第2次MYブームのプラモデル製作の資料用に北米仕様のAE86について調べたので覚書きです。自分ごときが語るのはおこがましいような人気車種かとは思いますが、実はAE85(GLライム)の元オーナーだったりするので、どうぞご容赦を。
AE86の北米仕様は、1984年にFMVSS(米国連邦自動車安全規格)で電球交換式ヘッドライト(異型ライト+ハロゲンHb1球)が許可されるまで、SAE規格型ヘッドライトを使用することが義務付けられていた為、トレノ顔を装着したレビン、いわゆるトレビンがカローラクーペとして販売されていました。
●1984モデル
ボディ形状は2ドアクーペと3ドアハッチバック(リフトバック)の2種類。当初は4A-Gツインカム搭載車は導入されず、1,6リッターのシングルカムエンジンを搭載した、国内の1,5SR(AE85)に相当するSR-5、1,5GLに相当するDX(一般販売されていない?)が設定されていました。
国内トレノ2ドアGT APEXのイメージカラーであるハイメタルツートンと同色の銀黒ツートン(2M8)とホイールのせいか、ぱっと見の印象は代わり映えしませんが、大型5マイルバンパー、それに伴い変更されたグリル、サイドマーカーなどのレンズ類など、北米仕様のお約束装備は満載。
リフトバックも国内トレノ3ドアGT APEXのイメージカラーのハイフラッシュツートーンと同色の赤黒ツートン(2M9)のせいで、古谷一行さんが『衝撃、SEXYトレノ。』 って言い出しそう。

でも国内と北米でイメージカラーが一緒っていうのは割と珍しい例かも?これらのツートンカラーとアルミホイールは、スポーツシートとセットで「スポーツパッケージ」としてオプション設定されていました。
素のSR-5はというと、黒バンパー、AE85と共通の13インチデザインスチールにトリムリングの付いたホイールで、こっちの方がバタ臭くて北米感が強いですね。
内装もデザイン的には左右が反転しているだけで、セリカ系と共通のクラッシュパッド内臓ステアリングやマイルメーター程度の違いしかありません。

内装色は国内のGT系に設定のある茶色&あずき色がなく、AE85と同じ茶色&ベージュ、ブルー&グレーの2色だけだったようです。
なので国内には存在しない茶&ベージュカラーのスポーツシートという仕様も北米では選択可能でした。
エンジンは、4A型1587ccSOHCエンジンを電子制御キャブでカリフォルニア州の排ガス規制に適合させた4A-C型を搭載。
それ以外の機関系は基本的にAE85共通で、5MTと4ATが選択可能でした。

シングルカムでも一応4A型なのでコーションプレート上はAE86となりますが、北米のVINナンバー(ドア内側についているプレート)だとSR-5グレードのみAE86、DXグレードがAE85という、ややこしい事態に。
北米仕様らしくオプションも豊富で、サンルーフ、クルーズコントロール、エアコン、パワーステアリング、電動ミラー、リアワイパーを組み合わせることで機関系以外は国内のGT APEXと同等の仕様を作ることも可能です。
●1985モデル
待望の4A-Gツインカム搭載のGT-Sグレードを新たに追加。北米市場でトヨタが初めて販売するツインカムエンジン搭載車でもありました。
SR-5とは気合の入り方が全然違い、フロントスポイラー、リアスポイラー(リフトバックのみ)、14インチアルミホイール、カラードバンパー、専用ストライプなど、国内や他の仕向け地とも全く異なる独自の仕様となり、スペシャルモデル感が強調されていて素直にカッコイイです。

バンパー下部をブラックアウトして引き締める手法は、当時FFコロナ(T150系)でも用いられていましたね。
GT-Sの内装は、GT-Sの導入と引き換えに廃止されたSR-5のスポーツパッケージ内装と共通の仕様となりますが、デジタルメーターがオプション選択可能になり、内装色は国内GT系と共通の茶&あずき色の他、当時の国内仕様には設定されていない黒&グレー内装も設定されていました。
GT-Sは5MTのみ設定、国内GT APEXと同じくリアディスクブレーキを標準装備、LSDもオプション装着可能で、SR-5と同じくGT-Sもオプションの幅が広く、組み合わせ次第で国内のGT APEXにもGT-Vにもなったようです。
肝心の4A-Gは、カリフォルニア州の排ガス規制に適合させる為にエアフロメーターをフラップタイプのLジェトロ方式(おそらく3S-Gの流用)に変更、高負荷連続走行に耐えるようオイルクーラーを装着した4A-GECを搭載しています。

北米で4A-G搭載車はコーションプレート上はAE86、VINナンバー上ではAE88として扱われていいます。
●1986モデル
国内のマイナーチェンジに対応した変更を実施、いわゆる後期型です。この1986モデルからセダンは異型ライトに変更されましたが、クーペモデルはアメリカ人がリトラクタブルライトを好むことからトレノ顔のままとされました。
リトラクタブルヘッドライト前端が黒い樹脂だったのをガーニッシュ化、レビンと共通デザインのテールレンズを小型化したのは国内と同じですが、フロントの5マイルバンパーのデザインもシンプルなものに改められ、SR-5グレードではバンパー上部をカラード化、法規対応でハイマウントストップランプも装備しています。

SR-5にオプションの13インチアルミも国内後期と共通デザインのものに変更されています。
SR-5にのみ赤黒ツートン(1985モデルから2T6に変更)が引き続き設定されましたが、1986モデルのみサイドモールが塗装されておらず何だか締まりません。
GT-Sグレードは、国内ブラックリミテッドと共通デザイン・・・というかGX71流用のアルミホイールに変更、国内でOP品のイントラアルミにセットされるホイールアーチモールを装着、バンパーはモノトーン化、サイドステッカーが小版になったこともあり、大人っぽい雰囲気になりました。
GT-Sにもツートーンカラーが設定されていましたが、ライトブルー/ミディアムブルー(2X5)という、スプリンターカリブのような色で違和感バリバリです。だが、それが良い。
このツートン、セダンにも設定あるんで驚きです。
一方、内装の変更点は少なく、ステアリングのデザイン変更と計器版の手直し程度です。
スポーツシートも前期型のデザインのままという中途半端さ。なんだかフジミのプラモみたい(笑)

しかし形状こそ前期用に似ていますが、よく見ると別物かと。
内装色は茶系がカタログ落ちとなり、SR-5は黒&グレー、ブルーの2色、GT-Sは黒&グレーの1色のみに減少しました。
●1987モデル
次期モデルのAE92系を意識してか、リフトバックは廃止され、2ドアクーペSR-5とGT-Sのみのラインナップとなりました。

それまでの販売割合でいうと、2ドアクーペ1に対してリフトバック9という状態だったので、現地法人的に面白くない状況だったというのは想像に難くありません。
モデル末期だけに殆ど変更らしい変更点はありませんが、1985モデルでカタログ落ちしていたSR-5のスポーツパッケージ内装が復活しました。
●北米仕様ボディカラー一覧
<GT-S>
・Black Metallic (204):1986モデル
・Black (202):1987モデル
・Blue Metallic (8D7):1987モデル
・Medium Blue Metallic (8D4):1986モデル
・Medium Gray Metallic (159):1987モデル
・Red (3E6):1985モデル~1987モデル
・Silver Metallic (147):1985モデル
・Silver Gray/Black (2C5)141+202:1985モデル
・Lt Blue/Md Blue (2X5) 8C7+8D4:1986モデル
・Silver/Gray (23D)164+159Black (202):1987モデル
<SR5>
・Black (202):1987モデル
・Blue Metallic (8D7):1987モデル
・Dark Gray (136):1985モデル
・Dark Orange Metallic (3D6):1984モデル
・Deep Blue (8B1):1984モデル
・Light Blue Metallic (8A8):1984モデル~1985モデル
・Light Blue Metallic (8C7):1986モデル~1987モデル
・Light Topaz Metallic (4E1):1984モデル
・Medium Gray Metallic (159):1986モデル~1987モデル
・Red (3D7):1984モデル
・Red (3E6):1985モデル~1987モデル
・Rose Gray Metallic (3C7):1986モデル
・Silver Metallic (147):1984モデル~1985モデル
・Silver Metallic (148):1987モデル
・White (038):1984モデル
・White (041):1985モデル~1987モデル
・Wine Metallic (3G9):1987モデル
・Yellow (558):1987モデル
・Silver/Black (2M8)147+202:1984モデル
・Red/Black (2M9) 3D7+202:1984モデル
・Red/Black (2T6) 3E6+202:1985モデル~1986モデル
・Lt Blue/Md Blue (2X5)8C7+8D4:1986モデル
・Silver/Gray (23D):1987モデル
以上がカタログモデルの変遷な訳ですが、プラモ製作の息抜きに軽く調べただけなので違っている点があったらごめんなさい。(でも作っているプラモは北米仕様じゃないの)
最後にカタログモデルばりによく出来たボディ改造事例をご紹介。TE50系や70系に設定されていたリフトバックボディを彷彿とさせます。

流石はカスタム文化の根強いアメリカだけあって盗難アジアの切った貼った音戸のお化けとはエライ違い。 えっ?アコードエアロデッキみたいですかそうですか。