金曜日になりました。
明日お休みの方も、そうでない方も、
ひとまずお疲れ様です。m(__)m
・・・まだ1日終わってませんけどね。
映画のお話です。

「散り椿」、観てまいりました。
ポコッと時間が空いた時に(大体いつもヒマ、なんですが)、
たまたま上映してましたので、立ち寄ってみたのです。
そういった経緯で、予備知識もなく、また何の期待も
してなかったのですが、終盤、涙腺が緩みっぱなしでした。
夫婦愛を主題に、江戸時代のお家騒動を副題とした剣豪もの。
あっさりまとめるとそうなりますが、
心が洗われるような、味わい深い映画でした。
Yahoo!映画の ユーザーレビューに面白い評価が
ありましたので、引用させていただきます。
( )書きは僕の加筆です。
引用始め
「故・葉室麟先生の作品は何冊も愛読しています。
原作は最高です!
(しもた!読んでおけばよかった!ワシ知らんねん、葉室麟先生。)
出演されている役者さん達も素晴らしい演技をする方々ばかりでした。
特に主演の岡田准一さんの殺陣には圧倒されると思います。
(まさに、おっしゃるとおり!)
なのに、なぜこんなことになるのか・・・
(うん?…お気に召さなかったのか…)
流し読みした脚本家がうろ覚えで脚本を書き、それを演出家と監督が
ただなんとなく淡々と映像化しただけの作品と言っても過言ではない
と思います。
(うろ覚えで脚本を書き?、いやいや、それはあり得んやろ…過言、ですわ。)
そしてなんとな~く終わります。
(あれを、なんとな〜く、とおっしゃいますか)
岡田准一さんのファン以外の方には得る物はないのではないでしょうか?
(僕は、岡田さんのファン以外の一人、ですが、得たものは大きかったですよ)」
以上、引用終わり。
ほ〜、なるほど。
そうですか…。
僕も原作と映画の乖離にガッカリすることが多いので、
このレビューを書いた方のお気持ちはよくよくわかります。
ここは一発、是非とも原作を読まねばなりません。
ということで、原作本、買ってまいりました。
直木賞作家、葉室麟さん、恥ずかしながら、全く知りませんでした。
時代小説を読むのは浅田次郎大先生の「壬生義士伝」以来です。
読みやすい文体で、すぐ中に入って行けました。
レビューに書いてあるような、流し読み、ではあの脚本は
絶対に書けません。
2時間の枠に収めるため、止むを得ずたくさんのエピソードを
削ぎ落とした上で、練りに練って物語を再構築した素晴らしい
脚本だと思います。
…と、以上は原作を中盤まで読んだところでザッと書いたものです。
改めて本を読みました。
終盤に入ってからの展開は凄まじいものがありました。
見事でした。
主人公の妻、篠の本心が解き明かされます。
映画以上に涙腺が緩んで活字が読めませんでした。
実に素晴らしい小説でした。
組織で働くことの気苦労は、墨と筆の江戸時代も、キーボードの現代でも
いささかも変わることがないことが身に染みます。
レビューを書いた方の「原作は最高です!」確かに、そのとおり、でした。
じゃあ映画は、「ただなんとなく淡々と映像化しただけ」、そうなのか?
いいえ、そんなことはござーせん。
あれだけの内容を全て2時間の枠に収め切れるものではありません。
原作が素晴らしいだけに、不満が残るのも当然だとは思います。
そもそも人間の想像力を超えた映像を作るのは簡単なことではない
と思っています。
この「散り椿」も、ストレートに言わせていただきますと、原作の方が
より強く心を動かされました。
ここ数年で鑑賞した映画の中にも、それこそ本当に原作を台無しに
したものが2本ありました。
そのうちの1本はこの作品で主演をつとめた岡田さんが出演なさってます。
熱演の俳優さんたちがそれこそ気の毒になるような映画でした。
その作品についてもブログを書いたのですが、あまりに酷くこき下ろした
ので、投稿がためらわれ下書きにおいたままにしてます。
しかしながら、この作品に関して言わせてもらいますと、
実に見事に映像化したものだと、僕は思います。
原作者が伝えたかったところは映画を観た人にも届いたと思います。
爽やかな余韻に浸れる映画でした。
殺陣のシーンなど、かなり陰惨なところもありますが、
ご夫婦そろってご覧になるのもいいのではないかと思います。

岡田准一さん演ずるところの新兵衛、原作では体格の立派な人
として描かれています。
本来なら、助演に回った西島秀俊さんの方が適役だったのかも知れません。
しかしながら、体格差を見事な演技力でカバーして存在感を示した
岡田准一さんは大したもんです。
殺陣に関して言えば、笑い飛ばす方もいらっしゃるようです。
映画は庶民の娯楽ですから、ケレン味も必要でしょうし、実際とかけ離れた
ところがあってもそれはそれでいいんじゃないだろうかと思いました。
繰り返しになりますが、原作の流し読みであの脚本は絶対に書けません。
この素晴らしい小説を映像化した人たちに拍手です。
以上!です。(^_^)