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シケイカ★フェンダーミラー将軍・発動篇のブログ一覧

2014年08月26日 イイね!

昭和のダイハツ車が【ろことく】(ローカル特別仕様車)やってみた。


 ご当地ローカルアイドル、略して【ろこどる】が流行の昨今ではありますが、歴代のシャレードにも数々のローカル特別仕様車が存在していました。

 その歴史は古く、既に初代モデルの発売直後には、ダイハツ北東京販売が独自の特別仕様車「シャレードSS-Ⅱ」を販売していたことが確認されています。


 最上級グレードのXTEをベースに、専用サイドストライプ、エンブレム、アルミホイール、グリルガード&バンパープロテクターゴム、3本スポークステアリングなどを装備し、ボディカラーはサフランイエローとグラスグリーンの2色のみ。

 これらは、バッジとストライプ以外の全てがディーラーOPとして扱われている用品でもあることから、ラインで製造されたのではなく販売会社による架装だったものと思われます。

 本格的にメーカーが各販売会社の企画によるイレギュラー仕様を製造するには、80年代に入るまで待たねばなりませんでした。

 とりわけ元祖として有名なのが、阪神タイガース50周年を記念し、1985年5月に関西地区の販売会社7社が共同で企画・販売した「タイガース・ミラ」でしょう。

 よく「優勝記念車」と記述されていますが、発売時期的に祈るほうの「祈念」なのでお間違いなく。

 L55初代ミラに同年1月追加された特別仕様車elmy(エルミー)をベースに、ボディ両サイドに黄と黒のストライプが入り、4箇所にタイガースマークが付くほか、ユニフォームと同じ柄のシートカバー、専用ナンバーフレームを装備しています。


 その中に気になる1文を発見「タイガース・シャレード」?

 当時2代目となるシャレードにもタイガース仕様があったなんて初耳なので、ひょっとして予約数が集まらずにボツになったのかも?

 そして、そんな関西地区以上に独自の企画車に熱心な中部地区でも、様々な知られざるローカル特別仕様車が販売されていました。

 L70ミラの特別仕様車COTY(コティ)をベースに、TR-XXバンパー、AM/FM電子チューナー、リアワイパーなどを装備した、都会派レディのスポーティマインド・ミニ「Carrot」(キャロット)

 4MT・10インチ4輪ドラムブレーキのキャロットCS、2AT・12インチディスクブレーキのキャロットEXの2種類をラインナップ。

 ミラ・キャロットはL200系にもお買い得仕様となり継続され、L500系からは「OZ」(オズ)に名前が変わって現在まで販売される息の長い系譜です。

 もちろんミラだけではなく、リーザや3代目シャレードにも、とってもアクセサリー上手な特別仕様車「フィットネス」を用意。

 シャレードの場合、TSグレードをベースにカラードバンパー・アルミホイールなどのセットOP「ファッションパック」、エアコン・パワステを標準装備しています。

 他にも3代目シャレードには、全国区で販売されながらも記録が残っていない「シャレードGT-ti80」という不思議な特別仕様車がありました。


 車名に“80”とあるように、ダイハツ創立80周年&サファリラリーにおけるクラス1,2,3位独占の記念車として、1987年6月から300台が限定販売された筈なのですけど?

 おそらく特別装備とされている「スポーツパック」が通常のカタログモデルでも選択可能なメーカーOPでしかない為、正式な特別仕様としてカウントされなかったのではないでしょうか?

 なまじっかヨーロッパでは、GT-tiベースの本当にスペシャルな特別仕様「Monte Carlo」(モンテカルロ)を、現地のインポーターが独自に架装している例もあるだけに、この国内仕様の不甲斐なさには溜め息が。


 シャレードGT-ti・モンテカルロは、1988年の第56回モンテカルロラリーでのクラス優勝を記念し、西独ツェンダー社製のフルエアロ、アルミホイール(画像下の個体が履くもの)、専用ストライプなどの現地製パーツで武装したエボリューションモデルとなります。
 
 こうして日本以上に特殊な仕様が作られたシャレードと同じく、ヨーロッパでの人気が高い最上級車アプローズも、現地でローカル特別仕様車が開発されました。

 その人気ぶりは、ヨーロッパに上陸して間もない1990年、いきなり英国のインポーターがスポーティなオリジナル仕様「16GXi」を発売したことからも伺えます。


 ツートンカラー、ピンストライプ、メッシュホイール、リアスポイラーなどを装備、専用の鉄仮面を彷彿とさせるグリルは夢に出てきそうな強烈さ。

 フハハハ怖かろう、主に冷却系的に。

 もうこれは流石にローカル特別仕様の範疇には当てはまらない気もしますが、ベルギーのインポーターが短期間販売した「Applause break」(アプローズ・ブレーク)なんていうキワモノも。


 同国のコーチビルダー「EBS」(エルンスト・ベルク・システム)社の手による、FAブレーク·モジュールと呼ばれるコンバージョンキットは、リアゲートを取り外し、その上からFRP製のシェルフを被せる構造と推測されます。

 ほら、リアウィンドの影にはしっかり本来のCピラーが・・・

 そういえば中華でも、2代目シャレードのワゴンボディが試験的に生産されていたのだとか。

 はい、こういうのは特別仕様車じゃなくて魔改造車って言うんですね、わかります。

 このようにローカル特別仕様車の世界は泥沼です。
 ダイハツは現在でも販売会社から要望があれば独自の架装に応じているので、これからもローカル特別仕様車は都道府県や国の数だけ増え続けていくことでしょう。


[資料協力:ミラルゴ@旧パジェロチビさん
Posted at 2014/08/26 19:16:36 | コメント(6) | トラックバック(0) | シャレードがいっぱい | 日記
2014年07月21日 イイね!

黒歴史試作車「スズキ・フロンテ1100」のすべて



 「黒歴史」(くろれきし)

 1.アニメ「∀ガンダム」に出てくる用語。すでに滅亡している古代の宇宙文明の事
 2.上記の意味より転じたネットスラング。無かった事にしたい作品や恥ずかしい思い出、忘れたい過去などの意味で使われる

 聖人君子でもない限り、誰しも記憶の底のダストシュートにポイしてしまいたい系の苦い記憶、いわゆる黒歴史の一つや二つは抱えているのでないでしょうか?

 もちろん自動車だって例外ではありません。
 ある程度開発が進んでいながらも、何らかの事情で市販中止となってしまったボツ企画車は、メーカーにとっての黒歴史に他なりません。

 有名なところでは・・・
●現在メーカーのミュージアムで展示されているスバル・P1500
●時期早尚と判断された、プリンスのFWD小型車
●技術的にも政治的にも問題だらけだったマツダ・シャンテ・ロータリー
●排ガス規制に消えた2代目シルビア・ロータリー
●ホンダがレジェンド以前に開発していた6気筒、5ドアのビッグアコード的高級車
●ミツビシ・コルト1100後継としてジウジアーロがデザインした3ドア車(後にデザインをミニカ70に流用)
●ユーノスを超える高級車ブランドとして企画された、アマティ・シリーズ

 ・・・などなど、もはや黒歴史のバーゲンセール。
 この広い世界には、きっと闇から闇へと葬りさられた黒歴史カーが他にも数多あることでしょう。

 そう、例えば「スズキ・フロンテ1100」のように。

 1960年代初頭に通産省が進めていたメーカー間の統合構想、それに対しスズキは独自性を死守するべく、技術力のアピール&登録車を生産していた既成事実づくりを目的として、FWD小型車「フロンテ800」(C10型)を発売します。

 最初から大量生産は考慮せず、採算を度外視して台車に載せてハンドメイド生産。売れば売るほど赤字が出てしまい、1965年から1969年の約4年の間に僅か2717台が生産されるに留まりました。

 そこで後継車として大量生産を前提としたスポーツセダン、型式名C20こと「フロンテ1100」が計画されるのです。


 画像は後述の理由による改造後の姿となり、フロントマスク、バンパー、ドアミラー、ホイールなどが非原型部品と思われます。

 ではフロンテ1100本来のデザインとは?想像を交えてイラストに起こしてみましょう。


 あたかも時代を先取りしたかのようなクーペボディをよく見ると、1974年に発売となったジウジアーロデザインの韓国車、初代ヒュンダイ・ポニーに似通った部分がチラホラと。




 それだけではなく、パブリカスターレットやアルファロメオ・アルフェッタGTなどの同時期のジウジアーロ作品にも類似点を見出す事ができます。

 ひょっとしたら奴っこさん、同じようなデザインコンセプトを各社に売り込んでやしないですか。

 実際、当時のスズキとジウジアーロ(イタルデザイン)は密接な関係にあり、4代目キャリィやフロンテクーペの原型となったミニバン、ロータリーエンジンバイクのREー5などを手掛けた実績もありました。

 おまけに当時、度々スズキに新型小型車のデザインを売り込みに来日していたと報じられもしていれば、そうも思いたくなるというもの。

 もちろん当時の世情を鑑みて、クーペボディだけではなく、セダンとワゴン(バン)もラインアップを予定。まさかワゴンボディもポニーにそっくりだったりしないですよね(笑)


 それとは裏腹に、まだ当時は珍しかったフロンテ800のFWD駆動メカニズムは踏襲され、エンジン後方にラジエータを置く縦置き3気筒・2ストロークエンジンという独特の構造をそのままに、車名どおり排気量は1100ccに拡大。

 これまた画像のエンジンも別物に改造されていますが、2ストの宿命である中速域パートスロットル時の不完全燃焼に起因するギクシャク感(カーノック現象)を解消するべく、新開発ソレックス3連キャブ(ミクニ製)を装着、当時の1,4リッター車に迫る80馬力の最高出力を発生しました。

 足回りも基本的にはフロンテ800に準じ、車高調整が自在なトーションバースプリング構造の、フロント:ウイッシュボーン/リア:トレーリングアームによる4輪独立懸架、13インチのラジアルタイヤを履き、前輪にはディスクブレーキの装備が予定されました。(画像はフロンテ800のもの)


 これらをフロンテ800のボディに搭載した試作車も制作され、テストを兼ねてラリーに参戦するも、外観上はボンネット後端の大型吸気ダクト程度の違いしかなく誰にも気づかれなかったのだとか。

 ところが、こうして順調に開発は推移していたにも拘らず、現在では2輪車からも2ストロークエンジンが淘汰されてしまったように排気ガス対策上問題があり、開発中止の判断が下されてしまいます。

 本来であれば、ここでゲームセット。
 こうした黒歴史カーの例に漏れることなく、亡霊は人知れず暗黒に帰る運命かと思いきや。

 テスト終了後も保管されていた試作車は、武蔵工業大学(現:東京都市大)の水素エンジン研究用に寄贈され、初代セルボがベースの「武蔵3号」、フロンテ800がベースの「武蔵4号」に続く、2ストローク水素ディーゼルエンジン実験車「武蔵5号」として1982年に蘇ってしまいます。

 この手の黒歴史カーとしては異例の表舞台デビューを果たし、当時は世界中から技術的な注目を浴びました・・・ところが誰も、その被った皮までは気にしなかったようで。

 もう、その事自体が黒歴史じゃんよってツッコミを入れるのは野暮ってモンですかね?
 

Posted at 2014/07/21 00:42:07 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記
2014年07月06日 イイね!

どっこい生きてる「オレ・タチ、カルタス」



 古来より「類は友を呼ぶ」と言われているように、延々と作り続けられている中華シャレードと同じく、そのライバルであった2代目カルタスも、まだ新車で購入が可能です。


 舘ひろし氏がイメージキャラクターを務めた1983年デビューの初代カルタスも、コロンビアのGMとスズキの共同出資会社・GMコルモトーレス社から、US銘の「シボレースプリント」で2004年まで生産された意外なまでの長寿車でした。


 しかし、それに輪をかけてしぶといのが2代目です。日本国内では1988年の発売から2000年まで、ヨーロッパではハンガリーのマジャールスズキの手により2003年まで、共にH#系スイフトが発売されるまで作り続けられました。

 あまりにも長く作りすぎたが故に、ハンガリー製カルタス(スイフト)は、ヨーロッパの最新ライバル車に対抗するべく、1996年に独自のビッグマイナーを受けています。


 フロント、リア、ダッシュボードのデザインを変更して近代化。これ以後の海外生産車は、全てこの仕様がベースとなります。

 また、ヨーロッパ限定で同じGMグループのスバルにも2代目ジャスティとしてOEM供給を実施、メインに4WD車を据えて販売されました。


 その後も、インドではマルチスズキ社製のエスティームが生き残りますが、2008年に後継車となるZ♯系スイフトセダン「デザイア」が発売されると生産は終了、遂に安らかな眠りについたかと思っていたら・・・



 インドのお隣の国、パキスタンでは現在でも生産が続いてるではありませんか!!


 1982年にフロンテの現地生産を開始した現地子会社・パックスズキ社は、以来多くの4輪車を生産・販売、現在ではパキスタンの乗用車市場におけるスズキ車のシェアは54%にもなります。

 その中でも一番人気を博しているのがカルタスで、2012年モデルからは、グリル、ブルーリフレクターのヘッドライト、バンパーなどの新規パーツが与えられました。


 どうしてイカがわしいお国の現地生産車は揃いも揃ってユーロテールにしたがるのやら?


 内装は、シルバーの加飾パネルとホワイトメーターによるアレンジを受けて、90年代後半のスポーツ車のような懐かしい装い。


 機関系はキャブ仕様の3気筒1リッター・2バルブエンジンに替わり、排ガス規制の強化(ユーロ2規制)に対応した、新興国市場向け1リッター4気筒・インジェクションのF10型エンジンに換装されています。


 何でも当地では町行く車の2台に1台がカルタスという程の人気車らしく、まだまだ現役を続けてくれるのは間違いないでしょう・・・という具合に、これで終わっていたら良い話だったんですけどね。

 魔改造車の坩堝(るつぼ)、中華帝国の存在を忘れてはなりますまい。

 中華では、CA72アルトのノックダウン生産でお馴染みとなった感のある長安スズキが、1993年の提携開始から現在に至るまで「羚羊」(カモシカ)の名前でエスティームの生産を続けています。

 中華でもシャレードのライバルとして、ハンドル位置以外はインド仕様に準じた仕様で生産されていました。

 ところが、2007年に当時最新のデザインコンセプトを取り入れたビッグマイナーを受けて以降、中華ならではの魔改造が始まってしまいます。


 2012年モデルからは、現行スイフトを彷彿とさせるエアロバンパー、サイドスカートを新たに装備してスポーティ感を強調、もはやカルタスとは別の車を見ているかのようです。

 メーカー直系の現地会社だけあって、ここまで手を加えていてもデザインが破綻していないのは流石です。なまじ中華シャレードが酷いモンなだけに羨ましい。

 まだリア廻りにこそカルタスの面影が残りますが、トランクリッドも丸さを強調したオリジナルとは異なり、エッジの効いたものとなっています。

 しかし、ボディパネルの隙間(ちり)がオリジナルよりも小さくなって、品質が上がっているのには驚くばかり。

 しかも品質が下がる一方の国産車と違い、エンジンルームもしっかり塗装されているのはポイント高し。

 当地でも生産されていたカルタスクレセントと同じ、ダイレクトイグニッション仕様の1,3リッター・1カム4バルブエンジンを搭載しています。

 内装は外装ほど大きく手は入っておらず、センターパネルの操作系とコンソールが新しくなっている程度で、基本的にはヨーロッパのマイナー後仕様と共通です。


 さぁ、中華シャレードVSパキスタン&中華カルタス連合、どちらのほうが長生きするのか、チキンレースの始まりです。

 この関係性を暑苦しい少年マンガ風に表現すると、「強敵」と書いて「とも」と呼ぶと言ったところでしょうか?
Posted at 2014/07/06 03:13:41 | コメント(12) | トラックバック(0) | 日記
2014年06月29日 イイね!

ローバー・クインテット&ローバー416iのすべて


 1381年、ワット・タイラーの乱でジョン・ボールは言いました。
 「When Adam delved and Eve span, Who was then the gentleman?」
 (アダムが耕し、イヴが紡いだとき、誰がジェントルマンだったのか?)

 少し意味がわかりにくいですか?それでは共産主義者フィルターを通して意訳してみましょう。
 「不労所得階級のジェントルマン=ブルジョワ階級は、我々プロレタリアートの敵だ!!」

 イエス・サー。ジェントルマンといっても一概に立派な人間ばかりとは限らないんですね、わかります。
 むしろ、エゲレス紳士は世界一腹黒いと風評が立つ程度には御立派な訳で。

 そう思えば、あら不思議。こんな手抜き車だって笑って許せてしまうじゃありませんか。


 ━━━英国の伝統と日本の技術が交差するとき、そのふざけた幻想をぶち壊すかのような魔改造が始まります━━━



<ローバー・クインテット>


 予想以上に好調なアクレイムの滑り出しに力を得たBLは、さらにホンダに接近。
 1981年11月には、新型上級車(レジェンド/ローバー800)の共同開発、日本・豪州市場向けBL車を日本でホンダが生産、ヨーロッパ市場向けホンダ車をBLが英国で生産するという新たな契約を交わします。

 さっそく新契約に基づき、オーストラリアのBL現地法人「JRA」(ジャガー・ローバー・オーストラリア)は、販売不振の乗用車ラインナップに拡充を図るべく、ホンダに小型車の供給を要請します。
 まさに困った時の神頼みならぬ、ホンダ頼みの精神なのです。

 そんな図渦しいジェントルマンに対してホンダは、それまでオーストラリア市場で販売しておらず、アクレイム導入時にも一度提示をしていた5ドア車、クイントを日本から輸出することで応じます。


 1982年にBL内の大衆車部門が「オースチン・ローバー」に統合されたのに伴い、ホンダ車としては初めてローバーの名を冠した「ローバー・クインテット」の誕生です。(クインテットは輸出仕様共通名)


 あまりスケジュール的に余裕の無い1983年3月の発売という事もあり、ローバーのエンブレム以外にクイントとの違いは殆どありません。



 国内仕様の最上級グレードTERに準じた単一グレードのみを設定、オプションでサンルーフとエアコンが選択可能でした。(国内でOPのアルミホイールは標準装備)


 エンジンだけはオリジナルと異なり、オーストラリア仕様アコードと同じ、副燃焼室(CVCC)を持たないコンベンショナルタイプの1602cc、80馬力仕様を搭載、ホンダマチックも用意されています。


 ここまで見ての通りの純ホンダ車でありながら、発売当初JRAは「ホンダ製であることにオーストラリアのユーザーは気が付かない」と公言しています。
 この大英帝国的ジャイアニズム丸出しの植民地思想を、わたしも少しは見習わなければ。

  こうしてローバーSD1と並べると雰囲気が似ているので気持ちは分からなくもないのですが、 そんな事を気にしていてはジェントルマンなんてやってらんないのでしょうね、きっと。



<ローバー・416i>


 大ヒットとまではいかないまでも、ローバー・クインテットはそれなりの販売成績を収めたことから、後継車となるクイント・インテグラの5ドア仕様も「ローバー416i」としてオーストラリアで販売される運びとなりました。

 先代モデルとは異なり、ホンダブランドからも3ドア仕様「インテグラ」が販売され、競合を避けるべく両車は全く異なるキャラクターに仕立てられます。

 ローバーは、パワーウィンド・集中ロック・電動ミラー・サンルーフ・ベロアシート・パワーステアリングなどの充実した快適装備を誇る反面、足回りは13インチの70タイヤにリアブレーキはドラムとなる小さな高級車。

 一方のホンダは、エアロパーツ・4輪ディスクブレーキ・14インチの60タイヤなどを備える替わりに快適装備を省いて価格を安く設定し、ローバーよりも若いスポーティなユーザーを狙います。

 それまでの国内仕様のエンブレムを替えただけのお茶濁しを脱却し、ヨーロッパと共通のボディに国内の旦那仕様グレードGSに準じた装備という独自の組み合わせが与えられました。

 国内のGSグレードはキャブレター仕様でしたが、PGM‐FI仕様の1,6リッターZC型・DOHCエンジンを搭載しています。

 こうしてローバー416は、ローバー800がオーストラリアに投入されるまでの市場の維持を命題として1986年2月より販売を開始します。

 ところが、世の中そんなに甘くはありません。
 ●安心と実績(笑)のローバーブランド、●同じ車がホンダでも買える、●でもアコード並に高価、ここから導き出される結論は・・・どうぞお察しください。

 そうなると、当初の小さな高級車という崇高な理念は何処へやら? 翌87年7月のマイナーチェンジと同時に、お買い得なSEグレードを追加でテコ入れです。

 国内最廉価グレードLSと同等の装備にインジェクションのZCツインカム。よもや、これはモデル途中でカタログ落ちした国内の競技ベース的硬派グレードRsiの5ドアバージョンなのでは。(リアブレーキはドラムだけど)

 それとは逆に、従来からの高級仕様は当時のローバーのスポーティ&ラグジュアリー仕様の代名詞である「ヴィテス」の名を冠してより先鋭化。とうとうアコードの価格をブッチしちゃうのです。

 格好は大変よいと思うのですけど、リアスポイラー、オーストラリア製14インチホイールの採用でインテグラとの差別化は怪しい始末。これってどんなブリティッシュジョーク?

 さらに翌88年4月のマイナーチェンジでは、前年の国内仕様の変更に伴いフロントバンパー、内装のデザインが変更された他、ヴィテスにはドアトリムにハンドメイド製作のウォールナットパネルまでもが!!

 またしてもグレートブリテン島の重力に魂を引かれてるんですね、わかります。

 こうしてアレコレ手を尽くすも最後まで販売は低調な結果に終わり、国内で1989年にクイントインテグラの生産終了すると同時にJRAに対するホンダ車の供給は終了、在庫が90年頃まで販売されました。

 JRA自体も負債を重ね、英国からコンチェルト兄弟車の新ローバー400を輸入する計画が持ち上がった直後の1991年末、あえなくオーストラリア市場からの撤退を表明するのでした。
Posted at 2014/06/29 00:37:32 | コメント(4) | トラックバック(0) | ホンダ | 日記
2014年05月26日 イイね!

トライアンフ・アクレイムのすべて



 常に余裕を持って優雅たる、上品で礼儀正しく知的な英国紳士「ジェントルマン」

 そんなジェントルマンの旦那様と、日本が世界に誇る大和撫子の奥様というシチュエーション。
 もしも理想の国際結婚というお題目が出されたら、間違いなく上位にランクインのナイスカップリング(笑)でしょう。

 まぁ現実には、そんな軽~い小説みたいな話、そこらにホイホイ転がってはいないですよね。
 ところが1980年代には、わりとありふれた光景だったんです。但し、自動車の世界限定ですが。


 ━━━英国の伝統と日本の技術が交差するとき、そのふざけた幻想をぶち壊すかのような魔改造が始まります━━━


<トライアンフ・アクレイム>


1970年代のイギリスにおいて、主要自動車メーカーの大部分を傘下に納めていたブリティッシュ・レイランド社(以下BL)は、慢性的に続く経営危機から、販売の主力となるべき1300cc~1800ccクラスの新型車の開発が遅れに遅れていました。

 そこで、急遽ホンダとの間に「開発中の乗用車機種のうちひとつをEC内で生産し、BLブランドで販売する権利を供与する」という契約を1979年12月26日に締結します。

 ホンダ車をノックダウン生産することで、自社製新型車の完成までの間、その場しのぎの埋め合わせにすることにしたのです。(本当はルノーと組みたかったのだとか)

 契約に基づき、ホンダはモックアップ段階のクイントと初代バラードの2車種を提示します。
 結果BLは、将来的に開発中の自社製モデルと競合せず、保守的なトライアンフ銘で旧態化したドロマイトの後継として販売することから、4ドアセダンのバラードに白羽の矢を立てました。

 とっても誰かさんにクリソツなヒゲオヤジは見るに堪えないので、イカシタイヤの刑に処す。

 両社の想定以上に提携事業はスムーズに進行し、調印から僅か1年半後の1981年6月には、ホンダの技術協力によって最新設備が組み込まれたオックスフォードのカウレー工場にて、BL版バラードの生産が開始されます。

 日本車としては初のヨーロッパにおける現地生産であり、全体の70%にあたるボディや内装などを英国で生産、エンジン・ミッションなどのパワートレーンとサスペンションは日本から輸出されたものを組み込むという形が取られました。

 そして迎えた1981年10月7日、提携話が取り沙汰されて以来「バウンティ」というコードネームで呼ばれていたBL版バラードは、称賛を意味する「アクレイム」と名付けられ、全英で正式に発売をスタート!!


 しかしバラードからの変更点は、エンブレム、ドアミラー、サイドフラッシャーなど、コストと時間の都合により僅かに留まりました。



 当初はBLによる独自の外装も計画されており、ヘッドライト、バンパー、グリルを新造し、当時流行していたスラントノーズ化するデザイン案が1981年1月に描かれています。

 この幸薄そうな感じとか、トレディアみたいですね。

 インテリアも、マイルメーターなどの細部を除けばバラードと共通となります。


 唯一、同じBL内のモーリスブランドから販売されていた中型車、「イタル」からフロントシート(元々はフォード・コルチナのシート)を流用することで独自性をアピールするのみ。


 エンジンは、ヨーロッパ仕様のシビックと共通となる、副燃焼室(CVCC)を持たないコンベンショナルタイプの4気筒1,335cc。

 シングルキャブ60馬力のシビックに対し、ツインキャブ70馬力のアクレイム専用エンジンを搭載し、トリオマチックと呼び名を変えたホンダマチックも設定されています。

 全期間を通じて、アクセサリーの違いによるグレード間の差別化が図られました。
 以下は1983年にマイナーチェンジされた後期型のカタログからの抜粋です。ステアリング、シフトノブ、外装ドアハンドル、リア内装ドアハンドル、ヒーターパネル、時計などのデザインが前期型と異なります。

●L(Luxury)/HL(High Line)

 BLの中でも上流に位置するトライアンフだけのことはあり、最廉価版のLグレードでもみすぼらしくはありません。
 HLグレードには、ヘッドレスト付きシート、リモコンミラー、デジタル時計(前期は機械式)が装備されます。

●HLS(High Line Superior)

 HLに追加して、サイドモール、ラジオ付きカセットステレオ、ハロゲンヘッドランプ、ベロア貼りシート、可等式リアシートを装備する最量販グレード。

●CD(Corps Diplomatique)

 前後パワーウィンド、ヘッドランプウォッシャー、シートバックポケット付きシート、メッキバンパー、ホイールリング、 165/70タイヤなどの豪華装備を誇る最上級仕様。

 ところが、本物の高級というものを知っているジェントルマンは、この程度の装備では満足されません。

 そんなこともあろうかと用意されていたのが、コーチビルダー、いわゆるオーダーメイド車加装会社である「Ladbroke Avon Limited」(ラドブローク・エイボン社)製スペシャルモデルの「AVON」(エイボン)です。

 いわばベンツで言うところのAMG、BMWのアルピナにあたるメーカー公認のカスタムカーとして扱われ、カタログモデルにエクストラコストを支払えば、全BLディーラーで購入することができました。

●Avon(エイボン)

 コノリーレザーシート、クルミ材のウッドパネルを筆頭に、レザートップ、ツートンカラー、メッキグリルなど、グレートブリテン島の重力に魂を引かれた、古典的な英国車の世界が広がっています。

 この手のカスタム車としては異例の週に25台の受注を目論んだものの、改造費用が車両価格の3分の1に近くにあたる、1365ポンド(当時の為替で約60万円)と高価であった為に購入層が限られてしまい、すぐさま需要を過大評価していたことが明らかになりました。

●Avon・Turbo(エイボン・ターボ)

 エイボンの販売不振を受けて、全く新しい市場を開拓するべく、スポーティなターボ仕様が1983年に追加されました。

 ギャレット製タービンをボルトオンすることで、105馬力と大幅にパワーアップされていますが、燃料供給はツインキャブのままなので、セッティングは泣きを見そう。


 コテコテのジョンブルだった外装にも大きく手が入れられ、純正オプション品と同形状のフロントエアダム、リアスポイラー、専用サイドデカール、ロナール製アルミホイール、60扁平の205タイヤで武装した、筋肉ムキムキのゲルマン民族風ボーイズレーサーに変身。

 これだけ力をいれておきながらも、少し足せばもう1台アクレイムが買えてしまう2990ポンド(約120万円)もするトチ狂った改造費用がネックとなり、ターボ仕様も少量の生産に留まりました。

 なまじっか出来が良いだけに、その持てる力を調和と協調に使えば、こんな風にネタにされることもなかったんですけどね(笑)

 このエイボン仕様の大失敗とは裏腹に、アクレイム自体は発売開始から4週間で英国国内の販売第5位を記録、好調な滑り出しをみせます。

 当時のEC圏における、「現地生産比率が50%以上であれば、当該国の生産と見なす」という規定もクリアしていることから、日本車が課せられていた輸入規制も適用されず、輸出戦略車として多数の左ハンドル仕様が輸出され人気を博しました。


 日本においても、アクレイムは国際企業間の新しい提携関係の形として大いに注目を集め、それを記念したバラードの特別仕様車も販売されています。


 その声を反映したのか日本車(もどき)にしては珍しく、かの地でミニカーも作られているのが意外でなりません。(コーギー製・36分の1スケール)

 名状しがたいダンボの耳のようなミラーがブサイクですって? そんなこと言ってる人は、オプションカタログを見て、是非ギャフンと言ってくださいまし。


 ダブルミラーは伊達じゃない!!



                       
Posted at 2014/05/26 00:29:19 | コメント(4) | トラックバック(0) | ホンダ | 日記

プロフィール

「もう一台のタントはコペン純正レザーで!!」
何シテル?   06/07 19:02
ほら今日も、まゆげのおじちゃん探してくるよ、シケモク車。
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