
今日朝我が家の前を最新型と思しきドゥカティのバイクがドコドコと独特の快音を響かせながら通過していったのが妙に懐かしくて、当時自分が安月給をつぎ込んで何年もドカと付き合った時代を指折り数えてみたら~なんともう40年も前の事だったと分かりかなりのショック!を受けてしまいました…。
美術学校を出て当時引く手あまただった広告デザインの職人生活。深夜早朝に及ぶ毎月400時間オーバーのハードな仕事柄都心のボロアパートに住みながら通勤の足はもっぱらバイクでした。そんな仕事に追われていた毎日で唯一の生きがいとばかり給料を殆どつぎ込んだ2台のバイク。
メインは900DMRマイクヘイルウッドレプリカ。そしてサブは既に旧車となりつつあった250MARKⅢ。
実は僕の住んでいたアパートの坂上は当時既に超高級住宅街。千昌夫氏が金髪の美人奥方と住んでいたのは知っていましたが、カタログのロケの撮影日のある日の朝4時。真っ白いトレーニングウエアの男性が敷地の外で待ち構えているではないですか!ちょっと怖いなあ。
軽く会釈をして目を合わせまいとそのまま逃げるようにキックスタートの準備をしているとその男性は「カッコイイバイクだねえ。走っていくところまで見てていいかい?」としわがれたどこかで聞いたような声で言うではないですか。
ビビった僕は「あ、ああ構わないですけれど…」と答え、まだ薄暗い中をしゃがんでしげしげとバイクを覗いているその男性の顔を覗いてまさにのけ反ってしまった!「あ、あ~、もしかして、や、矢沢永吉さんですか!!」
「うん、俺の事知ってるの?」だと仰るではないですか。
そして彼は僕のことをバックミラーで見えなくなるまで見送ってくれました。ちなみにこのバイクだけは青山一丁目のホンダ本社に打ち合わせで乗り付けても246の青山通りから見えるところに停めさせてくれました。普通メーカーさんは他社の製品で乗り付け厳禁なのに一体何でだろうなあ~。そういえばいすゞさんもそうだった。
そのしばらくあと、今度は夜の六本木の旧テレ朝通り(今の六本木ヒルズそば)で250MARKⅢが突然アイドリングストップ。そろそろ寿命になりつつあったキャブのフロートからのオーバーフロー。シコシコしゃがんで弄っているとフレームの向こうから短髪の麻のスーツの男性が同じ目線の高さでこちらを覗いているではないですか?
「フロートバルブから洩ってるのかな~?」
静かな語り口の紳士はどこかで見たような気が…。
「あ、あの、もしかしてか、片山敬済さんではないですか?」とびっくりして聞くと
「よく俺のことを知っているねえ」などと謙虚に仰るではないですか!
だって片山さんは確かプライベーターでWGPのチャンピオンになられたとバイク業界のみならず世間では凄く騒がれていましたからね。
今思うとまさに普段まず逢うことなどないお二方でしたから最高に嬉しかったなあ。
バイクってつくづくいいもんだなあ。正に青春の生涯忘れ得ぬ思い出だったと今も懐かしく思います。



Posted at 2025/03/14 16:26:34 | |
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