
NDロードスターにRFが追加され,兄弟車のフィアット124アバルトも導入された結果,NDロードスター系のモデルは2メーカー3車種になっています。
ロードスターと124アバルトは既に試乗をしたことがあるのですが,近くのマツダディーラーにRFの試乗車が入り,早速試乗にいってきましたので,今回はこの3車種の比較をしてみようと思います。
とはいっても,三車三様の個性があるので採点方式にはいたしません。
乗り比べて気がついた点や特徴をまとめます。
ロードスタ-(幌モデル)は車重の軽さと良く回るエンジンがあり,走り出しから軽快感を感じます。
思った通りに動かせる楽しさと,使い切れるほどよいパワーがあり,高い次元でバランスがとれている,というのは多くのレビューで言われているとおりでしょう。
ただし,非力さが残るため長距離移動や峠では若干の物足りなさを感じることや,軽快感を出す反面,少し足が動きすぎる感じがありました。
これがRFになるとどうか。
幌がメタルトップになり+45kg,エンジンの大型化や追加補強も含めると+100kgの重量増(とはいえカタログで1100kg)と,500ccの排気量アップによる高出力化(131ps→158ps)が予想以上に良い方向で作用しているように思えます。
幌モデルの軽快さはなりを潜めますが,反面,重量増と追加補強でしっとりとした乗り味が出ています。また,幌モデルの動きすぎる足回りもほどよく押さえられ,入力に過敏に反応することもなくなっています。
メタルトップを閉めると,非オープン車と同程度の静粛性も確保され,「たまに屋根を開ける」乗り方であればRFのほうが快適だと思えます。
幌モデルより大人のグランドツーリングに振った乗り味,と考えるとわかりやすいでしょう。
もちろん,安定性を高めた結果,幌モデルの軽快感は失われれます。ただ,これは優劣ではなく「どちらが好みか」「どちらが購入者の考える用途に適しているか」という違いでしょう。
重量増はオープン状態では全く気にならないのですが,クローズドにすると若干重心が高く、屋根の重さを感じます。これは仕方がないことですがRFのネガティブな面でしょうね。
軽快感がなくなったように思える原因のもう一つは,エンジンが幌モデルよりレスポンスが抑えられ回らなくなっていることもあるでしょう。
エンジンを回して気持ちよく走るなら幌のMT,長距離や高速道路での移動が多いならRFのATが一番バランスが良いように思います。
さて,最後は124アバルト。

フィアット・アバルトがロードスターをどう再構成したか,という楽しさがあるモデルです。
インテリアはほぼロードスターですが,シートポジションはロードスターよりさらに足を投げ出してハンドルも遠いというイタリアン。
大きな違いはエンジンが1400ccターボに変更され,それに伴い足回りやブレーキ性能も強化されている,ということにあります。
124アバルトは一言で言うと「メーカーチューンド車」というべきで,エンジンはかなりドッカンターボ。足回りも相当締め上げられており,社外サスキットを入れたような乗り味です。
車重もRFより若干重くなっているのですが,軽快感はRFより上。有り余るパワーとトルクを活かして吹っ飛んでいくイメージが近いと思います。
逆にスポーツに振りすぎた結果,乗り心地はロードスターより落ちます。路面が荒れていると結構揺さぶられるので,スポーツカーに慣れていない人からは不満が出るかもしれません。
3車の比較をしてみると,各車とも明確な個性付けがなされており競合はしないように思います。
操る楽しさと軽快感を追求する反面,長距離移動はちょっと苦手な幌モデル,GTカーとしての乗り心地の良さを得た反面,スニーカーのような軽快さを捨てたRF,そして「走り」に特化した124アバルト。
同じベースでも,コンセプトの違いがはっきり出るということで,各車とも開発者の並々ならぬこだわりと意気込みも伝わってきます。
Posted at 2017/01/07 13:01:11 | |
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