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2014年07月02日

小型ディーゼルはターボ化へ。トヨタ・ターセルの挑戦に頷く

小型ディーゼルはターボ化へ。トヨタ・ターセルの挑戦に頷く §日付けのある Car コラム
§『アクション・ジャーナル』selection

ターボチャージャーをエンジンの付加物として考えるのではなく、ターボ込みのユニットとみなして、パワープラントとする。このような考え方が、数年前から、わが国の自動車工業界に生まれている。そう、乗用車用ディーゼルエンジンの場合である。

これは大いに正解であると思うのだが、メーカー・サイドから見ると、これまた大いなる意識革命であるらしい。自動車メーカーというのは、われわれが想像する以上にコストに敏感であり、1円、いや銭単位で、少しでも安価にと、内部でシノギを削っているようなのだ。

ターボ・ディーゼルに話を戻すと、まずディーゼル化で、たとえば同じシリンダーブロックを用いるとしても、」ガソリンエンジンよりコスト高となる。補強などを一切しなかったとしても、ディーゼル用の噴射ポンプだけで、もう高く付くのだ。これに加えてさらにターボとなると、手慣れたガソリンエンジンよりツーランクもカネがかかるじゃないかというのが、メーカー的な計算法であるらしい。

ただし、これは内輪の話で、つまりガソリンエンジンならこれだけなのに……と知っている人だけがわかることである。そして、それだけの“リスク”を背負ってでも、ターボ・ディーゼル仕様一本(ノンターボDは設けない)で出て来るようになった背景は、ひとつは、ターボ技術の成熟と、その小型化。

そして“ライバル”のガソリンエンジンが、近年とみに省燃費化を進めていることへの対策であろう。もう、単に経済車であるということだけでは、ディーゼルも苦しいのだ。業務用としてなら、多少のガマンもしてもらえようが(?)自家用ユースとしては「速さ」も重要なテーマであるから。

そう、これだけ街路をせかせか歩く人々が、クルマに乗った途端にユックリ派に変わるわけがない。ディーゼルであれ何であれ、トロいのはダメなのです。軽自動車をごらんなさい。ミニマム・トランスポーターだって、ドライバビリティの良し悪し、速さやレスポンスが大いに問題になっているではありませぬか。

……というわけで、わが国のこうした“速さ志向”は、自動車文化がオトナでないとか未成熟だとかいうこととは関係ないのではないかと、近頃思い始めている。“識者”はすぐに、ヨーロッパと比べて歴史がウンヌンと言いたがるけれど、じゃ、イタリア車はどーなるの? あそこの半島だけ、自動車史が短いの?

ともかく! 重くて吹けずにパワー不足……というディーゼル車観は、86年のニッポンにおいては完全に過去のものだ。われわれの自動車観がそのように《D》を育て、たとえばトヨタの「1N-T」というターボ・ディーゼルを得るに至った。

新しいターセル/コルサ/カローラⅡの1.5リッター/ターボ・ディーゼルは、安価な軽油で、しかもキビキビ走る魔法のようなエンジンを積む。この動力性能は誰もが認めざるを得ないのではないか。

クルマの性能は、出したおカネの額に正しく比例する。これはかなり真実であるが、トヨタの「1N-T」、そしていすゞの「4EC1」(FFジェミニ用)という1.5リッターのターボ・ディーゼルは、その安直な体系に横ヤリを入れる活力に充ちている。体感と計算は、一度、してみる価値がある。

なお、ガソリンエンジンと違って、わが愛すべきディーゼルエンジンは、ターボ装着によっても、実用燃費の悪化はほとんどないことを、最後に強調しておこう。

(1986/07/30)

○89年末単行本化の際に、書き手自身が付けた注釈
ターセル1500ディーゼル・ターボVL(86年5月~  )
◆コンパクトな車体に、ターボ付きユニットを積んで、キビキビと走る。あるいは、中級以上のボディに、遮音性にしても大衆車クラスとは異なる車体にディーゼルを搭載し、静粛性と経済性の両立を求める。いま、ディーゼルの選び方には、この二種のアプローチがあると考えられる。乗用車としてのディーゼルには、これだけのボディを、これだけのランニングコストで動かせるのか!という“感動”という意味で、まずは、後者の方法で接触されることをぼくは勧める。

  ────────

○2014年時点での注釈的メモ
この1986年時点で、ディーゼルは「ターボ化」により、乗用車用パワーユニットとして辛うじて生き残った(本コラム)。しかしこの後、排ガス問題などで、いったんディーゼル乗用車の市場は大幅に縮小する。

その状況を一変させたのが、1997年、ハイパワーと排ガスのクリーン化、さらに静粛性も獲得した「コモンレール方式」の登場だった。極めて精密に超高圧で燃料を噴射するこのシステムとともに、硫黄分をなくす燃料(軽油)の改変も行なわれ、ディーゼル・エンジンは新次元に入る。とはいえ、一時期のマイナスイメージがあったため、キレイで静かな新世代ディーゼルがマーケットに浸透するには、多少の時間が必要だったが。

そして2010年代、ディーゼルは、ガソリンエンジンとは異なる特徴を持つ“もうひとつのパワーソース”として、その経済性とともに注目され、今日に至っている。

なお、80年代後半、軽油とガソリンの価格差は1リッター当たり約30円だった。今日よりもその差は大きく、ディーゼルの経済性という言葉が、いまよりずっと“リアル度”が高かったことを付記しておく。
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Posted at 2014/07/02 09:30:53

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