遠い地平線が消えて深々とした夜の闇に心を休める時
遥か雲海の上を、音もなく流れ去る気流は
限りない宇宙の営みを告げています。
満天の星をいただく、果てしない光の海を
ゆたかに流れ行く風に心を開けば
きらめく星座の物語も聞こえてくる
夜の静寂の何と饒舌なことでしょうか。
光と影の境に消えて行った遥かな地平線も
瞼に浮かんでまいります。
Mikkola航空があなたにお送りする音楽の不定期便 AC-130 ジェットストリーム アタック。
皆様の夜間飛行のお供をするパイロット兼、レフリーは私、ジョー樋口です。
何時も時事臭い話ばかりだとイカレてると通報されるので今回は素敵な音楽の話を・・・
私は車やバイク、艦船や航空機、塗り絵や刺繍、Gunshipとコーヒーのように音楽が好き。
演奏空間や音響機器を追及するオーディオの専門家やプロの音楽家からすれば邪道であろうが、車の中は時にコンサートホールや自分専用の音楽スタジオ、カラオケBOXになる。
好きな曲を好きな音量で好きなだけ聴けることも車やドライブが好きという理由の一つ。
何時も愛機のオーディオは純正のステレオからデッキやスピーカーは一通り交換している。
自分の狭角レンジな耳の感度では、メロウな
ロンサムカーボーイ で充分だ。
だが560SELで初めてFUJITSUのDSPシステムを鳴らした時は音の綺麗さに感動した。
耳から入る音声信号の周波を脳のアンプがメモリーとミキシング変調増幅し心に伝える。
音楽も詩も人それぞれ感性により同じ曲を聴いても誰ひとりとして同じ曲には聞こえない。
瞼を閉じれば、CDがDVDに。 遠い過去もライブになる。
音楽のジャンルはクラシック、ジャズ、R&B、ラテン、タンゴ、ソウル、レゲエ、テクノ、フレンチ、ダンス、パンク、フォルクローレ、ハードロック、ヘビーメタル、映画音楽、J-POP、フォーク、昭和歌謡、童謡から内外の軍歌や軍楽隊行進曲まで詩吟と浪曲、お経以外は殆ど何でも聞く。
ロシア、ドイツ、ラテン、アンデス、カリブ、アイルランド、世界中に良い音楽がある。
国歌は「君が代」が当然、星条旗、祖国は我らの為に、ラ・マルセイエーズも悪くない。
軍艦行進曲 、
抜刀隊 、
パンツァーリート 、
クワイ河マーチ 、
錨を上げて 、
グリーンベレー 、
コンバット
CCCPの赤軍コーラスが歌う
黒い瞳 や
カチューシャ 、また
Internationale 音楽に国境は無い。
自分は音楽とクルマ、女性や料理はノンポリだがピロシキ、ボルシチ、北京ダック、春巻、アオザイ、チャイナドレスのスリットが好きでも頭が固い故に思想まで赤化されない。
ベトコンラーメンと平壌冷麺は消化不良、
義勇軍進行曲 と
東方紅 は食中毒を起こす。
音楽もクルマや料理と同じで色々乗って食べて、初めて違いや良さが分るというもの。
食わず嫌い、聴かず嫌いは自分の世界を狭くする。
だが、どんなジャンルの音楽であっても、コンポーザーやアーティストの好き嫌いはある。
煩いだけのメタル、喚くだけのパンク、サビのないポップス、退屈なクラシックもある。
また好きなアーティストの楽曲であっても好きになれない曲はスキップまたは削除する。
この歳になると新譜に鈍くて流行は関係無く、古い曲が自分のヘビーローテーション。
ストーンズやドアーズ、CCR、ダイアストレーツ、イーグルス、ベンチャーズ、アニマルズ、ビーチボーイズ、エアサプライ、スターシップ、クィーン、ELP、MSG、ディープパープル、イアンギラン、ヴァンヘイレン、ファストウェイ、バッドカンパニー、エアロスミス、TOTO、モトリークルー、ピンクフロイド、ラモーンズ、クラッシュ、U2、ナイトレンジャー、ボンジョビ、ビリージョエル、クール&ザギャング、ボニーM、アース、ボブマーリーなど学生時代から新社会人になった時に聴いた曲を今でもよく聴いている。
機種は変われど拘らないカーコンポのイコライザーを必ず調整する渋いバンドがある。
Stray Cats
ストレイキャッツ独特のギターやウッドベースのサウンドをドアにスピーカーをブチ込んだ愛機の装甲を振わし操縦士の頭の天辺までシビレるように合わせる。
当時は音楽ミーハーが多く、パンチの効いた硬派なロックはまだ不良音楽と思われていた。
自分が Stray Cats を聴き始めた頃は未だ一枚目のアルバム
Runaway Boys の頃で街の不良共も「何それ?」って、知ってる奴は殆どいない、聴いているのは一部少数派音楽不良だけ。
シャコタン乗りの定番は永ちゃんや横浜銀蠅、甲斐バンド、アメリカングラフィティは好きな奴もいた。
だが、Stray Cats をドアまで振動する重低音で聴きながら走ってる奴は少ない。
英語の授業をサボタージュした不良(ダチ)は英語の歌詞が解らない歌えない聴かないw
「名ばかりのGT達は、道を空ける。」
ストーンズの
Satisfaction が二代目セリカのTVCMで流れる。
三代目セリカのCMにはストレイキャッツの曲
Cross That Bridge(What's Goin' Down) が使われて、不良達の心を揺さぶる。
高校を卒業し人生初の愛機、シルバーメタリック初代セリカ LB1600GTVの2TG改エンジンが奏でるソレックスの吸気音とストレイキャッツの共演は脳内でシンクロしアドレナリンが吹き出た。
ストレイキャッツとは
1979年にニューヨーク州ロングアイランドで結成されたネオなロカビリーバンド。
ギター&ヴォーカルのBrian Setzer(ブライアン・セッツァー)
ウッドベースのLee Rocker(リー・ロッカー)
スタンドドラムスのSlim Jim Phantom (スリム・ジム・ファントム)
同級生三人組 3ピースだ。
彼らはアメリカ生まれのロックバンドでありながら渡英しロンドンで先に火が付いた。
日本でシンセサイザーのテクノポップが流行っていた頃にウッドベースとスタンドドラム。
Jeannie, Jeannie, Jeannie や
Summertime Blues に
Wild Saxophone など。
エディ・コクランを尊敬する彼らは往年のロカビリーやR&Bの名曲をカバーしている。
ビル·ヘイリーやチャック・ベリーの影響を受けているが懐古主義のレトロバンドではない。
自分は
Baby Blue Eyes などもオリジナルより、寧ろ彼らがカバーリメイクした曲が好きだ。
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彼らのオリジナル曲はイイ
Rev It Up and Go や
Runaway Boys などの間奏はシビレる。
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アップテンポの曲はハイウェイのドライブにバッチリ来過ぎてスピードオーバーに要注意。
万人受けする Rock this Town や
Sexy and Seventeen から入った人も沢山いるだろう。
数あるオリジナルの中でも歌詞まで渋い、この曲を一度聴いて、いや聴きながら読んでみ。
Storm The Embassy 嵐の中の大使館 (日本のタイトル名)
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Fifty man taken captive in a hostile foreign land
Scorching sun beaming down onto miles and miles of sand
A Mideast country being ruled by a man who thinks it's fun
to hold our people in return for a sjah that's on the run
I think it's funny Freedom takes money
It's a heartache and it's hard luck well that's tough shit man it's no fun
Storm the Iranian embassy before they start shooting down you and me
Scourge of suits in control of the diplomaticness
while the nations of the world look on and they careless
The Soviet Union won't agree to an economic plan
and then they laugh and march their troops into Afghanistan.
Orders from Moscow Invade Teheran now
It's a heartache and it's hard luck well that's tough shit wan it's no fun
Storm the Iranian embassy before they start shooting at you and me hey!
A nation worries and reads the papers hoping that no one has died
hearing rumours that the hostages will soon be tried as spies
demonstrations on the street saying that the end is near
the man from New York Times on vacation wants to know what happened here
Aggressive acts now we want the best now fifty moms crying Is my son dying ?
It's a heartache and it's hard luck well that's tough shit man it's no fun
Storm the Iranian embassy before they start shooting at you and me hey!
この曲はグレッチを引っ掻く彼らブルックリンの野良猫の目から見た、当時の世界情勢だが
何時もながら日本では英語の歌詞が、おかしく和訳され内容も題名も意味が変わってくる。
左巻の偏向新聞ように故意に歪めた翻訳ではないが、自分は下記に様に独断解釈していた。
嵐の中の大使館 (大使館強襲) 歌詞和訳 by Mikkola
50人が捕らわれてる敵対する異国の地、灼熱の太陽が照付ける何マイルも続く砂漠。
逃亡したシャー(王族)と引き換えに我々の身内を拘束して戯れる輩が治める中東の国。
おかしいぜ、自由に金が要る。
胸が痛む不運、お気の毒だって、不愉快だ。
イラン大使館に突入してくれ、奴らが、お前と俺を撃ち始める前に。
外交儀礼の制御に於ける惨劇、世界各国は傍観する。
ソビエト連邦は経済計画に納得せず、笑いながらアフガニスタンに部隊を進軍させる。
モスクワからの命令だ、今すぐテヘランに侵攻せよ。
胸が痛む不運、自業自得だって、ふざけんな。
イラン大使館に急襲してくれ、奴らが、お前と俺を撃ち始める前に。
間もなく人質がスパイとして裁かれる噂に国家は憂い誰も無事なことを願い新聞を読む。
通りのデモは終わりが近いとを言ってる。
ニューヨークタイムズから休暇で来た男が、ここで何が起こったのか知りたがっている。
すぐに積極的な行動を執り、ベストを尽くせ。
50人の母が泣いている、私の息子は死んでしまうの?
胸が痛む不運、ずるい戯言だ、気分が悪いぜ。
イラン大使館を強襲してくれ、奴らが、お前と俺を撃ち殺す前に。
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あの頃、自分と歳もあまり変わらない見た目もトッポい悪そうなヤンキーの兄ちゃん達が
国家間の対立、国際紛争、冷戦、武力侵攻、外交問題、政治的な曲を作って歌っている。
しかも安っぽい愛と平和の反戦歌とは違い、無政府主義なパンクでもない渋い曲である。
妙に捻ったりラリったり、オブラートに包みもせずストレートに事実と怒りの感情を歌う。
「おおおおお、こいつらヤルな、渋いね」初めて聴いた瞬間に一発で気に入ってしまった。
米国ニューヨーク州出身だから、「ヤンキーの兄ちゃん」と呼ばれるのは仕方ないw
今の日本なら彼らはアメリカのネトウヨと呼ばれ、飼い猫からは嫌われるだろうか。
以来、Stray Catsは30年以上ずっと聴いて走る今でも飽きないヘビーローテーション。
政治的配慮なのか。
この曲は日本での彼らのベストアルバムから何時も外されているのが残念だ。
ブライアン・セッツァーはイチローのファン。
81年以来、何度も来日している日本好きだそうだ。
1979年 イラン アメリカ大使館人質事件とソ連のアフガン侵攻。
ホメイニ氏らの反体制シーア派原理主義者がイラン革命を起こし、親欧米派のパーレビ国王は自ら政府専用機のボーイング727を操縦し一族と共に国外へ脱出、キッシンジャー元国務長官が動き、癌の治療の名目でアメリカに入国する。
イラン革命政府はイスラム法学生達を煽動して首都テヘランのアメリカ大使館を襲撃占拠、外交官と警備の海兵隊員やその家族など計52人を人質にパーレビ国王の身柄引き渡しを要求した。
このイラン革命と米国大使館人質事件は
中東にイスラム革命と欧米にテロの嵐 を呼ぶことになる。
その前年1978年、イランと国境を接する東隣のアフガニスタンでは、王族出身のダーウード首相が暗殺され、共産主義者タラキーが首相となり親ソビエトの共産主義革命政権が誕生していた。
タラキー新政権を多分野で後押するソビエト連邦は軍事顧問団もアフガニスタンに派遣していたが、軍隊で抑え農民に武器を配る強行且つ、急速な農地改革に各部族の指導者達が強く反発した為、政権は内部分裂して副首相のアミーンがクーデターを起こしタラキーは首相の座を追われた。
この派閥争いを繰り返えす共産革命政権に対抗する反共反政府勢力がアフガン全土で武装蜂起、政府軍で抑え切れなくなったアミーン政権はソビエト連邦に軍事介入を要請する。
ブレジネフはアミーン政権支援に見せ掛け10万の地上軍を送るアフガン侵攻を決めた。
ソビエト連邦はKGBアルファ部隊とGRUスペツナズに大統領宮殿を急襲させアミーン大統領を殺害してカールマルを大統領に据え親ソビエトの新政権を樹立させた。
CIAは反政府イスラム武装勢力のムジャーヒディーンなど義勇兵に対し極秘に武器を供給、数十億ドルを支援し共産主義政府軍とソビエト軍に対抗した。
パキスタン経由でCIAが義勇兵に届けた数百基のFIM-92 スティンガー携行対空ミサイルで数百機の軍用機を撃墜されたソビエト軍はアフガンの制空権を失う。
強力な空軍・航空兵力の近接航空支援や低空地上攻撃に対して携行型地対空ミサイルは脆弱な防空力を充分に補う。
一方、テヘランの米大使館では拘束が続き人質に暴行が加えられ、イラン革命政府は国際社会から批難を浴びたが釈放には応じなかった。
時の米大統領カーターはペルシャ湾に展開させた CVN-68 「USS Nimitz」 空母「ニミッツ」と艦載の掃海ヘリ RH-53D 8機、MC-130、EC-130とC-141 計10機 AC-130 2機、脱出用の空軍基地占拠に強襲部隊のレンジャーと人質救出部隊デルタを各機に分乗させイラン領内深く侵入する大規模な人質奪還作戦 Operation Eagle Claw 「イーグルクロー」を発令する。
因みに本作戦が米陸軍第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊 通称デルタフォースの初陣だった。
斯くして作戦は実行されたが、空母「ニミッツ」を発艦しイランの防空レーダーの捕捉を避け低空飛行していたRH-53が砂嵐に遭い視界不良で2機が砂漠の合流拠点 Desert One に不時着する。
また、もう1機がエンジントラブルで空母に引返し、遅れて現着した後続の1機が油圧系統の故障で飛行不能になり、この時点で作戦遂行最低機数を割り込み救出作戦の中止を余儀なくされた。
更に撤収中に中継拠点で給油を終え移動していたRH-53が強風に煽られ駐機中のC-130に衝突、積載燃料と弾薬に引火し両機は爆発炎上して死者8名と負傷者4名を出した。
作戦の失敗はパイロットの経験不足と折りたたみ機構を備えるが、サンドフィルター未装備の掃海型 RH-53D シースタリオンを足の長さと空母収容の都合で選択した事も一つの要因であった。
駐テヘラン・アメリカ大使館の人質はパーレビ国王が亡命先のエジプト・カイロで死去した事に拠り、占拠拘束から444日後の1981年1月20日に解放された。
この日、レーガンに大統領選で敗れたカーターが退任しホワイトハウスを去った日だった。
ヒラリーの婿殿はホワイトハウスでは勇気満々だったが、93年モガディシオでアイディードの民兵に MH-60L ブラックホークを墜とされてから地上部隊派遣を躊躇うようになる。
ソ連はアメリカが経験したベトナムでの泥沼をアフガンで味わう事になり、アメリカもアフガン介入に拠り後々まで共産主義者以外からも異教徒として祟られる事になった。
これは当時の世情だが、東西冷戦が集結した今でも中東諸国と米露は傷を引き摺っている。
イラン・イラク戦争、湾岸戦争ではホルムズ海峡封鎖。
そして再び、テヘランの外国大使館は襲撃されることになる。
イスラム革命後、原理主義指導者ホメイニはイラン共和国軍とは別に革命政府に忠誠を尽す軍事組織のイスラム革命防衛隊を創設した。
悪の枢軸。
イラクのサダム・フセインが倒れた現在もイランは中東各地で反米テロ組織を支援しシリアや北朝鮮と兵器開発を続けている。
イラン・ペルシア人の核開発とテロ攻撃にヘブライ人でけではなくアラブ人も怯えている。
そして互いに米軍基地を置くカタールとバーレーンの親米国間にも領土紛争や内政干渉、部族間の確執がある。
「敵の敵は味方。」という具合に東西冷戦が終結した今の中東では単純に物事は進まない。
何時、第5次中東戦争が勃発してもおかしくはない。
日本は1953年 朝鮮戦争の終結前、西側陣営の一員でありながら英国のイランに対する経済制裁を破り、出光興産が原油タンカー日章丸を送り、英国海軍の海上封鎖を突破してイラン産石油を輸入した
「日章丸事件」 より米国と反目するイランとの良好な関係は続いている。
スエズ運河を介する欧州地中海貿易、紅海、ペルシャ湾を積出す中東からの原油に依存して来た日本が何時までも遥か彼方、月の砂漠の他人事、自分には関係無いでは済まされない。
この Gunship ゛HEAVY METAL″のスキンヘッドのコ・パイロットはジョー樋口の弟子。
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夜間飛行のターボプロップ機の翼に点滅するランプは
遠ざかるにつれ次第に星のまたたきと区別がつかなくなります。
お送りしております、この音楽も 美しく、あなたの夢に溶け込んでいきますように
Mikkola航空がお送りした音楽の不定期便、ジェットストリップ
夜間飛行のお供をいたしましたパイロットは私、
イルカに乗れなかった飛行少年、城みちるでした。
また何時か、午前0時にお会いしましょう。
最後に彼女のお気に入りだったスローなナンバー Lonely Summer Nights この曲も泣かせる。
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今回も純粋な音楽の話にはならなかった・・・
長期に亘ってUSSエンタープライズの副長兼、科学主任を務めたスポック少佐に捧ぐ。
次回は平成昭和のセクシーアイドル特集、
ゲストは天才作曲家、佐村河内きみまろ先生の予定です。
どうぞお楽しみに。
嘘ぴょん。