※自分は今こう考えている、というものであり、
これが正しいとは限りませんので御了承ください。
シフト編と書きましたが、正確にはシフト+トランスミッション編です。
・・・言うまでもありませんが、M/Tを中心に書いてます。
トランスミッション(変速機 以下ミッション)はその名の通り、速度を変更する為にある機構です。ミッションが無い場合は、アクセルの項で触れたように力の伝達効率・燃費の低下を招いてしまいます。機能的な詳細は、
アクセル編 前編のミッションの項で述べたとおりです。
ミッションは構造上、大きくは有段変速機(M/T・A/T)と無段変速機(CVT等)に分けられますが、これらは力の伝達方法が作動油・摩擦のいずれを採用しているかが異なるのみで、円に対する径の違いを用いて変速を行っているという部分では大きな違いはありません。いずれの場合でも、そこには大小の差はあるものの伝達ロス等が発生しますので、それを如何に減らすかが効率の良い運転を行う上でのポイントとなります。
M/Tは有段変速機で、ギアを使用して変速を行います。その際はクラッチにて一旦力の伝達をカットした上でギアを変更し、その後にクラッチが繋がる事で再び力は伝達を行います。M/Tについて考える場合、クラッチ操作が特に重要となります。車が速くてもクラッチ操作が芳しくない運転は決して速くなく、燃費も悪くなってしまいます。
クラッチを切る事で力の伝達を切り離す際、離れる瞬間まで力の伝達は行われます。例えば加速時にギアチェンジする時にクラッチが切れるまでアクセルの開度を保っていない場合は、アクセルが戻った事でエンジンブレーキにより減速力が発生してしまいます。とはいえクラッチが切れた後は負荷が極端に減った事でエンジンの回転数は上がりますので、アクセルの開度を保っているとオーバーレブによりエンジンに軽くないダメージを与えてしまう事もあり得ます。その為、クラッチを切る際にはクラッチ操作と共にアクセル操作にも注意を払う必要があります。
クラッチを切った後にシフトレバーを操作してギアを変更して再びクラッチをつなぎます。この間は車は惰性で動いていてエンジンによる加速を行っていない状態ですので、無駄な時間となってしまいます。シフトチェンジを早く行う事でこの時間を減らす事は可能ですが、これはギアを操作する時間を短くする事でもありますのでその分ギアに掛かる負担は増加してしまいます。その為、シフトレバーの操作はある程度の短い時間で行う方がよいのですが、早すぎるのは車の維持面で考えると良くありません。
クラッチをつなぐ時、通常はクラッチが完全に繋がっていない状態つまり半クラッチにて駆動系とエンジンの回転数をそろえた上でつなぐ必要があります。これを怠った場合は強引に回転数を合わせる事になりますので、通常はクラッチとエンジンに負担をかけてしまう事になります。反面、半クラッチは力の伝達効率が悪い状態でもありますので、半クラッチを行わないのではなく、半クラッチを必要としない状態にする事で効率を高める事が可能です。半クラッチは回転数をそろえる為に行っていますので、車速により生じる駆動系の回転数とエンジンの回転数をそろえればよい事になり、これには車速とギア比に対するエンジンの回転数を把握する事が必要となります。
この時の回転数のずれは、感覚的には最低でも100rpm以内、可能であれば50rpmに抑えたいところです。例えばシフトアップする場合、エンジンの回転数は高い状態から低い状態に変わりますので、シフト中にアクセルを弱めて回転数を落としアクセルで回転数をそろえた状態でクラッチをつなぐ、もしくは回転数が落ちて回転数が揃った時にクラッチをつなぐ、という操作になります。この二つの操作はクラッチをつなぐ面では大差ありませんが、その後どの様な操作を行うかを考える時には使い分ける必要があります。シフトアップして加速する場合、クラッチをつないだ時点で前者はアクセルを既に開け始めていてエンジンの回転数が上がり始めているのに対して、後者はアクセル操作を始めていません。シフトアップ後に加速する場合、後者はクラッチが繋がった時点でエンジンの回転数は下がろうとしていますので、アクセルを開けて回転数を上げていく必要があります。従って、前者の方がより早いタイミングで加速を行える事になります。逆に後者はクラッチをつなぐ際にアクセル操作を行っていませんので燃焼の消費量は少なくなっています。シフトアップして巡航する場合はクラッチが繋がって力の伝達効率が回復した時点でエンジンの回転数を維持する程度にアクセルを開ける事で、より燃費の良い運転が可能となります。
言うまでもありませんが、この回転数をそろえるのがテクニックであり、二つの操作のいずれを選択するかがスキルです。シフトダウンを行う際もその目的(減速に併せたシフトダウン/エンジンブレーキを目的としたシフトダウン)に応じて同様な事を考慮する必要があります。
シフトチェンジは加速/減速の為に行う事ですが、シフトチェンジ後のエンジン回転数が目的に添っているかも重要なポイントです。速く走らせようとしている場合のシフトアップでは、シフトアップ後がトルクバンドに掛かっていなければ、加速がもたついてとぎれてしまいます。燃費でシフトアップする場合も、シフトアップ後に速度を維持出来ない回転数であれば、シフトアップする事で減速してしまう事にもなってしまいます。シフトチェンジする場合、クラッチを繋いだ後の回転数も考慮した上で、行うタイミングを図る必要があります。
M/Tでシフト操作を行うと、以上のような理由から必ず無駄が発生します。その為、シフトチェンジを効率で考えるのであれば、
1)可能であればギアを変えない
2)替え時を間違えない
3)なるべく短時間で行う
といった優先度でシフト操作を行う事をお薦めします。
余談ですが、燃費「だけ」を考える際は、アイドリングの際はニュートラルよりもクラッチを切った方が稼働させる部分が減る事でエンジンの負荷は減ります。が、アイドリング時はアクセルを踏んでいませんので、燃料消費量は大差ありません。
回転数が若干少なくなる分だけ、向上するかな?
一般的なA/Tの場合はギアの構造がM/Tと同じで、シフトレバーの替わりにコンピュータがシフト操作を行い、クラッチの替わりに作動油を使用して力を伝達しています。作動油により駆動力が加わったままでもギアの変更や停止が可能であり、操作性は向上します。反面、クラッチに比べて力の伝達効率は劣ってしまう為、燃費悪化の一因となってしまいます。
コンピュータがシフトチェンジを行うタイミングは、通常アクセル開度によって制御されます。アクセルの開度=ドライバーがどの様な運転を使用としているのかをコンピュータが設定に基づいてくみ取り、それに適した回転数を使用しているのです。従って、効率の良い運転を行う為にはその車の設定≒特性を捉えた上でのアクセル操作が必要となります。
キックダウンがその代表例です。
A/Tでは燃費向上の為、オーバードライブにてアクセルを完全に離している状態では駆動力を切り離す事でエンジンブレーキによる減速を抑えています。これは燃費には効果的ですが、反面、車は惰性・慣性で動いている状態ですので、安定性を損なっています。この状態からアクセルを踏み込む時、一旦駆動力を伝えた上で加速動作に入りますので、タイムラグが発生してしまいます。この事象を踏まえて、次に行うアクションに備えてパーシャルを使用する、駆動力を伝えない程度にアクセルを開けておく等の独特なアクセルワークが必要となります。
尚、一般的にはA/Tのコンピュータは運転に合わせて特性を変化させていく(学習していく)ので、A/Tにおける効率の良い運転を行う為には、車を育てる必要があります。
CVT等の場合は無段変速、つまり段差無くギア比(呼び方は間違っていると思います)を変化させます。構造上、摩擦を使用していますので大出力を受け止めるのは難しいのですが、反面、力の伝達効率はA/Tに比べて良くなっていますので、一般的にA/Tよりも燃費が良くなります。
CVT等の場合はエンジンの回転数が一定のままギア比を変える事で速度を変化させられますので、例えばエンジンが一番力を発生させられる回転数にて加速を行い続ける事が可能です。同様に、加速効率がよい/燃費がよい回転数にて加速を行い続ける事も可能です。この回転数はA/T同様に制御される為、アクセルの開度に適した回転数を使用しています。CVTの場合はA/Tと異なり、速度とエンジン回転数・アクセル開度の組み合わせによってはエンジン回転数が上がりつつギア比が落ちていく事で相乗的に速度を増していく事も可能ですので、CVT等にて効率の良い運転を行う為にはA/T同様に車の設定≒特性を捉えた上でのアクセル操作が必要となります。また、学習についても同様です。
A/Tでクラッチを使用している場合、クラッチ操作はコンピュータ制御となっています。また最近はツインクラッチによりクラッチ操作のタイムロスを減らす車もありますが、いずれの場合でもコンピュータがクラッチを切る/繋ぐに併せてアクセル操作を行う事で効率の良いシフトチェンジが可能となる点は何ら変わりません。
詳しくは知りませんが、操作面ではおそらくA/Tに近いと考えられます・・・クラッチ切断の制御が不明な為、詳細は分かりません
燃費/速さの為に作られているミッションは、その使い方/操作方法によっても燃費/速さに貢献します。また、車の耐久性にも大きく貢献しますので、是非技術向上に取り組んでみてください。
Posted at 2008/08/03 22:11:40 | |
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