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SPEED GROOVE @ yoshiのブログ一覧

2017年11月19日 イイね!

自動車修理職人としてのスタイル「マイカーが必要ではない理由」



もし、仕事として、職人を選択し、
職人として、日々を過ごしていくのならば、
雇われているという意識を手放し、
いっそのこと極めてしまったほうがいいのかもしれない。

もし、事業として、職人を選択し、
経営者として、日々を過ごしていくのならば、
雇っているという意識を手放し、
いっそのこと極めてしまったほうがいいのかもしれない。
ひたすら、ただひたすらに、純粋にクルマを愉しむということを。


 職人として生きてきて、それなりにやっているうちに、
だんだんと不思議な感覚が自分の中で高まっていった。
それは強烈にといっていいほどに尖った感覚で、
こだわりを突き詰めているうちに気づいたものだった。
それを良いふうにいえば、達観。
悪いふうにいえば、どうでもいい、という感覚。
これが人間の心理構造というものなのかもしれないが、
心の構造は多層構造になっていて、
あるひとつの気持ちを感じ切ると、
さらにもう一層奥にある気持ちへと深まっていく。

こだわりを追い求めていく裏で、
光のあたっている影の部分には「どうでもいい」という気持ちが育っていた。
つまり、こだわって、こだわって、こだわり続けて・・・
そして、最後はどうでもいい、となる。
いまとなれば、笑い話としか思えないが、
もしかしたら、こうして人生というのは帳尻が合うものなのかもしれない。
プラス、マイナス、ゼロ。

だからなのだろう、仕事へのこだわりを求めていった先の気持ちとして、
しまいにはマイカーなんぞどうでもよくなっていた。
そして、職人を極めていくということは、こういうことなんだろうと思う。
 
お客のクルマが自分のクルマ。
そんなふざけた感覚。
究極のクルマ好き。

もちろん所有権は客名義。
自分のものではない。
しかし、納期、内容、金額、
ほぼすべてがお任せで依頼されるくらいになっていくと、
それは、クルマに対してもっている技術と感覚を全面的に買ってもらっているということを意味する。
自分の感覚への許可にもなる。
とすれば、究極的にいえば、
自分のクルマとして直していくということにも感覚としては成り得る。
そなると、こうなる。
自分の持っているすべてを出し切る。

出し切る。
そうなったとき、もう自分のクルマ、
マイカーなどというものは必要なものではなくなる。
なぜなら、いま作業しているクルマが自分のクルマだから。
クルマに注ぎたいと思うエネルギーのすべてをぶつけ、
情熱、熱意のすべてが注がれていき、燃え尽きるから。
マイカーがあってもいいが、必ずしも必要ではなくなる。
日常の足として、移動の手段として、必要を満たす1台があれば十分。
社用の軽トラでも、空いている代車でもなんでも。
そこに不足感はない。
クルマ趣味としての欲求は既に満たされ切っているから。

職人として極めていくにしても、経営者として極めていくにしても、
もし、日常用途以外の目的でマイカーを持つとしたならば、
それは使い倒すくらいに乗るか、触れるか、磨くか、眺めるものだろう。
愉しみ方の内容はそれぞれだろうが、
純粋にクルマを愉しむということは、ステータスや所有欲そのものは薄く、
愉しむほうに意識が強く向く。
まして、愉しむという観点からすれば、資産価値や投機目的は意味合いが違ってくる。
それはクルマそのものにではなく、お金儲けを楽しもうとしている。
歳をとって眺めるしかできなくなっているとしたら、それもいい。
ただ、所有欲からコレクションしているのだとしたら、
ほんとうは、その自覚をもっと持っておくといいのだろう。
これからの時代、ただ所有しているという形態は、
どうやら一目置かれるような流れではなくなっていくようだから。
ひっそりとした個人趣味に留めておくようにしておくほうが安全かもしれない。

逆に、これからは、純粋にクルマを愉しもうとしているひとたちが生きてくるのだろう。
それは車種にこだわらず、スタイルにこだわらず、
各々が思うように愉しんでいくという流れ。
クルマが効率的な家電へと変化していくからこそ、
逆に、こだわりを表現していくことへの価値が高まる。
それは、なにかとお金がかかり、なにかと手間と面倒がかかるもの。
壊れ、直し、壊れ、直しの繰り返し。
劣化、交換、劣化、交換の繰り返し。
それは嫌になるかもしれないが、循環という自然のありよう、
逆らいようのない法則。
つまりが、わたしたちが生きているということそのもの。
だから、「もう、どうでもいい」と無意味さを悟ることもできるし、
さらには「もう、どうでもいい」と極みの世界に生きようと
愉しむことに素直になることもできる。
クルマへの想い、躊躇なく。
素直に。
そのままに。
それが、職人にしろ、経営者にしろ、
クルマ修理業界のひとたちの基本的な気持ちであるならば、
もっと、ユーザーと共に愉しめる作業環境となるのだろう。

Speed Groove. yoshi

Posted at 2017/11/19 11:50:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | Speed Groove | 日記

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