では続きを。
郷土資料館に海上自衛隊の練習機があること自体、相当カオスですが、そのカオスぶりを特筆すべきものは火砲です。
50口径3インチ連装速射砲(?)(砲身のみ)

何の前触れもなく、突然現れてくる謎の砲身です。
かすかに「防衛庁 54××50口径3××××(×は判読不明)」とありました。
海上自衛隊の50口径3インチ砲だと思います。
こうしてベンチと比べてみると非常に長大なのがわかります。
このベンチは長さを比較するためにおいてあるのでしょうか?
(ベンチにこしかけて大砲の砲身みながらおにぎり食べるひとはそういないでしょうに・・・・笑)

砲身は2門展示(?)してありまして、そのうちの1門は本当に砲身のみです。
こちらがその砲身のみのほうで、基部側にはうっすらと「防衛庁 50口径3インチ砲」の刻印があります。
非常に厚肉ですね。
砲径3インチ=約76ミリですから、肉厚も70ミリ程度あるようにみえます。

こちらが砲口側。
中にライフリング(溝)がきってあります。
砲弾が発射されたときにこの溝で回転させて弾道を安定させるためのものでしょうか。
海上自衛隊の50口径3インチ速射砲は米国海軍の3インチ砲Mk33として供与されましたが、昭和32年より日本製鋼にてライセンス国産としたものを装備するようになりました。

50口径3インチ砲の尾栓部です。
装填は人力で行いますが、「連装速射砲」の通り、砲塔にはこの砲が2門設置されていました。
ここに展示されているのも2門ですが、同じ砲塔の砲身でしょうか?
最大射程距離は11700メートル、砲弾の重さは5.8kgだったそうです。
海上自衛隊はこの3インチ速射砲を護衛艦”やまぐも”型、”あやなみ”型、”みねぐも”型などに採用されていました。
105ミリ無反動砲
105ミリ軽りゅう弾砲

とにかくカオスな展示物の中で、珍品中の珍品がこれ。
105ミリ無反動砲(左)と105ミリ軽りゅう弾砲(右)です。
「106ミリ無反動砲」じゃありませんよ。
両方とも試作火砲です。
なぜこんな貴重なものがこんなところで野ざらしになってるのか非常に不思議です・・・・
105ミリ無反動砲ですが、展示看板によると60式106ミリ無反動砲と60式自走106ミリ無反動砲の基礎設計資料を得るために昭和31年に試作されたものなんだそうです。
「口径105mm、砲身重量115kg、射程1000m(有効射程のことかな?)、砲身長3.3m」とありますから、60式106ミリ無反動砲(実際の砲径は105mmのようです)とほぼ一致しますね。

105ミリ軽りゅう弾砲の操作部を横から。
こちらも試作の火砲です。
陸上自衛隊に配備されていた105ミリりゅう弾砲(M2A1/58式)とずいぶん形が違うのが判ります。

105ミリ軽りゅう弾砲の尾栓部です。
非常に簡素に見えるのは試作砲だからでしょうか?
展示看板によると、日本の地形を考慮して昭和32年度に研究設計して試作した火砲なんだそうです。
研究成果は74式戦車、74式自走105ミリりゅう弾砲、61式戦車、75式自走155ミリりゅう弾砲に反映さえているとありますから、火砲の基礎研究用でしょうか?
ちなみに緒言は「口径105mm、全長(走行姿勢)4.7m、射程8000m、全幅(走行姿勢)1.5m、火砲重量1230kg、全高(走行姿勢)1.1m、砲身長1.81m」とあります。
「走行姿勢」とは何を意味するんでしょう?
牽引砲ということを考えて、牽引時状態での姿勢を意味してるのでしょうか?
それにしても、展示状態はあまり良くはないですね。
白いのはもともとの塗装なのか、それとも下地なんでしょうか?
F-86F要撃戦闘機”旭光”

ミリタリー関連の展示物で、一番ポピュラーなのがこのF-86F要撃戦闘機ではないでしょうか。
それではじっくりみていきましょう。

機首にある12.7ミリ機関砲口です。
F-86戦闘機は12.7ミリ機関銃(74式戦車などの砲塔上部に設置されてるあの.50口径機関銃です)を左右に3門ずつ、計6門搭載しています。
やはりこの展示機は機関銃は外されていますね。
機関銃発射口の前の外板はステンレス板になっています。

F-86Fの1000lb増槽です。
投棄できる追加燃料タンクで、空中戦などで身軽にならなければならないときはこれを投棄することができます。
ちなみにこの増槽がぶらさがってる主翼の機体側に燃料タンクが設置されています。

こちらは右側の主翼先端に設置されたピトー管です。
残念ながら先端部が失われてしまっていますね。
ピトー管とは機体が飛んでいるときに、空気がこの中に入ることで機体の速度を測る為の管です。

機体右側胴体後部に設置されていた冷却用エアインテイクです。
エンジンを冷却するためのものでしょうか。

こちらは機体左側のエンジン排気口近くに設置されている燃料投棄口です。
高熱を発するエンジン排気口の近くにあるのは意外ですね(^^;

こちらはエンジン排気口からのぞいたところです。
さすがにエンジンはありません。
こうしてみると機体の配管などがよくわかります。
機首の空気取り入れ口からエンジン排気口まで本当に一直線なんですね。
左側に太いパイプが見えますが、上の燃料投棄口につながってるのがわかります。

コクピット部です。
・・・涙がまた出てきました。
キャノピーが曇っているのはまだしも、割れて穴があいてるのをプラ板でビス止めして補修してあります(涙)
さらにガンベイドア(機銃が収まっているところのドア)なんか誰かがこじあけたような跡まであります。
大切にしようよ・・・・
にしてもキャノピーを勝手にあけない様に南京錠がかかってるのはなんとも・・・(^^;

垂直尾翼です。
シャチホコが印象的な航空自衛隊第3航空団第8飛行隊のマークが描かれています。
以上、カオスな展示物の詳細でした(^^)
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幸田町立郷土資料館/
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