
バイクや車のカスタムで定番の部品。マフラー。
ハイパワーを狙って抜けの良いマフラーを装着すると「低速がスカスカになるよー」って、猫も杓子もそう言いますね。
確かに抜けの良いマフラーにすると低速でトルクが欲しい場面でアクセルを開けてもトルクが出てこない、更に大きくアクセルを開けてもアクセルがスカスカしてトルクが出ない、マフラーのスカスカとアクセルのスカスカのオノマトペも一致してメカニズム的な理解も「抜け過ぎ」という事で腹落ちした感じになりますよね。
今回は「銃」に使われるサイレンサー、正確にはサプレッサーっていうのかな? どちらでも良いのですが、銃のサイレンサーの仕組みに例えて、スカスカ排気管のメカニズムを考えてみたいと思います。
↑ (銃の発射する感じです。絵が下手なので心の目で補完して下さいね。)
1, 火薬に火が付き爆発膨張を開始。
2, 発生した高圧ガスに押されて弾丸が発射。
3, 今回高圧ガスの圧力は簡単に考える為に、14個の高圧ガスが発生したと考えることにする。
4, 発射後の瞬間には銃身に7つの高圧ガスが残されているとする。
5, 発射と共に銃身から7つの高圧ガスが放出されたとする。
6, 高圧ガスの放出により爆音が発生する。
発射と共に爆音が発生するメカニズムはこんな感じとして、サイレンサーを装着した場合を考えると、
サイレンサーを装着した感じ。(今日は特にイラストが下手なので、心の補完機能を最大にしてみて下さい。)
大気開放されていた高圧ガスと容積の等しいサイレンサーを装着する事で高圧ガスの放出が無くなり爆発音が軽減される。そんな仕組みだそうです。
これをバイクの良く出来たノーマルマフラーだとして、、?
次に過大な容積のサイレンサー(排気管)を装着してみます。
高圧ガスの容積14を超える過大な容積のサイレンサーを装着すると、高圧ガスが不足して弾丸が銃口に到達する頃には余剰な体積内が負圧で満たされる事になります。
もしも弾丸に重量がないと考えると高圧ガスに充たされた領域まで弾丸が引き戻される事になります。
このUターンしちゃう感じがスカスカ排気管という事になります。。
ここからエンジンの具体例になります。
本来的に排気管に期待する効果は、バルブオーバーラップ時の排気慣性による掃気効果。
掃気効果が働くと行程容積+燃焼室容積の、排気量(行程容積)以上の混合気を吸入する事ができる。
(イラストの排気ガスの量を取り違いました。以降の排気ガスの量は多い少ないの何と無くでみて下さい。。。)
排気管容積を大きくすると、低回転で排気ガスが少ない運転領域では排気ガスが逆流してしまい当然掃気効果は働かない。
それどころか、
バルブオーバーラップ中に排気ガスが吸気側に吹き返す事にも成ってしまいまい新気の取り入れが上手く行かなくなってしまいます。吸気ポートって割に排気ガスで汚れていますよね。
↑ この状態が排気管スカスカ、低速トルクスカスカの状態になります。
ガスが足りずにUターンして糞詰まってしまうと言うのが、抜けの良いマフラーに交換すると低速トルクが減少する原因となっています。
普通に考えたら、本当に抜け過ぎたら掃気効果が強く働いてパワーが出る筈ですよね。
抜け過ぎると圧縮が低下してトルクが出ない。なんて事を言ったりもしますが、良く良く考えればその様な理屈は成立しない事が分かります。
それとサーモバンテージを巻くとトルクが出るという話。排気ガスが少ない領域でガスを保温して体積が収縮しないようにガス温度を保持します。キチンとした理屈が成立するアイテムと思います。
当然スカスカマフラーは高回転時にガス量が増加して排気管容量と排気ガス量の関係が最適となると排気慣性がノーマルマフラーよりも強力に働く事になります。
これで低速スカスカ、高速ビュンビュンの理屈が見えた感じがしますね。
しかし、
SR400/500で言って、1987年以前のバルブオーバーラップが相対的に大きいカムやさらに大きいST-1だと太い排気管による掃気効果が大きく働くのが分かりまが、逆に1988年以降の相対的にバルブオーバーラップの小さなカムではバルブタイミング的に掃気効果が起こり難いので、太い排気管での低回転での逆流は発生しますが高回転のパフォーマンス改善には繋がり難い感じも分かるかと思います。高回転のパワーはマフラーとカムの相乗効果で得られる。と言えると思います。
マフラーを変えるとパワーが出るエンジンと、トルクの痩せが目立つだけでパワーが出難いエンジンが有るのはそんな理由からかも知れませんね。
バルタイについてはこちらの記事
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/car/2422595/7485865/note.aspx を参照頂ければと思います。
銃のサイレンサーの例えの弾丸にあたるものは、マフラー内の空気だったり、あえて排気脈動と捉えても排気管の他の効果の理解につなぐ事ができると思います。
排気ガスはピストンが押し出すものだから~、と考えてしまっては間違いになります。今回このあたりの事には触れませんが 排気音=爆発音 というのが理屈になります。ピストンに押し出される排気ガスでは爆発音は発生しないですからね。
私が排気ガスが逆流するという話を初めて聞いたのは、かれこれ30数年前。
南部市場でストリートゼロヨンが盛んだったころ(私はギャラリー。)、カップラーメンの自販機あたりのたまり場でゼロヨンのオジサンが教えてくれたんだっけな。懐かしいな。。
北見淳の排気管の理論のくだり、
計算式で求める排気管設計の理屈と矛盾がありません。
湾岸ミッドナイトの作者は余程のリサーチをして漫画を書き上げてるんだなと感心です。
今回は気合が足りず?、出来損ないの記事になっちゃったかな? 機会があったらもっとちゃんと書き直したいと思います。
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Posted at
2025/01/22 04:31:20