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シケイカ★フェンダーミラー将軍・発動篇のブログ一覧

2014年06月29日 イイね!

ローバー・クインテット&ローバー416iのすべて


 1381年、ワット・タイラーの乱でジョン・ボールは言いました。
 「When Adam delved and Eve span, Who was then the gentleman?」
 (アダムが耕し、イヴが紡いだとき、誰がジェントルマンだったのか?)

 少し意味がわかりにくいですか?それでは共産主義者フィルターを通して意訳してみましょう。
 「不労所得階級のジェントルマン=ブルジョワ階級は、我々プロレタリアートの敵だ!!」

 イエス・サー。ジェントルマンといっても一概に立派な人間ばかりとは限らないんですね、わかります。
 むしろ、エゲレス紳士は世界一腹黒いと風評が立つ程度には御立派な訳で。

 そう思えば、あら不思議。こんな手抜き車だって笑って許せてしまうじゃありませんか。


 ━━━英国の伝統と日本の技術が交差するとき、そのふざけた幻想をぶち壊すかのような魔改造が始まります━━━



<ローバー・クインテット>


 予想以上に好調なアクレイムの滑り出しに力を得たBLは、さらにホンダに接近。
 1981年11月には、新型上級車(レジェンド/ローバー800)の共同開発、日本・豪州市場向けBL車を日本でホンダが生産、ヨーロッパ市場向けホンダ車をBLが英国で生産するという新たな契約を交わします。

 さっそく新契約に基づき、オーストラリアのBL現地法人「JRA」(ジャガー・ローバー・オーストラリア)は、販売不振の乗用車ラインナップに拡充を図るべく、ホンダに小型車の供給を要請します。
 まさに困った時の神頼みならぬ、ホンダ頼みの精神なのです。

 そんな図渦しいジェントルマンに対してホンダは、それまでオーストラリア市場で販売しておらず、アクレイム導入時にも一度提示をしていた5ドア車、クイントを日本から輸出することで応じます。


 1982年にBL内の大衆車部門が「オースチン・ローバー」に統合されたのに伴い、ホンダ車としては初めてローバーの名を冠した「ローバー・クインテット」の誕生です。(クインテットは輸出仕様共通名)


 あまりスケジュール的に余裕の無い1983年3月の発売という事もあり、ローバーのエンブレム以外にクイントとの違いは殆どありません。



 国内仕様の最上級グレードTERに準じた単一グレードのみを設定、オプションでサンルーフとエアコンが選択可能でした。(国内でOPのアルミホイールは標準装備)


 エンジンだけはオリジナルと異なり、オーストラリア仕様アコードと同じ、副燃焼室(CVCC)を持たないコンベンショナルタイプの1602cc、80馬力仕様を搭載、ホンダマチックも用意されています。


 ここまで見ての通りの純ホンダ車でありながら、発売当初JRAは「ホンダ製であることにオーストラリアのユーザーは気が付かない」と公言しています。
 この大英帝国的ジャイアニズム丸出しの植民地思想を、わたしも少しは見習わなければ。

  こうしてローバーSD1と並べると雰囲気が似ているので気持ちは分からなくもないのですが、 そんな事を気にしていてはジェントルマンなんてやってらんないのでしょうね、きっと。



<ローバー・416i>


 大ヒットとまではいかないまでも、ローバー・クインテットはそれなりの販売成績を収めたことから、後継車となるクイント・インテグラの5ドア仕様も「ローバー416i」としてオーストラリアで販売される運びとなりました。

 先代モデルとは異なり、ホンダブランドからも3ドア仕様「インテグラ」が販売され、競合を避けるべく両車は全く異なるキャラクターに仕立てられます。

 ローバーは、パワーウィンド・集中ロック・電動ミラー・サンルーフ・ベロアシート・パワーステアリングなどの充実した快適装備を誇る反面、足回りは13インチの70タイヤにリアブレーキはドラムとなる小さな高級車。

 一方のホンダは、エアロパーツ・4輪ディスクブレーキ・14インチの60タイヤなどを備える替わりに快適装備を省いて価格を安く設定し、ローバーよりも若いスポーティなユーザーを狙います。

 それまでの国内仕様のエンブレムを替えただけのお茶濁しを脱却し、ヨーロッパと共通のボディに国内の旦那仕様グレードGSに準じた装備という独自の組み合わせが与えられました。

 国内のGSグレードはキャブレター仕様でしたが、PGM‐FI仕様の1,6リッターZC型・DOHCエンジンを搭載しています。

 こうしてローバー416は、ローバー800がオーストラリアに投入されるまでの市場の維持を命題として1986年2月より販売を開始します。

 ところが、世の中そんなに甘くはありません。
 ●安心と実績(笑)のローバーブランド、●同じ車がホンダでも買える、●でもアコード並に高価、ここから導き出される結論は・・・どうぞお察しください。

 そうなると、当初の小さな高級車という崇高な理念は何処へやら? 翌87年7月のマイナーチェンジと同時に、お買い得なSEグレードを追加でテコ入れです。

 国内最廉価グレードLSと同等の装備にインジェクションのZCツインカム。よもや、これはモデル途中でカタログ落ちした国内の競技ベース的硬派グレードRsiの5ドアバージョンなのでは。(リアブレーキはドラムだけど)

 それとは逆に、従来からの高級仕様は当時のローバーのスポーティ&ラグジュアリー仕様の代名詞である「ヴィテス」の名を冠してより先鋭化。とうとうアコードの価格をブッチしちゃうのです。

 格好は大変よいと思うのですけど、リアスポイラー、オーストラリア製14インチホイールの採用でインテグラとの差別化は怪しい始末。これってどんなブリティッシュジョーク?

 さらに翌88年4月のマイナーチェンジでは、前年の国内仕様の変更に伴いフロントバンパー、内装のデザインが変更された他、ヴィテスにはドアトリムにハンドメイド製作のウォールナットパネルまでもが!!

 またしてもグレートブリテン島の重力に魂を引かれてるんですね、わかります。

 こうしてアレコレ手を尽くすも最後まで販売は低調な結果に終わり、国内で1989年にクイントインテグラの生産終了すると同時にJRAに対するホンダ車の供給は終了、在庫が90年頃まで販売されました。

 JRA自体も負債を重ね、英国からコンチェルト兄弟車の新ローバー400を輸入する計画が持ち上がった直後の1991年末、あえなくオーストラリア市場からの撤退を表明するのでした。
Posted at 2014/06/29 00:37:32 | コメント(4) | トラックバック(0) | ホンダ | 日記
2014年05月26日 イイね!

トライアンフ・アクレイムのすべて



 常に余裕を持って優雅たる、上品で礼儀正しく知的な英国紳士「ジェントルマン」

 そんなジェントルマンの旦那様と、日本が世界に誇る大和撫子の奥様というシチュエーション。
 もしも理想の国際結婚というお題目が出されたら、間違いなく上位にランクインのナイスカップリング(笑)でしょう。

 まぁ現実には、そんな軽~い小説みたいな話、そこらにホイホイ転がってはいないですよね。
 ところが1980年代には、わりとありふれた光景だったんです。但し、自動車の世界限定ですが。


 ━━━英国の伝統と日本の技術が交差するとき、そのふざけた幻想をぶち壊すかのような魔改造が始まります━━━


<トライアンフ・アクレイム>


1970年代のイギリスにおいて、主要自動車メーカーの大部分を傘下に納めていたブリティッシュ・レイランド社(以下BL)は、慢性的に続く経営危機から、販売の主力となるべき1300cc~1800ccクラスの新型車の開発が遅れに遅れていました。

 そこで、急遽ホンダとの間に「開発中の乗用車機種のうちひとつをEC内で生産し、BLブランドで販売する権利を供与する」という契約を1979年12月26日に締結します。

 ホンダ車をノックダウン生産することで、自社製新型車の完成までの間、その場しのぎの埋め合わせにすることにしたのです。(本当はルノーと組みたかったのだとか)

 契約に基づき、ホンダはモックアップ段階のクイントと初代バラードの2車種を提示します。
 結果BLは、将来的に開発中の自社製モデルと競合せず、保守的なトライアンフ銘で旧態化したドロマイトの後継として販売することから、4ドアセダンのバラードに白羽の矢を立てました。

 とっても誰かさんにクリソツなヒゲオヤジは見るに堪えないので、イカシタイヤの刑に処す。

 両社の想定以上に提携事業はスムーズに進行し、調印から僅か1年半後の1981年6月には、ホンダの技術協力によって最新設備が組み込まれたオックスフォードのカウレー工場にて、BL版バラードの生産が開始されます。

 日本車としては初のヨーロッパにおける現地生産であり、全体の70%にあたるボディや内装などを英国で生産、エンジン・ミッションなどのパワートレーンとサスペンションは日本から輸出されたものを組み込むという形が取られました。

 そして迎えた1981年10月7日、提携話が取り沙汰されて以来「バウンティ」というコードネームで呼ばれていたBL版バラードは、称賛を意味する「アクレイム」と名付けられ、全英で正式に発売をスタート!!


 しかしバラードからの変更点は、エンブレム、ドアミラー、サイドフラッシャーなど、コストと時間の都合により僅かに留まりました。



 当初はBLによる独自の外装も計画されており、ヘッドライト、バンパー、グリルを新造し、当時流行していたスラントノーズ化するデザイン案が1981年1月に描かれています。

 この幸薄そうな感じとか、トレディアみたいですね。

 インテリアも、マイルメーターなどの細部を除けばバラードと共通となります。


 唯一、同じBL内のモーリスブランドから販売されていた中型車、「イタル」からフロントシート(元々はフォード・コルチナのシート)を流用することで独自性をアピールするのみ。


 エンジンは、ヨーロッパ仕様のシビックと共通となる、副燃焼室(CVCC)を持たないコンベンショナルタイプの4気筒1,335cc。

 シングルキャブ60馬力のシビックに対し、ツインキャブ70馬力のアクレイム専用エンジンを搭載し、トリオマチックと呼び名を変えたホンダマチックも設定されています。

 全期間を通じて、アクセサリーの違いによるグレード間の差別化が図られました。
 以下は1983年にマイナーチェンジされた後期型のカタログからの抜粋です。ステアリング、シフトノブ、外装ドアハンドル、リア内装ドアハンドル、ヒーターパネル、時計などのデザインが前期型と異なります。

●L(Luxury)/HL(High Line)

 BLの中でも上流に位置するトライアンフだけのことはあり、最廉価版のLグレードでもみすぼらしくはありません。
 HLグレードには、ヘッドレスト付きシート、リモコンミラー、デジタル時計(前期は機械式)が装備されます。

●HLS(High Line Superior)

 HLに追加して、サイドモール、ラジオ付きカセットステレオ、ハロゲンヘッドランプ、ベロア貼りシート、可等式リアシートを装備する最量販グレード。

●CD(Corps Diplomatique)

 前後パワーウィンド、ヘッドランプウォッシャー、シートバックポケット付きシート、メッキバンパー、ホイールリング、 165/70タイヤなどの豪華装備を誇る最上級仕様。

 ところが、本物の高級というものを知っているジェントルマンは、この程度の装備では満足されません。

 そんなこともあろうかと用意されていたのが、コーチビルダー、いわゆるオーダーメイド車加装会社である「Ladbroke Avon Limited」(ラドブローク・エイボン社)製スペシャルモデルの「AVON」(エイボン)です。

 いわばベンツで言うところのAMG、BMWのアルピナにあたるメーカー公認のカスタムカーとして扱われ、カタログモデルにエクストラコストを支払えば、全BLディーラーで購入することができました。

●Avon(エイボン)

 コノリーレザーシート、クルミ材のウッドパネルを筆頭に、レザートップ、ツートンカラー、メッキグリルなど、グレートブリテン島の重力に魂を引かれた、古典的な英国車の世界が広がっています。

 この手のカスタム車としては異例の週に25台の受注を目論んだものの、改造費用が車両価格の3分の1に近くにあたる、1365ポンド(当時の為替で約60万円)と高価であった為に購入層が限られてしまい、すぐさま需要を過大評価していたことが明らかになりました。

●Avon・Turbo(エイボン・ターボ)

 エイボンの販売不振を受けて、全く新しい市場を開拓するべく、スポーティなターボ仕様が1983年に追加されました。

 ギャレット製タービンをボルトオンすることで、105馬力と大幅にパワーアップされていますが、燃料供給はツインキャブのままなので、セッティングは泣きを見そう。


 コテコテのジョンブルだった外装にも大きく手が入れられ、純正オプション品と同形状のフロントエアダム、リアスポイラー、専用サイドデカール、ロナール製アルミホイール、60扁平の205タイヤで武装した、筋肉ムキムキのゲルマン民族風ボーイズレーサーに変身。

 これだけ力をいれておきながらも、少し足せばもう1台アクレイムが買えてしまう2990ポンド(約120万円)もするトチ狂った改造費用がネックとなり、ターボ仕様も少量の生産に留まりました。

 なまじっか出来が良いだけに、その持てる力を調和と協調に使えば、こんな風にネタにされることもなかったんですけどね(笑)

 このエイボン仕様の大失敗とは裏腹に、アクレイム自体は発売開始から4週間で英国国内の販売第5位を記録、好調な滑り出しをみせます。

 当時のEC圏における、「現地生産比率が50%以上であれば、当該国の生産と見なす」という規定もクリアしていることから、日本車が課せられていた輸入規制も適用されず、輸出戦略車として多数の左ハンドル仕様が輸出され人気を博しました。


 日本においても、アクレイムは国際企業間の新しい提携関係の形として大いに注目を集め、それを記念したバラードの特別仕様車も販売されています。


 その声を反映したのか日本車(もどき)にしては珍しく、かの地でミニカーも作られているのが意外でなりません。(コーギー製・36分の1スケール)

 名状しがたいダンボの耳のようなミラーがブサイクですって? そんなこと言ってる人は、オプションカタログを見て、是非ギャフンと言ってくださいまし。


 ダブルミラーは伊達じゃない!!



                       
Posted at 2014/05/26 00:29:19 | コメント(4) | トラックバック(0) | ホンダ | 日記

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