かつての栄光は何処へやら。
今や斜陽となった感のあるレースゲームの潮流は、自身を含む40歳前後の車オタクのオッサンの成長と共にあったようなものでしょう・・・葉っぱとか鍵のエロゲもな。
スーファミのマリオカートに始まり、実車のNAロードスターを使用したリッジレーサーの筐体、セガラリーなどのアーケードゲーム(今の若者はコインゲームと言うそうな)、そして据え置き機の名作たち。
そんな中でも、特にプレイステーション用ソフトとして発売された初代グランツーリスモは、まさにシンギュラリティな存在でした。
それまでのゲームとは一線を画す、美麗なグラフィックで現実に街中を走っている車を操る衝撃と喜びは、免許取得前の多感な14歳には筆舌に尽くし難い感動体験でありました。
それから雨後の筍のごとく現れる、実車再現型レースゲームたち。
激化するシェア争いは差別化を促し、マニアックな街中の背景に映ってそうなモブ車を再現するキテレツなゲームがあらわれるようになります。
グランツーリスモに対抗意識バリバリなドリキャス用ソフト、SEGA・GTに収録されたJT150ジェミニの3ドアハッチC/C、なぜイルムシャーじゃないの?

SEGA・GTには、U41ミニキャブトラックもいたりします(意外とレースゲーは軽トラの収録が多い)
期待の新作グランツーリスモ2は収録車種が激増、B15サニーVZ-Rを筆頭に新規格軽自動車の一斉収録など、国内外メーカーのモブ車が一杯でハッピー!!

内容的にも、ゲームにかける製作陣の熱い思いが透けて見えるようで、今でもグランツーリスモシリーズで一番の神作だと思うのです。
製作陣の熱い思いと言えば、Genkiソフトの首都高バトルシリーズや街道バトルシリーズも凄いものでした。
アンダーグラウンドな題材もさることながら、サーキットではない実在の公道を好きに走り回れる、今で言うところのオープンワールド的な縛りのない世界観にド嵌まりしたものです。やっぱり自動車が題材なら、自分でドライブして好きな所に行きたいじゃないですか。
そんなGenkiソフトも車種設定がヤバかった・・・AE82のカローラFX、AE92のレビン/トレノや初代アルシオーネなんて序の口。
まさかの、カルタスクレセントハッチバック!!
よもやの、RZ-1!!
だから思ったんです、思っちゃったんです。きっといつかはモブ中のモブ、シャレードで色んな道をドライブできるゲームが出来るだろうって。
でもそんな願いは叶う事無く、免許を取って実車に乗れるようになると同時に、すっかりゲームもしなくなってしまいました。
さぁ、長い前置きはここまで。ここからが本題です。
つい先日、発熱して出勤停止になり、感染対策で家族とも別室で隔離生活を送っていて、本当に暇だったんです。
暇を持て余していると人間、ろくな事を考えないもの。なるべく手を出さないようにしていたというか、嫌悪感すら抱いていたスマホゲームをやってみようと、突然思ったのです。
そこでいくつかレースゲームをダウンロード。最初は面白がってやっていたのですが、資本主義の当たり前か課金前提のゲームバランスの影響で、なんか薄っぺらというか、ちっとも面白くないのです。
諦めずに色々ダウンロードするも時間の無駄にしかならずに辟易。
そうした無為な気持ちで、何も考えずにダウンロードしたのが、オーストラリアのゲーム製作会社Timbo Jimboの配信している「static shift racing」(スタティック・シフト・レーシング)でした。

ローディング画面の時点で他のスマホゲーとは一線を画す、オーラというか熱量を感じるのです。
この手前から3台目の車種は大改造されているけど、ピラーの感じからA175ランサーEX?まさか奥のセダンはワンダーシビック?
ワクワクしながら始まったチュートリアル。

あれ?なんか既視感のあるテールやトランクの造型だな~と思いつつも、黄色でオーバーフェンダーが付いている事から、えらくデフォルメされたランチアデルタだな~としか思ってなかったんです。
そしてチュートリアル終了・・・
アイエエエ!?シャレード!?シャレードナンデ!?
きっとこれは妖精さんのしわざ。20年近く満たされない欲求が熱のせいで暴走し、脳ミソがエラー吐いているのに違いありません。おお、ナムアミダブツ!なんたる禍々しい光景か!
G11シャレード前期CXやん!!
「MATUDOKI・RUSE」(マツドキ・ルース)なんて架空の初期車ですが、凄いビートが聞こえてきそうだぜ!!
サイドマーカーの位置や微妙にフロントが間延びしたスラントノーズな事から、おそらくモデリングデータが後期だったのかと思われます(後期はノーズが長い)

でも前期ノンターボ車ならではの六角形ペンタゴン穴のグリルまでキッチリ再現されているのなら、そんなのは些事と許せてしまえます。
しかもちゃんとCBエンジンが再現され、走行中は本物からサンプリングされたであろう独特の3気筒サウンドが堪能できるのです。(他の車でもエンジン音がシャレードなのがご愛嬌)

TJスペックって、普通に考えたらTimbo Jimboの略なんでしょうけど、まさか中華の天津夏利の型式のTJじゃあるまいな〜
それだけでも発狂モノなのに、オープンワールドの街中や峠を走り回ってバトルやトライアルをクリアすると開放される、カスタムパーツの数々に怯えろ!竦め!
これは、シャレード原理主義者による陰謀なんだ、わたしは詳しいんだ!
G11シャレードならではの、ドルフィントップ。
ノー・ノー・ボーイな後期化も自由自在。
ターボグリルにホワイトパック化。
前期デ・トマソターボ専用グリル。
後期デ・トマソターボバンパー。
デ・トマソターボ風リアスポイラー。
5ドアなのにデ・トマソターボ風サイドステップ
デ・トマソターボ用リアバンパー

海外マニアが作ってる、5ドアのデ・トマソターボが出来ちゃいます。
これも海外マニアがやってるのを見たことがある、G100シャレードGT-tiバンパー流用。(インタークーラー導風口がRH側にもあるのが惜しい)
モデラー氏が歴代シャレードへの造詣が深い事を感じさせる、初代シャレード後期風の斜めスリットグリル。
極め付きの純正フェンダーミラー!!

まさかド初期のカタログモデルの5ドアCXドルフィントップまで再現可能とは!!
そして課金アイテムとしてお出しされる、幻のグループBカーシャレード926R!!(ランサーEXだと思った車の正体)

ソシャゲで課金なんか絶対にしないと誓っていたのに〜マニア様”拷問“の時間です~くっ殺せ。
これぞ、「シャレードマニアの、シャレードマニアによる、シャレードマニアの為のゲーム」
ところがギッチョン!!
初期車にはシャレード以外に、ワンダーシビックのセダンまでもが選択可能なのです。ナニソレ、コワイ!

微妙に語感や意味がシビックっぽいパブリックとは素晴らしいネーミングセンス。当ゲームでも課金アイテムとして用意される3ドアハッチだと他ゲームでも見かけるのですが、セダンとなるとシャレードに匹敵するチョイスでナイスだね。
こちらもカスタムでセダンSi化したり、後期化やUS仕様を作れちゃうのでメチャクチャ遊べそう。
モチロン、この手のゲームでお約束の、AE86、S13、FD、インプにランエボあたりの定番車も収録されており、マニアック過ぎないようにバランス調整されてるんですが、それ以外にも他ゲームでは見かけない顔ぶれがチラホラ。
81チェイサーは、前期化できなかったりサイドウィンドワイパーが無かったりで、拘りという点では少し残念な仕様。
六本木カローラなBMW3シリーズは、ワゴンボディのツーリング化も出来るんで、広報車の赤ボディ・白メッシュホイールが作りたいな~
グラフィックが使い回せるのに中々見かけない、北米仕様の240SX、いわゆるワンビア。
14台しか収録してないのに濃すぎ、ヤメロー!ヤメロー!こんなのってないぞ…Timbo Jimbo=サン、いい加減にしろよ・・・イイゾ、モットヤレ!!