コロナ禍の影響で長距離の出張や旅行が減り,クルマでの移動も半径数キロ~10数キロ圏内が大部分になっております。
そのような中で,「エンジンが暖まらない距離」の割合が相対的に増えていることから,シティコミューターとしてのEVに少し興味が出てきました。
欧州では2030年代にガソリンエンジン車の販売を禁止するとの流れの中,欧州メーカー各社ではEVが急激に増えてきたため,EV=日産・三菱だけではなく選択肢が増えてきたこともあります。
というわけで,今回はマツダとプジョーのEVを試乗してきました。
まずはマツダのMX-30EVから。
外観はガソリンエンジン車との違いはありません。
メーター回りもほぼ同じですが,タコメーターの代わりにモーターの出力・回生状況が表示されています。
違いがわかるのはエンジンルーム。モーターだけが見えてスカスカのエンジンルームがEVらしさを感じます。空いたスペースにはロータリーエンジンが入る計画もあると聞きますが,どうなるのでしょうか。
実際乗った感覚は,T社の国内で一番売れているHV車よりもガソリン車に近い感じ。モーター音とともに停止からスムーズに加速していく感じは自動車ではなく電車ですが,ガソリン車からの乗り換えでも違和感のないようにゼロ加速時のレスポンスは抑えめにしているということです。
ハンドリングは自動車の乗り味をしっかり確保して違和感なし。重量増によるネガは感じず、かえって安定感と剛性感があって悪くなかったです。
惜しむらくは車格が大きい割に後席が少し狭く感じること。シティコミューターとして使うにはやや大きさを持て余します。また,これ1台で長距離もまかなうには,若干航続距離が短いということもネックです。
EVのシステムやサスペンションセッティングを含めた乗り味は今のマツダの良いところを守れているので,今後の他車種への展開に期待というところでしょうか。MAZDA2でEVが出たらちょうど良いのになあ,と思います。
続いてプジョー。試乗はMX-30との比較のためe-2008をチョイス(写真はいずれも展示車のガソリンモデル)。

こちらはBセグメントの208/2008のEVのため,大きさはe-2008でもMX-30よりややコンパクト。乗った印象はさらに小さく感じますが,室内空間や後席の広さはMX-30と同程度のイメージ。
208だと全長が4mちょっとなので,MAZDA2と同じサイズ感。車重もEVとしては軽量な1490kg(e-208アリュール)に収まっています。
内装は質感もいいし、2008は後席も十分広い。小径ステアリングと3Dコクピットも初期の頃ほどの違和感はなく、ドライバー側にオフセットしたモニターとトグルスイッチ風のインパネが相まって航空機のような雰囲気。
ただし着座姿勢とドライビングポジションはマツダの方が上です。少し足下が狭い&遠い感じを受けました。
モーターのレスポンスに意図的なラグを設けてあるのか、加速感も含めてガソリン車と比較しても全くの違和感なし。サイズ感も丁度いいし、重量増も安定感につながっており好印象。
サスペンションの味付けはプジョーらしくよく動いてロードホールディング性も高いが、18インチのタイヤはややバタつく印象。ホイール替えてバネ下重量を軽量化すると面白いかも。動力性能はノーマルモード(80kw)でもスムーズに法定速度まで加速して巡航できるので実用上の支障は無さそうです。
問題は価格ですが,e-2008はGTラインだと乗り出し500万円になってしまうが、e-208アリュールだと乗り出しは400万円少々で環境省の補助金を受ければ実質350万円級の価格帯になるので、後席の居住性に拘らないなら208の価格競争力は高いと思います。
3台を通じて共通したのは,EVという「クルマと別の乗り物」ではなく,「動力形式が電気か内燃機関かという違いがあるだけ」で,ガソリンエンジンモデルと変わらない「クルマ」を作っているなあ,ということ。
日本製EV・HVがクルマとは別の乗り物を目指している(テスラも同様かな)中で,「クルマ」の延長線上としてのEVを目指している感じがします。いずれも運転していて楽しかったので,こういう形の変化であればEVも悪くはないのかな,と思います。
Posted at 2021/02/22 12:29:38 | |
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