昭和54年ですから既に30年がたちます。
映像こそ古いものの、全く色あせない面白さや迫力はまさに昭和を代表する刑事ドラマです。
もう二度とこのような大ドラマを作ることは出来ないでしょう。
それでは傑作選最終回をどうぞ。
最終回となる今回はPARTⅢ第31話「思い出さがし」(監督:萩原達 脚本:宮元雪)です。
西部警察といえばその圧倒的な火力と迫力あるアクション、実にストレートな展開とストーリーという勧善懲悪ドラマです。
ところがこの第31話「思い出さがし」は大きく異なったドラマとなっています。
アクションは超展開は今回は大人しめで、結構複雑なサスペンスと複線。
そして裕次郎さんの甘く切ない大人のドラマの物語。
異色作ともいえますが、まさに裕次郎さんの23回忌にふさわしい1本といえるでしょう。
【ストーリー】
木暮課長は横浜のバーで10年ぶりにある女性と再会した。
彼女は木暮の親友の妹・悠子で、かって木暮が愛した女性だった。
再開を喜ぶ木暮だったが、ある日殺人事件が発生。
容疑者として浮かび上がったのは悠子の夫だった・・・・
【見所&つっこみどころ】
裕次郎さんメインの回で、まさに裕次郎さんの23回忌記念にふさわしい回といえましょう。
西部署に赴任するずっと前の米国研修前の木暮課長の過去を知ることが出来ます。
木暮課長の恋の物語ですが、キャピキャピの若者的な恋愛ではなく、甘く切ない大人の男と大人の女の「大人の恋」の物語といえるでしょう。
木暮課長の心理描写に注目です。
10年ぶりに悠子に再会した木暮は実にうれしそうです。
でもそこは若者のようにおおはしゃぎをせず、かすかな照れを見せながら再開を喜ぶ姿はかっこいいですね。
悠子が作った詩を歌うシーンに注目。
この詩はサブタイトルの”思い出さがし”ですが、悠子の演奏で木暮課長が歌われます。
見事な歌声は何度聴いてもほれぼれしてしまいますね(これ書いてる間に8回リピートして聞いてました)。
実はこの”思い出探し”の1番で「はにかむように君がいた」を「あららららり~ららら~」とぼかします。
そう、この詩はまだ未完成というわけなんですね。
劇中では作詞作曲した悠子が死んでしまうわけですが、ラストでかかる”思い出さがし”は完成版になっています。
これは死を覚悟した悠子がバーのマスターを通じて木暮課長に楽譜を渡すわけですが、彼女の”遺書”ということになってしまいます。
冒頭で悠子との再開を喜ぶ木暮と、ラストで悠子が死んで悲しむ木暮の姿の対比を曲にかぶせてるわけです。
実に見事です。
同じ歌なのに冒頭の歌とラストの歌では受ける印象が全く違うこのシーンは必見です。
木暮課長の”昔”を語るシーンも見所のひとつです。
木暮課長の悠子とのなりそめとその後を大門に語るわけですが、大門は課長に対してなにも言わずに黙って聞くわけです。
ここは「上司と部下」というよりは「良き兄と良き弟」のように感じますね。
事件を通じての木暮課長と悠子のやりとりも必見です。
夫を殺されて仇をとろうとする悠子はどうにかして犯人に近づこうとします。
その現場を見た鳩村刑事たちは「どういうことだ」と疑いを持ちますが、木暮課長は悠子をまったく疑いもせず真意を見抜きます。
このときのシーンが実はラストの犯人逮捕の決め手になるわけですが、こういった伏線の張り方が従来の西部警察とは違うのは面白いですね。
またクライマックスでは瀕死の重傷を負う悠子ですが、木暮課長は現場で犯人の逮捕に向かいます。
そこで大門に悠子の死を聞くわけです。
昔愛した女であれば、今にも死ぬ可能性がある彼女のそばに付き添ってあげたいのが人情だとおもいます。
が、あえて現場に赴き、彼女と彼女の夫の仇を逮捕という形でとることを選択します。
既に彼女の死を覚悟した上で無念をムダにしたくない、そこに立ち会わなければならないという木暮課長の静かな怒りがそこに見て取れます。
さて、今回は木暮課長メインということで大部分が木暮課長と悠子にあてられています。
当然アクションシーンはその分時間も短いのですが・・・・
でも「火力」は従来の西部警察と全く同じです。
つまり短時間で犯人に圧倒的な火力を加えます(^^;
今回の銃の撃ち方、ハンパじゃないっす。
あ、今回木暮課長が悠子に再開したほかにたびたび登場する横浜のバーですが、写真がそれです。
「あぶない刑事」などにも登場しますよね。
実は米軍基地のすぐ近くにあるんですよ~。
ではつっこみを。
・横浜のバーにガゼールで登場した木暮課長。
再会の祝いにバーボンを・・・ってちょっとそれはまずい(^^;
・悠子に渡された楽譜に照れながら歌う木暮課長。
初めて楽譜を見たはずなのに、その歌い声はプロ顔負けどころか、まず間違いなく日本一の男性歌手。
普通の(普通・・じゃないか)捜査課長なのに日本トップクラスの歌手より歌が上手いなんてありえんw
・毎度のことですが、木暮課長が大門に話をするときはなぜか課長室ではなくカド屋か”セブン”。
・セブンで木暮課長の話を聞く大門団長。
手元には水割りが・・・ってまだ勤務中なんでは(ry
・殺された少女はタケノコ族。
ツッコミではないですが、時代を感じるなぁ。
今の人でタケノコ族なんて知ってる人いるのかな?
・(電話とって)アコちゃん「はいセブンです」
いつのまにセブンで働くように・・・・
・タケノコ族の被害者が艤装誘拐の話をするシーンではさりげなくマク○ナルドのアピール。
ちゃんとマ○ドナルドの「m」のマークが全部カメラのほう向いてます。
しっかりドナルドまでこっちみてるし。
・艤装誘拐を被害者にもちかけたチンピラが犯人に口封じのため車で撥ねられる!
鳩村刑事と山県刑事の見てる前で息を引き取るが、瀕死のはずなのに「クラモトのヤロー!」とはっきりとした声で叫んでる。
・「クラモトっていう専務の名前聞いたことあるかな?」と木暮課長から1回だけ聞いただけなのに、クラモトが犯人だと確信し、行きつけの店を見つけて従業員として潜入、さらに近づいて復讐の機会を狙うとは、悠子は只者ではない。
どういう情報網と顔の広さなんだ・・・
・その悠子の正体を短時間で暴き、クラモトに伝える総会屋も只者ではない。
情報収集能力高すぎ。
・復讐のために拳銃を手に入れた悠子。
売人から堂々と拳銃を買ってるが、やはり只者ではなかった。
というか、いったいどれだけ巷に拳銃が流れてるんだ・・・
・拳銃を買ってるところを目撃し、木暮課長に伝えるバーのマスター。
マスター「売人に確かめました。」
って、バーのマスターも只者ではない。
・今回は大門軍団の出番が少ないからなのかもしれないが、銃撃がハンパじゃない。
もはや圧倒的火力をもって制圧するという感じなんだろうなぁ。
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