** 情熱「R」人生 **
僕は35のボディに手を入れたことがない。
今のように35が広まり、町の板金工場に入庫するようになる前に引退した。
だから、35のボディ構造について確かなことを言える立場にはない。
その上で思うのは、まあ、よくある損傷レベルだなと。
まず写真を見て、率直にそう思った。
おそらく内側の補強パネル類が第二世代よりも頑丈な作りになっているだろうから、
そのあたりの修正と交換作業で苦労したかもしれない。
多少なりともフロアやリヤメンバーまで及んでいるようにも見える。
あとは、やはりドアがこれだけ破損していることからAピラーへの波及がどれほどだったか。
おそらく、それなりに修正は必要だったことだろう。
個人的には、編集長の気持ちに同感で、これで廃車や部品取りにしていては勿体ない。
クルマが悲しむ。
クルマの命運というものはオーナー次第というところがある。
たしかにそうだろう。
でも、そうではないケースも多々経験してきた。
それは、誰かが事故車を買って直す、というもの。
捨てる神あれば拾う神あり。
こんな言葉もあるとおり、
まるで敗者復活戦のような逆転劇が繰り広げられることもあるから。
ただ、これが35だったからいいようなもので、もし32や他の第二世代であったらどうだろうか。
現在、外板部品は無いと聞く。
そうなると、残念ながら、このようなレベルであっても不可能に近いのかもしれない。
もしくはセカンドベストな方法として、部品取り車からの移植するのが一番リスクが少ない方法だろう。
このようにして最悪のケースを想定しておくとおかないのとでは、32をはじめとした第二世代オーナーの気持ちの持ちよう、ゆとりが違ってくることと思う。
そのためにこそ必要なのは情報網となる横のつながり、ネットワークになるのだろう。
そういう観点から今号の記事で特に気になったのは、いろいろなショップさんがイベントを開催しているということ。
今号でいえば目黒さん、グローバルさんがイベントや走行会を開催している。
この手のイベントは、ショップの利益云々というよりも楽しみ優先なんだろう。
だから、参加オーナーは皆、生き生きと参加されているようだ。
翻って、かつての自分をみてみれば、「楽しみ」という観点もあって仕事をしていたとは思う。
ただ、当時はまだ周囲の考え方がそこまでには至っていなくて、一番はやはり利益であった。
ようは、そこまで余裕がなかったのだ。
町工場のレベルでは、そこまでの大々的なサービスは難しいのが現実だから。
でも、いまになって思うことがひとつある。
ほんとうに難しかったのだろうか・・・ということ。
それは、自分ひとりの力でやろうとしていたことに問題があったのかもしれない。
イベント記事をみていたら、そう思えてくる。
というのも、けしてショップの社長なり、スタッフだけで開催しているのではないようだから。
応援者となってくれるひとや、実地にボランティア的に協力してくれるひともいたのではないだろうか。
そうすると、ここで問題点がハッキリとしてくる。
それは仲間を頼れるかどうか、ということ。
つまり、つながり。
仲間の大切さというものが効いてくるのではないか。
おそらく、かつて僕はそれに気づいていながら結局は実現できなかったと思う。
どちらかというと、職人として一匹狼的なスタンスであったように自分では思っている。
チームではあったが、気持ちとしてはいつも孤独であったことは間違いなく、
仕事の環境として味方なんだか敵なんだか、よくわからない状況になっていたかもしれない。
責任の重さもあり、とてもじゃないけど頼れるどころの話じゃなくなっていたとも思う。
だから、ざっくりいえば、全部ひとり。
ひとりで背負っていくしかなかった。
そこに苦しみが生まれのは当然のことであって、
いずれ限界にぶつかるであろうことは内心感じていたことと思う。
あらためて今号をみてみると、30万キロを超えてまだ乗り続けるための方法、抜け道がけして途絶えたわけではないことが理解できてくる。
ぼくにはそれが奇跡のように思えてならなかった。
正直な気持ち、まさか、ここまで続くとは・・・。
そんなふうに思っていたから。
だから、GTRというクルマを通してのつながりは、ほんとうに凄い力を持っているんだと思う。
つくづく、そう思う。
毎号毎号、そのつながりの素晴らしさを誌面を通じて見てきた。
辞めた人間にしたら、嬉しいような辛いような、そんな複雑な気持ちもあった。
でも、いま素直にこう思う。
つながりこそ、かけがえのない財産なんだと。
Rを通して、走りを通して、人と人がつながっていく。
たったクルマ一台で、こんなにも素晴らしいことが得られるだなんて、それこそが奇跡なんだ。
Speed Groove. yoshi
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Posted at
2018/06/03 21:22:25