子供から移された風邪で39℃の発熱。
コロナもインフルも陰性、だが出勤停止――よし、チャンスだ!!
そんな時に「岐阜方面に草ヒロ探索へ行こう」だなんて、正気の沙汰じゃない。アホのすることだ。
だが――生命の衝動は理屈を超える。
39℃の熱? そんなもの命の鼓動が高鳴っている証にすぎない!
「解熱剤で下がるはずがない」だと?――おまえの心が冷えているだけだ!
覚悟がある者は、発熱を理由に歩みを止めたりはしない。
300キロの下道往復さえ、覚悟があれば“逝ける”!
どうせ家に帰ったって、子守りでロクに休めやしないんだ!!
そうさ、無茶なのは百も承知のうえ。
――だが、それでも今しかないと、胸の中で早見優が囁く!!
■バス停横のリーザ・オキシーⅡ
バス停横をヒントにストリートビューを虱潰しに探し、つい最近ようやく位置を特定できた――有名物件のリーザ・オキシーⅡ。
昭和63年、前年に400台限定で販売された初代オキシーが好評だったため追加された特別仕様車。標準車には設定のない黒内装、スポーティなエアロパーツ、そしてターボ――まさに当時の若者向け特別仕様車を象徴する1台。
現車はかつて何段も積み上げられた車の一番上にあったが、リーザの下にあったミニエースを引き取ったマニア氏がいたようで、いまは大地に降り立っている。
550時代のリーザはNAモデルなら21世紀になっても時々見かけたが、維持に手間のかかるキャブターボは車齢10年前後でほぼ絶滅したように思う。
それを2025年に再び見られようとは――光る風、薫る風とはこの風向きか。
■660規格のリーザ・オキシー
こちらも有名物件、某鉄道路線沿いに鎮座する660規格のリーザ・オキシー

660モデルは、生産期間がわずか1年4ヶ月。しかも新規格対応のL200ミラの陰に隠れ、エンジンもお買い得仕様のチャチャと同じNAに。
そのため選ぶ人は少なく、むしろこちらの方がレアと言えるかもしれない。(しかも5MT)
ちなみに、リーザにはかつて北米輸出計画もあったらしい。(ただし価格が格上のシャレードとバッティングする為、中止。)
この新規格対応の大型バンパーで仮想USDM仕様を作ったら面白そう。

管理された駐車場に20年近く放置されながらも撤去されない、こいつの闇は深すぎる...!(よく見ると横のキッチンカー、窓が破られていないかい?)
軽スペシャリティーの系譜だと、リーザの純粋な後継車はオプティだろう。だが「軽のスペシャリティー」という枠で見れば、テリオスキッドも後継の一つと言えるのでは。
なんたってインドネシアのワイド&ロングボディのテリオスこと、タルーナには、オキシーという上級グレードが存在するのだから。

リーザ=OXY
タルーナ=OXXY あれ?Xが増えてやがらぁ。
■酒屋の看板娘L200ミラウォークスルーバン
同時期のダイハツ車だと酒屋の看板娘的存在、L200ミラウォークスルーバンも目を引く。

配達用として使われていたと思われるが、昨年2月で車検切れ。ご隠居のようだが、それでも愛されているのだろう。

(現地で後ろにフェンダーミラーのハイラックスがあったのに、全く気づかなかったのは――熱のせいとはいえ不覚)
■ユーチューブ物件のバネットラルゴ

スーパーサルーンターボの4WD AT。詳細は専門職の方にお任せしようと思う。
■B12サニーフルオート・フルタイム4WDスーパーサルーン
通りすがりの道端に、あり得ぬ光景が。
草ヒロではないが、B12サニーの フルオート・フルタイム4WDが静かに佇んでいた。

3桁ナンバー――マニア氏の所有なのか。
あまりのレアさに、思わず息を呑む。その存在までもが運命に導かれた証のように思えた。
■完全オリジナル物件、畑のシケ物置な二代目ミラージュ1.5CX

見える、見えるぞ――キヨシローとエリマキトカゲの蜃気楼が!
初の愛車は、これと同じ最初のマイナーチェンジ後のミラージュサルーンCXエクストラ(カタログの表紙と同じデジパネ、ガンメタツートン)だったので感慨深い。

当時は車検に20万円かかると言われ泣く泣く手放したが、今なら自分でどうとでもできただろうに――なんとも惜しい。
そうして錆びた鋼がなお生命の証明を見せる光景に、熱も忘れて立ち尽くす。
なぜ岐阜へ? どうしても譲れない事情があったからだ。
テリオス純正ラゲッジマット――デッドストック未使用品が、わずか800円。
だが適合は“キッド”か、それとも“テリオス”か――このゼブラ柄であれば“キッド”用であろうが、現物確認なくしては未来は選べない。
そして現物を前に、確信は歓喜へと変わる。
間違いなくキッド用、しかも純正箱付きだと!!
まるで運命がこちらに生命の意思を託した証のようじゃないか――そうだ。それが生きるって事だろ?
――そうして無理を重ね、限界を超えたその果てに。身体はついに、鎖のように動かなくなった。
だが――悔いなど、ない。
白衣の天使? そんなもの、求めてはいない。
再受診した病院の駐車場で――伊東美咲ピンクのデミオが、確かに微笑んでいたからだ!!

あぁ……2004年、再販モデルだけに許された、ボディ同色のPIAAホイール――その輝きは、運命をも揺さぶる光。

それさえあれば、まだ立ち上がれる。