※(注):2017年に下書きした直後に第1子が誕生した為、放置していた物の加筆修正版につき、現代というには微妙に古いラインアップになります。
きっかけはバイパス道路での一幕でした。
間違いなく面倒臭い事をやらかすに決まってそうな今日のプリ○スが後続にログイン!!
ここは距離を置くのが正解です。しかし、いつになく絡んできます、ネバネバです。
コーナーであれば乗り手の性能次第で、どうとでもなるのでしょう。ですがストレートではエンジンの出力差、厳密にはパワーウェイトレシオの差が戦力の決定的差になり得てしまいます。
「力こそパワー」
しょせん世の中は弱肉強食です。強い者が勝ち、弱い者は淘汰される・・・ここで真理に気が付きました。あぁ、暴力。やはり暴力こそが全てを解決するのですね。
とはいえ、ただ闇雲に力を誇示するのもスマートではありません。そうです、羊の皮を被った狼こそ真の強者の証なのです。
では、羊の皮を被った狼の定義とは何でしょうか?
ざっくり分類すれば、おおまかに以下の4種に大別されるものと思います。
①確信犯パターン
好事家向けに付加価値を高めたもの
(例)サニーVZ-R、ギャランVR-4、ブレイドマスターなど
②競技ベースパターン
走行に必要ない部品、交換を前提とした部品を廉価グレードと共用しているもの
(例)ストーリアx4、ブルーバードSSS-R、ランサーRSなど
③廉価版・カスタムベースパターン
財布の軽いユーザー向け、もしくはカスタムベースに高出力グレードの装備を省いたもの
(例)71チェイサーGT-S、初代フォレスターC/tb、初代ステージアTypeBなど
④モアパワーパターン
標準エンジンより動力性能に余裕が欲しいユーザーに向けたもの
(例)L200ミラJターボ、110マークⅡグランデG-tb、MPV23Tなど
しかし今となっては、いずれのパターンも順調に衰退中。
室内の広さや燃費には拘るのに、動力性能には全く拘らないユーザーが大半となっては、エアロやメッキでゴテゴテに飾り付けて付加価値を訴求する方が、商売としては美味しいでしょうし(ゲス顔)
仕方なしに例に挙げたような旧車でヤキモキするのも、いまさら何かが違う。
私は、なろう転生モノの如きインスタントで安直な愉悦に浸りたいのです。
さすれば、ここ10年以内のお手軽な中古車がターゲットになってくるのが自然な摂理でありましょう。
トヨタ
羊の皮を被った狼の代名詞、カローラGTの銘は140系の特装車を最後に残念ながら消えてしまいました。しかし、その魂は不滅、後継モデルにもしっかり受け継がれているのです。
■160系カローラフィールダー1.8S

140系より100kg近く軽量なヴィッツベースのプラットフォームに、4バルブ時代のハイオク仕様4A-Gと同等の出力、初期3S-GEと同等のトルクの1.8バルブマチック2ZR-FAE型エンジン(140PS/17.5kgm)を搭載。一説には下手な2リッターターボと遜色ない動力性能なのだとか。

エンブレムと少し太いマフラー以外は1.5と見分けのつかないルックスなのに、専用チューンの足回り・クイックレシオのステアリングギア比の採用など、手抜きなく細かい所まで手が入っています。
■180系オーリス素のRSグレード

当時のカローラシリーズで唯一6MTを搭載するスポーツグレードなのに、エアロレス、鉄チンホイールキャップ、素ガラスなど、まるで外装は欧州向け一般仕様のようです。

ハイオクエンジンなのでエスクード3ドアみたいに輸出仕様を本当にそのまま売ってるのかと思いきや、調べてみたところ海外に同一仕様は存在していませんでした。
■プレミオ/アリオン3ZR-FAE搭載車

後期高齢者御用達な旧来のトヨタ車らしいキャラクターもあってか、走りとは無縁なイメージが強い両者。実は、2リッターバルブマチック車は上級車からのダウンサイザーの受け皿という役割を持つ為、動力性能も上級車に匹敵するレベルに設定されているのです。
重量級のノア/ボクシーを軽々と走らせる3ZR-FAEエンジン(158PS/20.0kgm)を、30系ビスタ辺りと変わらない1200kg弱の車体に載せているのだから、そりゃ遅い筈がありません。
オマケに「1番高いの持って来い」と購入する傾向の強いユーザー層がターゲットだけに、本革シートのスペリアパッケージのタマ数が多いのも◎です。

こうして見てみると、バルブマチックのエンブレムは、かつての「TWINCAM」エンブレムの現代版とも言える高性能エンジンの証なのかもしれません(これでオイル食いの持病がなければサイコーなのですが)
ニッサン
スカイラインに追加された3リッターターボで元祖の意地を見せてくれた訳ですが、既に現行のスカイラインという車種自体が羊の皮じゃないような気がしないでも・・・
■K12マーチ12SR(専用スポイラーレス仕様)

わざわざ風洞実験までして開発した専用のエアロをレスにする、ある意味とても贅沢な仕様です(ベースから5万円安)
レアなようでいて、12SRという車種自体が通好みということもあってか、意外とタマ数も多い気が。
■K12マーチ1.5リッター車(除くSR-A)

見る人が見れば分かってしまう12SRのエアロレスと異なり、車検証を見なければ判別がつかない見た目で馬力は12SRと同等、トルクは圧倒的に上、ぶっちゃけ加速だけなら12SRより速いというのは反則でしょう。
■ノート1.2 X DIG-S シンプルパッケージ

スーパーチャージャー付きHR12DDRエンジンに最廉価グレード相当の装備を組み合わせる、価格表と装備表にしか記載がない裏技的パッケージOP仕様です。(前期型にはS DIG-Sとして単独グレード設定あり)

日産はDIG-Sをトヨタのハイブリッド対抗という売り出し方をしていた為、おそらく環境意識の高い企業や官公庁の営業車需要を狙ったものだったのでないかと思われます。

ベースのX DIG-Sが14インチ(185/70R14)なのに対し、シンプルパッケージは15インチ(185/65R15)にインチアップディスクされ、若干タイヤ外径を大きくする事で、僅かながらハイギヤード化されているのがポイントです。
ホンダ
エンジンのホンダ神話は今でも健在です。やはり他メーカーとはベースエンジンですら質が異なり、ある意味では全車が羊の皮を被った狼と言えるのかもしれません。
■フィット3ハイブリッド・ベースグレード

ベースグレードとは言っても単なる廉価版ではなく、燃費世界一を目指し、「なりふり構わずやった。今は反省している」と開発者様が後に懺悔しちゃうレベルに超軽量化したスペシャルバージョンになります。
高コスト過ぎて他グレードに展開できなかった専用アルミボンネット、フィット最大のセールスポイントである重たいダイブダウンシートを省いたギミックなし専用リアシート、専用小型燃料タンク、ブレーキ系統の軽量化、内装材・遮音材の簡略化などにより60kgの軽量化を達成。リアワイパーレスで穴に蓋があるのが見分けるポイントです。

おもわず「お前はNSXのタイプS・ZERO」かとツッコミを入れたくなる、ホンダイズムの爆発っぷりは、よっぽどRSより競技ベースに適してるんじゃないでしょうか?
当然のごとく収益性が極端に悪かったようで、これだけ力を入れた仕様なのにメーカーとしては全く売る気がなく、積極的に宣伝されることはありませんでした。
スバル
古くから紳士の乗り物と謳われているだけに、これみよがしなSTI仕様でアピールすると同時に、大人っぽいレガシィGTなどもラインナップし、あらゆるスバリストが笑顔になれるような商品戦略が特徴でした。(過去形なのは、SGPプラットフォーム世代になった途端、これみよがし仕様ばっかりになった為)
■GH8インプレッサ 2.0GT カスタマイズエディション

BPレガシィに端を発し、BRZのカスタマイズパッケージに至るまで、モータースポーツに限らない幅広いカスタマイズを提案する改造ベースという位置付けで設定されていた仕様です。
普通の1.5あたりと変わらない内外装に伝統のEJ20ターボを組み合わせるA型S-GT標準車(非スポーツパッケージ)を引き継ぐ内容は、よっぽど詳しくなければインプレッサが大好きな窃盗団にすらスルーされてしまいそうです(笑)
マツダ
流石は車好き相手の商売に特化する商品戦略を打ち出すだけに、マツダ6の2.5ターボや、マツダ2の競技ベース車15MBなど、羊の皮を被った狼を現在でも多数ラインナップしています。
■DE系デミオ・スポルト14インチ仕様
フツーの外観に1.5リッターエンジンを搭載した15Cも面白いグレードではありますが、MT設定ありで意外と競技ベースとしてメジャーな為、逆パターンとなる1.3のエアロ付きお買い得特別仕様にしか見えないスポルトというのは如何でしょう。

スポルトにのみ、交換を前提としたのか標準装備の16インチアルミホイールを、14インチ鉄チン・ホイールキャップ仕様にダウングレードできるメーカーOPの設定がありました。元々ブレーキサイズは14インチなので機能的には何も変わることが無い為、競技ベースとしての側面があったのかもしれません。
他にも、ベリーサ用と同デザインの15インチアルミ仕様も選択可能でした。

そもそも大きいホイールを履くのは大きいサイズのブレーキを収めるのが主な目的であり、見た目だけの極端なインチアップは重心が上がる・バネ下重量が増加する・低扁平タイヤでタイヤ剛性が低下するなどのデメリットしかありません。(ちゃんと書くとそれだけでブログ1本書けそう)
マツダはインチダウン仕様に積極的で、GJ系アテンザの19インチ→17インチ仕様、BM/BY系アクセラの18インチ→16インチ仕様なども存在しているようです。
■ビアンテ23S

あまりにも売れなかったせいでマツダがミニバン事業からバイバイ、プレミアム路線に舵をきるターニングポイントとなったカルトカーに、アクセラやアテンザのスポーツグレードから2.3リッターエンジンを流用したレアグレードです。
どうやら車体番号で追っていくと1000台程度しか生産されてないようで、2リッターグレードとの違いは、17インチアルミ、革巻きステアリング、ステアマチック程度のみという地味さ加減。

そこに2リッタートールミニバンクラス唯一のハイオク仕様スポーツエンジンを搭載とは、まるで某キラメキ・某高速の星あたりの、さてはアンチだなオメー。
また、このエンジンが絶品。4気筒には珍しいバランスシャフト内蔵の効果もあり、レッドゾーンまで綺麗に軽〜く回ると同時に、ウェットなら2速でもホイールスピンする程のトルクとパワーを誇ります。
おまけに元々のビアンテ自体、走る・曲がる・乗り心地の全てが気持ち良い、ミニバンらしからぬZoom-Zoomな車だったりするのです。(なんでもベースのアクセラからリアのトレーリング・アームの取付部の板厚を上げているのが効いているとな)
惜しむらくは、内外装共に質感がデミオ並、2.3リッターもあるのに早開きのスロットル特性&ズルズルのトルコンスリップでアクセルワークに気を使う点でしょうか。
えっ!?、急に早口になって怖いですって。フハハハ怖かろう。だって私が仕事で乗り回してる車なんですから(笑)
例え給料が安くとも、ガソリン代(ハイオクでリッター8キロ)が会社持ちなら無敵か(ドヤ顔)
ミツビシ
光陰矢の如し。80年代は、フルラインターボ戦略を掲げ、羊の皮を被った狼の宝庫だったミツビシなのに、今や見る影もありません。
■アウトランダーPHEV Eグレード

ランエボ並の走りとパジェロ並の走破性がウリのPHEVには初期モデルにのみ、受注生産の廉価グレードが設定されていました。
上級のGグレードから24万円安となり、黒ミラー、素ガラス、ハロゲンライト、フォグレス、16インチ鉄チン、パドルシフトレス、クルコンレスなど走りに必要ない装備を中心に削ぎ落とされています。
おそらくこちらも官公庁向けなのでしょうが、このスパルタンさは、かつての競技ベースRSグレードを彷彿とさせるではありませんか。
軽自動車
NAだと走行性能がギリギリになるハイトワゴン系の多くには、ひっそりと今でも非カスタム系グレードにターボエンジンを搭載した仕様が設定されています。
販売比率は低くてもカタログ落ちせずに継続設定されているということは、やはり根強い人気があるのでしょう。
■スペーシアT(R06Aターボ)

以前に代車で借り、何の予備知識もないままNAのつもりでアクセルを踏んだら下手なスポーツカー以上のロケット加速でリミッター領域に到達してビックリ!!
それでも人畜無害そうな外観に騙され、家に帰ってボンネットの中にインタークーラーが鎮座しているのを見るまでターボ付きとは信じられませんでした。

そんな余裕を超えた過剰な動力性能なのにエンジン以外はNAと同じまま、曲がらない・止まらない、濃密な死の香りを味わえます。
速さだけならHA36アルトターボの方が上なんでしょうが、このギャップの激しさとステルス性は今回の主題に1番相応しいものかと思います。
■EKワゴンTセーフティパッケージ

NAだとギリギリを通り越して危険とまで言われている動力性能だけに、「かねてより要望の強かった」(メーカー広報より)非カスタムグレードのターボ車が2015年(燃費偽装発覚前)のマイナーチェンジで追加されました。
面白いのが、本流とも言える日産のデイズには従来通りカスタム仕様のハイウェイスターにしかターボ車の設定がなく、製造メーカーの意地みたいな物が透けて見える点でしょうか。
■LA100Sムーヴ Xターボ

L900のSR-XX・CRターボ、L150のRターボ・Lターボなど、伝統的に非カスタムグレードのターボ車をラインナップしていたムーヴに突然、2013年のマイナーチェンジで非カスタムグレードのターボ車が復活しました。

見た目の差異が全く無いのが特徴の軽ターボの中にあって、とって付けたかのようなインタークーラー導入口がただならね雰囲気を醸し出し、かえって羊の皮を被った狼感を強めているように感じます。(実際Nシリーズ対抗で急造したっぽい)
初代ムーヴを彷彿とさせるフロントフェイスに、ムーヴのアイデンティティと言える横開きバックドアを採用した最後のモデルとなり、これがムーヴらしいムーヴの最終進化形なのかもしれません。