業者オークションは魔窟です。
路上からは抹殺されて久しい、エキセントリックなシケモク車がゴロゴロと出てくるのです。それにつられて私の理性もガラガラガラと崩れてゆきます。
来た来た来た来た来た~!我が世の春が来た!!
平成元年式、550のCM11V、4駆ツインカムターボのRS-R、走行9万キロのフルノーマル。
で、ポチっとな。 あ、入札しちまった・・・
━━ああ、なんと呪われた因果か!!━━
(注)出典:「ハムレット」第一幕第五場
The time is out of joint: O cursed spite,
That ever I was born to set it right!
だから新婚初っ端からマダオ(マルでダメなオヤジ)になるのはヤなんですってば。血の気が引いて、心の奥底まで冷えてゆくのがわかります。
まさに絶対絶命の大ピンチ!
命からがら逃げ延びるのを覚悟していたところ、まぁ何とか幸いなこと(?)に、あっさり塩味で競り負けて一命を取りとめた負け犬なドッグデイズ・・・
それでも誘惑は続きます。気分は正に、毎日毎日、鉄板の上で焼かれるタイ焼き君です。
いい加減、何シテル?に毎日アップするモチベーションが保てません。
そこで突然ですが、これからはその週の気になる物件を週末に『ザ・ベストテン』方式で、お届けすることにしましょう。
━━さぁ宴だ、ものども!神を迎い入れるような気持ちで、ゆっくりイカ男を生殺しにして存分に楽しもう!
いや、死活問題なんで・・・真面目にやるんですってば。
わたしの脳味噌さん、わかってますか?
●第8位:平成6年式シャレード1500CR

いきなり初っ端から趣味全開!!
まぁ、シャレードおたくだったら1台はノミネートさせなきゃですよね(笑)

1.3リッターがメインの前期では珍しい1,5リッター搭載の最上級グレードです。
平成5年8月に追加された1,5リッター車なのですが、現車は発売より1年弱が経過した平成6年9月登録にもかかわらず車体番号は6000番台・・・輸出も含めて月当たり500台程度の生産?
でも前期の1、5は、ある意味売れなくて当然なんです。
なんせ3ドアの1,5TRは128,5万円なのに、フルエアロでレカロシートやナルディのハンドル、ピレリのタイヤにアルミ、エンジンもハイカム、タコ足、デュアルマフラーで武装した1,6リッターのデトマソが129、8万円だったんですから!?(5MTの価格)
5ドアのCRともなると更に高価で133,5万円・・・もうちょっと足したらアプローズのフル装備グレードが買えちゃいます。
しかもバブル崩壊のあおりを受けて高価な癖に、ド初期の最上級グレードだった1300CXでは標準装備のオートアンテナやインパネの時計なんかが、しっかり剥ぎ取られちゃってます。
こりゃ関係者しか買わんでしょ。

現車はユーザー買取のワンオーナー、走行6,3万キロのAT、右面修復アリでピラーが歪んでるらしいのですが内装はB評価なので、わりと大切に扱われていた個体っぽくもあり、ネタとして入手してもよかったやも?
流石にデビューから20年が経過し、街中では見かけなくなったので、やっぱり手に入れるなら今のうちでしょうか?
●第7位:平成2年式ジェミニクーペ・OZ(JT191)

初代べレットジェミニを彷彿とさせるフラッシュイエローのボディカラーが、あな珍しや!
ボディカラーも相まって、GMのコンセプトカーみたいです。
当時はボロクソに叩かれたデザインですが、今の目で見ればすごく綺麗に纏まった小粋なものに感じられます。少し早すぎたのかもしれませんね。

現車は、走行10,5万キロ、5速の外装3,5点評価、内装はC評価。
年式からすれば綺麗ですし、マフラーやアルミが社外品になってるのでマニアのご所有だった個体なのでしょうか?
でも、この個体が出品されている岡山県は、天然オーナーが普通にこういうのに乗ってたりするんで油断は禁物です(笑)
●第6位:昭和61年式クオーレ・グラン(L70S)

軽自動車の高級化路線の皮切りとなったグラン。
スティタスを感じさせるブロンズガラスに電磁ロック、フルフラットシート、サイドモール、標準グレードではOP扱いのデジタルクロック、電動ミラーなどを装備し、Cピラーには専用の立体エンブレムが白いラインの加飾つきで輝いています!

この個体は更にOPも多数で、外装ではハロゲンフォグランプ、フェンダーマーカー、ハッチバックハンドル、内装ではコンポ用コンソール&カセットデッキ、シートカバーなんかが装着されています。
ワンオーナーの走行は5,9万キロ、スペアパーツも多数付属なのですが、コアサポート交換の修復アリ扱いとなっています。ただ、内装はB評価なので、かなり綺麗なものかと。
ここまでくれば、分かる人にはわかっちゃいますね。
はい、そうです。某大手中古車検索サイトに半年以上もの間、出ずっぱりだった個体です。既知の個体でなければ文句なしのナンバーワンだったんですけどね。
●第5位:平成元年式スプリンター1600GT(AE92)

実は、これも入札しちゃってました(爆)
相場の読めない古カローラ系の例に漏れず、案の定競り負けましたが危うく家庭崩壊の引き金を引きかけた一台なのです。

現車はハイオク化された後期の140馬力仕様の5MT車で、走行は13、7万キロなれどワンオーナー車のディーラーフルメンテ、前回車検時はスプリンターなのにトヨタカローラ奈良で27万5千円もかけて整備されていたのだとか。

エアコン故障となっているので、それが原因で手放されたものと推測されます。
フロント修復歴アリ、ドライブシャフトブーツ切れの異音がなければ、もっと頑張ったんですが・・・
世間的には評価の高いAE100系も所有してましたけど、個人的にはAE90系こそがベストカローラかと思います。
ノイマイヤー氏の前期GTに機会がある度に乗らせて頂いてるんですが、カローラらしいベストなスケール感のサイズに、とにかく素直なフィーリングの乗り味は、まさに車に乗せられているのではなく、気負うことなく車を着るといった自然な感覚。
欧米でよく出来たファミリーカーの褒め言葉として多用されているブレッド&バターカーならぬ、白米と味噌汁カー・・・まさにお袋の味なのです!!
80系だと折り紙細工みたいなペナペナ感(褒め言葉)が素敵な軽快感の草食系だし、逆に100系だと本気すぎて肉汁滴るステーキみたいな肉食系で気が重い感じだしで。(自分が乗ってたのが1600のSE-Gというのもあるんでしょうが)
しかし不思議なのが、この90カローラに限らず、80年代のトヨタ車は乗るたびにとても幸せな気持ちになれるところ。
こんな気持ちで運転できる車が路上に溢れかえっていた80年代の交通事情はさぞかし平和だったのでしょうね。ユーチューブなんかに上がっている画像見てても運転レベルが今より明らかに高いですし・・・
●第4位:昭和63年式ファミリア・カブリオレ1600(BFMS)

そんなにレアな感じのしないBFファミリアのカブリオレですが、最終の平成元年登録の個体でも車体番号が900番台なので、どうやら国内販売されたのは1000台弱のようです。
車体番号で判断するに前期の1500ターボは200台程度しかなく、そのほとんどを占めるのが1600ツインカム化された後期型のようです。
と、ゆーのも前期カブりオレは最上級スポーツモデルの四駆ツインカムターボの1600GT-Xが189万円なのに対して、1500シングルカムターボの5MTのみで、色も白しか選べないのに195万円と非常に高価格だったもので。
とはいえ、ハンドメイド部分がある上に、西ドイツ製の外皮を使った3重構造の幌、しかもリアウィンドは熱線つきのガラス!、ルーフを切り取った剛性不足を補うべくフロア強化、センターピラーをつなぐロールバーを装着など、内容を考えれば充分に納得のお値段なのですが。
あと、あんまり知られていない芸コマポイントとして、盗難対策にグローブボックス、トランク、給油口、リアシートバックなどの各開閉部がキーつきに変更されています。
流石にメーカーも拙いと思ったのか、昭和62年にマイナーチェンジした後期型では、一気に20万円引きの175万円に価格が改訂されてATも設定されているのですけれども・・・

現車はそんな後期型のカラードバンパー化された最終型で、驚くべきは、その走行距離!!なんと実走1,5万キロ!!
とにかく見ての通り、めちゃんこ綺麗です。もはや新古車レベルかと。
ただ残念ながらフロント廻りに修復アリのR点扱いなんですよね。それがなければ、トップ3も狙えた一台でありました。
●第3位:昭和55年式スプリンター1600GT(TE71)
わたしとしては意外なことに、今週のトップ3はみんな基本設計が70年代の車となりました。

そのトップバッターを飾るのは、もはや語るまでもない超希少なフルノーマルのTE71前期型スプリンターGT、しかもユーザー買取のワンオーナー、実走行6,7万キロ、記録簿多数とくれば、もはや悶死ものです。

昭和のメタリック塗装なのにクリア剝げもなく、純正のフォグ、マット、ドアバイザー完備でサンバイザーにはビニールまで残ってるのだとか!!

フロントに修復歴アリ、コアサポートと左右インパネに歪みはあるながらも、これは本当に良い物件ですな~
●第2位:昭和54年式ギャランΣ2000スーパーサルーン(A133A)

つい最近トミカリミテッドでそっくりさんがでましたね(笑)
丸目4灯の前期がモデルのミニカーとは異なり、現車は昭和53年10月のマイナーチェンジでセミスラントノーズ、角形4灯式ヘッドランプ、大型リアコンビネーションランプ、衝撃吸収式の大型ウレタンバンパーを採用した初代の後期型です。

走行2,7万キロ(但し5桁メーターの為不明扱い・・・でも実走行っぽい)、空気清浄機つきの3,5点評価です。
社外キーレスとスペアパーツ車載の3桁ナンバー車なんでマニアの方のご所有だったものかと?
最上級グレードのスーパーサルーンは、パワステ、パワーウィンド、、チルトステア、カセットステレオ、リアリクライニングシートなど現代車と較べても遜色のないフル装備っぷりが売りの高級車です。モコモコのモケットシートのみならず、本皮シートも設定されていました。

画像では見えにくいですがメーターパネル内に、80年代の三菱車はもとより、後のシャリオグランディスなんかでもMMCS 7インチ純正モニターに操作時に表示されていた空調の絵表示フォントが初登場したのもこの車です。
●第1位:昭和55年式コロナ1800SLツーリング(TT132)

現車は昭和55年8月にスラントノーズ、異型ライトの後期型にマイナーチェンジされる直前の昭和55年7月に登録されたウレタンバンパーの前期最終モデル。
SLツーリング(後期ではSL・EFI)はツインカムエンジンの2000GTの陰に隠れた為に新車時から希少な、105馬力の3T-EU型1800CCEFIエンジン搭載のスポーティグレード。

セリカ、カリーナで同エンジンを搭載するST・EFIグレードの足回りは、タイヤ幅は165サイズでリアブレーキはドラムに留まる中、コロナだけはGTと共通の185幅のタイヤ、4輪ディスクブレーキ、9インチ大型ブレーキブースターなどを備えています。

当時の雑誌のインプレなどによれば、エンジンとサスペンションのバランス、特にハンドリングはGTがフロントヘビーによるアンダーステアやパワーにサスがついてこない傾向があるのに対し、SLツーリングは軽快かつ素直な動きで、基本的に弱アンダーステアながら、うまくテールを流して走ることも可能な程だとか。
グレードの希少さもさることながら郡57ナンバー、ワンオーナー、ディーラー記録簿完備、4点評価、内装もB評価と、年式&9,3万キロという走行距離からすれば異様なまでの極上っぷりがノミネートの理由です。
だから、今週はこれで許してください。わりとマジで。