市原悦子=デュエットのCMキャラ
黒夢=初代ムーヴカスタムのCM曲アーティスト
日本人男性の平均寿命81.47歳。(厚生労働省『令和3年簡易生命表』より)
大変です。子育てに明け暮れる内に気がつけば、わたしも四十路。
いつの間にか、人生とやらが半分終了しているではありませんか。
─思えば、恥の多い生涯を送ってきました─
恥多いことは数あれど、思い返されるのは厨二病まっ盛りだった時のことばかり。
年を重ねると子供の頃が懐かしくなるなんてのは、ふざけた幻想です(断言)
こんなにも黯然銷魂(あんぜんしょうこん)とした気持ちになる記憶なんて、思い出なんて暗黒に帰ってしまえ!!
時に西暦1997年。
リアルに14歳の私は、既に独立不撓(どくりつふとう)のシャレードマニアとして手遅れなのでした、マジキモい。
そんな微妙なお年頃の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「ダイハツNCX」こそ、かねてよりスクープ誌でシャレードの再来と報じられていた新型リッターカーでした。

しかし、高まる期待とは裏腹に、初見の感想はボディカラーの影響もあって「黄金虫」・・・その翌年、NCXはストーリアと名を変え市販されるのですが、「こんなんシャレードじゃねー」と、イマイチ心がピョンピョンしません。
愚かな。恋は盲目といいますが、シャレードをNTRされたような激情に駆られ、視野が狭くなっておったな小僧。
━━━その秋の事でした。
Tipoあたりを愛読し、イタフラ車に憧れる意識高い系エンスーを自称していた私の前に、かのジウジアーロ御大がデザインされた新規格表ムーヴが現れたのは。
神です、和製イタ車です。特にすっぴんのCGグレードが美しい。この年齢で廉価グレードスキーとか、おかわいそうに。
そんな素晴らしいデザインを改悪し、世俗に媚びて堕落した裏ムーヴなんて悪魔の手先にしか思えませんでしたが、まぁ世間様では、コレがバカ受けした訳で。
世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。
それから20余年あまり。
社会の荒波に揉まれ、少しは世間というものを理解したような気でいました・・・
どうしてこうなった?
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
今更ながら釈明と弁解をすると、布石自体は前々からあったのです。
2019年の秋に岡山で丸1日、
九州の伝道師様の後期デュエット1.3を乗り回させてもらい、あまりの素晴らしさに感動。

かつてノブ氏に乗せて頂いた
マスタードイエローの前期ツーリングも素晴らしく良かったなぁ。
影響されやすいと言うなかれ。ストーリアはダイハツ小型車の至高、一つの到達点ではないかと思うのです。
1リッターも1.3リッターもトルク感を伴いながら気持ちよくビュンビュン回るエンジン、ラリーカー並の補強によりガチッと堅牢な車体、絶妙のロールセンター設定から来る軽快なハンドリングとバランスの良さ、正にこーゆーので良いんだよ、こーゆーので系。(その辺りは是非とも
ノイマイヤー氏の試乗記を拝見されたし)
私が一番好きな自動車評論家、森慶太氏はベースになったL700ミラをして、軽自動車のW124Eクラスであると表現されましたが、さしずめストーリアは軽自動車のW201Sクラス(笑)
とはいえ、その直前に事故歴・水没歴・メーター巻き巻き疑惑のトリプル役満で相場より50万円近く安い2015年式インプレッサスポーツを契約していた為、ひたすら我慢、我慢。
当時僅か4年落ちなのに、あまりにもシケモカーだった為、躊躇なくフェンダーミラー化したのも良い思い出です。

今まで50台以上とっかえひっかえしてきましたが、1時間乗っただけで全身に倦怠感を覚え、長距離走行後は翌日必ず体調不良になる、リアル心霊的瑕疵事故物件カーなんて、実に貴重な経験をさせていただきました。(車検1年残の年式の筈なのに抹消されてた時点で気がつかないあたり、契約時も正気でなかった気が)
なんとか2年間、生気を吸われながらも乗り続けたものの、本物の火の玉を目撃した事から流石に限界を感じた事もあり、車検満了と同時に放出と思っていたら、ストーリア星人にキャトルミューティレーションされてしまいました。
トヨタ版にしか設定のない、最廉価グレード「リトルパッケージ」の4駆・MTの超レア仕様!!

おまけに岐阜のお花屋さんの社長がベンツのセカンドカーとして大切にされていた来歴を持つ箱入り娘という、この機会を逃せば2度と出会う事のないであろう個体!!
これまたノイマイヤー氏の解説が実に的確でオモロいので勝手に引用させていただきます。
【試乗車は装備が厳選された営業車グレードなのだが、これもオーナーのめがねを通してみれば「わお!日本ストーリアには無い欧州シリオン相当の素グレードやん!ほぼシャレードやん!」と映るのだ。】(引用終わり)
ちなみに普通のマニアが見ると「わお!リア手巻き窓で4WDやからストーリアX4のデュエット化けやん!メーターまで時計付き仕様のスリーパーやん!」と映ってニヤニヤ。(実話)
そうして乗り出してみれば、運転していて脳味噌が覚醒するような、この時期のダイハツ特有の乗り味の虜に。コレだよ、コレ。
こりゃ、末期は殆ど乗ってなかった事故物件インプレッサに替わり、実質的なファミリーカーとなっていた、2015年式HA36アルトの完全上位互換ではありませんか。
そうなれば、子供2人が大きくなってきたのもあり、アルトの手狭さが気になって仕方ありません。

プライドを持って乗れる個性的なデザイン、軽量な車体による550ターボ車並の走りとリッター30キロを軽く超える低燃費、セミオートMTのAGSも乗りこなし甲斐があって、あんなに気に入ってたのに、この尻軽男ときたら、もう。はい、いつものことですね。
家族会議の結果、軽ハイトワゴンへの代替えが遡上に上がり、NボックスやらLA150ムーヴやらを検討しますが、やっぱりピンと来ず興は冷める一方です。
やむなく登録車も候補に入れ、走行1万キロの初代パッソレーシーに決めようとした前日の夜、某中古車サイトにダイハツ認定中古車のL900ムーヴ・エアロダウンRSが降臨!!
天啓です、神の声が聴こえるのです。(たぶん幻聴)
えっ、裏ムーヴは認めないって話?
私も大人になったのです・・・だってエアロダウンカスタムって格好いいじゃん。
ダブスタクソオヤジ!!というなかれ。物事は良いか悪いかじゃなくて難しいこと考えずにシンプルに好きか嫌いかで判断すれば良いんですよ、私がそう決めた。(フェンダーのラインがL70ミラを彷彿とさせてタマラン)
何よりL900系裏ムーヴは、今回でお替り2杯目となるのです。
愛車紹介に登録こそしてませんでしたが、ダイハツオタクとして必修科目の4気筒JBエンジンを履修すべく、2016年~2020年までの間、前期エアロダウンカスタム(L902)を所有しておりました。

旧規格時代のJB-JLのような暴力的な加速を想像していたら、前期JB-DETは小径(VQ37)タービンで4気筒の薄いトルクと増えた車重を補うダウンサイジングターボ的な味付けで、スポーツ性よりも精密機械のごとき緻密な回転フィールとスムーズさを味わう高級・高付加価値エンジンといった趣きの強いものでした。
でもJBに乗りたかったとゆうのは半分建前、
スギレンさんに乗せていただいた後期4駆カスタムターボ(EFターボ)が素晴らしかったので衝動買いしたってのがホントのところ。
えっ?また影響されてる。他人のふんどしで相撲をとってる?
ええ、分かってますとも。それって他人のふんどしを借りてでも相撲をとりたいという涙ぐましいまでの精神性を表すことわざなんですよね。
それならウチの嫁サマーも負けてはおりませんぞ。
私が乗りたくて買ったL902なのに、取り回しがよくて乗りやすいからと、半ば強制的にパッソと交換させられてしまったんですから。
げに恐ろしきジャイアニズム ああ美しき夫婦愛。
この前期エアロダウンカスタムは2人目の子供が生まれた時点で、古い車に赤ちゃん乗せるのはな~というオタクにあるまじき気の迷いが生じ、アルトと代替しちゃったんです。
後悔先に立たず。結局は夫婦二人ともムーヴの方が良かったんじゃねとなったのが今回の乗り換えの発端だったり。やったね!!振り出しに戻る。
それでも個体の程度の良さはモチロン、所有欲が満たされる豪華な装備(純正HIDや3発RSのみのモケット内装、LEDメーターなど)、排ガス規制記号がGF-世代の最強スペックEF-DET(トルク10.9kgm仕様)の刺激的な走り、ロックアップが付くようになったMTモード付きATの秀逸さだけでも乗り換えて良かったなと、思わずにはいられません。
とはいえ、なんだかんだと御託を並べてみたところで、この辺りの年式がボーダーになってしまうのは、いくら認めたくなくとも、幻想ではないノスタルジーに相違ないのでしょう。
人に夢と書いて儚いとはよく言ったもの。人の生き死にに密接に関わる仕事柄、人の一生なんて儚いものだと思わずにはいられませんし、健康体で車趣味を楽しめるのだってせいぜいあと30年が良いところ。楽しめるだけ楽しんどかなきゃですよ。
これまでの20年は乗りたい車に片っ端から乗っていくのが目標でした。
これからの20年は、この相手にされない年式の2台を、本当の旧車になるまで、深く・長く愛でるのを目標にしようじゃありませんか。(そして残りの10年で熟成中のJターボをフルレストアするんだモン)