今号のGTRマガジン118号について、思うことをつづれなるままに。
まず、表紙の写真の表現手法が変わった、ということに気がつきます。
ブツ撮り方向ではなく、より抒情的な印象といえるものでしょう。
そこから巻頭記事の写真も、また私好みで気に入ったもの。
とくに、14ページの早朝の都内と思われるロケーションでの、あたりまえのごとくにありがちなシーン。
これは、同じようなニュアンス、「静かな中にある動」を表現する空気感をも作り出すには、たとえ同じカメラを使ったとしても、たぶん難しい。
ありふれた日常のシーンは単調になりやすく、それを新鮮に見せるには、撮影技術以上のものが必要。
きっと感性の違いを思い知ることになる。
たとえば、手前のガードレールのようなものを写しこむかどうか?
ふつうは構図から外すものでしょう。
しかし、それが都会の中にある静寂さのアクセントとなり、かつ、徹底的に磨きこまれたR32のボディへも綺麗に映りこんでいる。
都内の何気ないシーン。
そこを通り過ぎていく追い越し車線の車影と共にあるGTR、なんとも絶妙な一枚であると感嘆したものです。
もうひとつ個人的に興味あるのは、マインズさんと565さんの企画「極上のオーダーメイドR32」。
中古市場の良質なタマがなくなりつつあるなか、無事故・小走行・小サビ程度のコンディションのRをチューンして販売するというもの。
わたしの知る範囲において、まだこの手のコンディションのRを抱えている、在庫している中古車店もあります。(無名だが)
そういう穴場的なところに眠っている32GTRが、これから脚光をあびてくるということになるのでしょう。
しかし、それもいずれは一巡するはず。
海外へと旅立つR32も増えていくという予想。
そうなると、やはりあとは群雄割拠するレストアワールドへと進むしか道がない。
部品在庫も、今号ではタンクが無いと書かれていましたが減っていく。
しかし、お客さんの要望は高い。
各々が気に入っている自動車修理工場なり、関連するサイトなり、一度作業の見本として気に入ったたものと同等か、それに近い作業を欲するのが人間の欲というものでしょう。
しかし、それは、もう出来ないとなったならば、作業する工場側はどう対応していくのか。
仕方なくも、出来ることと、出来ないことの線引きを明示していくことが企業運営上において必要となっていく。
それと同時に、ユーザー側においても情報交錯するなか少なからず迷うであろうことも想像できる。
とかく曖昧になりがちなレストアの見積もりや、ブラックボックス化している作業内容を理解してもらうにはどうしたらいいのか。
そういったことが今後の課題となってくるものでしょう。
前号の企画であった「プライベーター紹介」、そして今号のR32保存会の有志によるレプリカ作りの企画、それらトータルで感じたことですが、これからは「素人の時代」であると思う。
もうそれは、何年も前から実は肌で感じていたことなのですが、こらからはプロの時代からアマの時代へ。
特にエンジン・足回り関係は、そうなりやすいものであり、すでにプロ顔負けのアマチュア・チューナーも存在している。
そして、いままでは聖域のように思われていた板金塗装の分野においても、その胎動はすぐにではなくても、将来的にいずれ目に見えて動きだしてくるでしょう。
塗装ブースはじめフレーム修正機など設備に過大な費用のかかる、アマでは手が出せないと思われていた板金塗装のボディ分野においても、あらたなムーブメントが起こり始めていくということ。
一笑に付されそうな大胆で馬鹿げた発言に思われるかもしれませんが、そう未来予想しておきます。
逆にいえば、プロはプロであり続けるがゆえに、うかうかしていられない時代へとなっていく。
なにせアマは、予算以外に制約というものが基本的にはない。
仲間を募ったり、自宅ガレージや、空いている場所を借りて行うのも方法。
考えようによっては妥協というものが一番少ないのではないか。
プロほどまでには技量がおぼつかなくても、思うが侭に作業に没頭していくものでしょう。
それがアマの強み。
いわば、セルフ・オーダーメイド。
しかも、今の時代、縦横無尽な人と人とのつながり、連携、クチコミと、ヘルプの情報は入りやすくなってきている。
元板金屋だの、元塗装屋だのも、結構身近にいるものでしょう。
そうやって作り上げていく一台。
しかも自らで楽しみながら。
さて、このようにしてプロ連中を焚きつけるかのように書いてきましたが、これは私からすれば集客で苦労しているプロの方達へ向けてのヒントとなるもの。
わたし自身の経験から、そう自負しています。
それは自動車修理業界の活性化となることを願うからこそであり、「素人の時代である」と、そうは言ってもやはりプロに依頼したいと考えているユーザーたちの思いもたくさんあるからであります。
yoshihisa