
日曜日にみた「イッテQ」、イモトアヤコさんのアイガー登頂。
掛け値なしに素晴らしいと思います。
イモトさんの人並み外れた身体能力、精神力には改めて驚嘆しました。
バラエティ番組の枠を大きく超えたドキュメンタリーでした。
話が横道へそれますが、僕は新田次郎の小説が大好きです。
「孤高の人」「栄光の岸壁」「劒岳 点の記」「風雪の北鎌尾根」など、実話をもとに
構築された、数々の名作。
フィクションとしては何度読み返しても実に面白い。
※「孤高の人」などラストは涙なしには読めない作品です。
しかし、事実とはかなり乖離しているようなので、頭の整理が必要です。
※「剣岳」→「劒岳 点の記」
9/29 10:30訂正
というわけで、新田次郎の小説にかぶれたものとしては、
アルプス三大北壁、アイガー、マッターホルン、グランドジョラス、なんて
その名前を聞いただけで、ワクワクして来ます。
このイモトさん、一般ルートながら、マッターホルンの登頂はすでに成し遂げています。
今回のアイガー、北壁ではなく、一般ルートなので、大したことはないんだろう、
と勝手にそう思っておりました。
ところがどっこい、とんでもなく険しい岩場の連続でした。
ハイキング程度の経験しかない僕が、過去実際に歩いて一番怖いと思ったのは、
飛騨山脈の西穂高岳から奥穂高岳に向かう岩稜でした。
長時間緊張が続き、かなりの体力を消耗するルートで、ヘロヘロになったことが
今でも忘れられません。
しかし、そんなものは、このアイガーの稜線に比べれば地膨れ程度に過ぎないことを
思い知らされました。
見たところ、難所には頑丈そうなロープがガッチリ固定してありました。
しかもヴェテランガイドのサポート付き。
それがあるから、じゃあ、登ってみろ、と言われても一般人にはムリです。
インストラクターにサポートされたスカイダイビングや、パラグライダーとは
比較にならない高度な世界です。
事前トレーニングとして、剣岳のバリエーションルートを登って
いる光景がありましたが、それ一つとってもかなり大変そうでした。
イモトさん、登攀中に便意を催し、岩陰で用を足したそうです。

こういうところで、行きたくなったらどうするんだろう、といつも思っていました。
下山にはヘリコプターを使ってましたから、本当の意味での山岳登攀して評価されないことは
仕方ありません。
しかし、あれだけの登攀、誰にでも出来るものではありません。
登頂した事実の値打ちが下がるとは思いません。
それにしても、バラエティ番組として随所に笑いも盛り込みながら、これだけ
迫力あるドキュメンタリー映像を作り上げた制作スタッフには頭の下がる思いです。
本当にいいものを見せてもらいました。
竿の先にカメラをぶら提げて同じコースを攀じたカメラマンさんは、最大の功労者で
あろうと思います。
前回中止になった、エベレスト登頂、条件さえ整えば、彼女は何の問題もなく達成する
ことが出来ると思います。
是非とも再挑戦してもらいたいと思ってます。
楽しみで楽しみで仕方がありません。
天賦の身体能力、テレビ局の万全なサポート体制。
どれほどの金額になるのか、想像もつきませんが、その境遇におかれたことも
一つの才能であることは間違いありません。
ただ一つ残念なこと。
イモトさん、本当は、そんなに山が好きではなさそうなところ。
難しい岩場で弱気になりながらも、勇気を奮い起して登攀を続けるなど、
心情的にグッと来る場面もたくさんあります。
しかしながら、山が好きだという感じが伝わって来ません。
アスリート的にクライミングをこなしているところが残念です。
一連の登山映像を見ていつも感じるところです。
(芸人さんが、仕事、としてなさってますから仕方ない・・・^_^; )
彼女が心底山好きになれば、番組はもっと盛り上がると思うのですが・・・。
それはもうムリだろうなあ。
ということで、最後の最後にくさしてしまいましたが、これは僕の勝手な思いです。
イモトさんが、勇気と体力、そして強靭な精神力を持ち合わせた素晴らしい芸人さんで
あるということは微塵も揺るぎません。(チョッと褒めすぎか・・・)
ここまで書いてふと思いました。
日本山岳会創始者の槇有恒さんが、このルートで初登頂を果たしたのは95年前。
この番組を見るまでは、トレッキングコースに毛が生えたくらいの難度だろうと思っていました。
しかしそれは間違っていたことがよくわかりました。
当時の貧弱な装備で、どうやって登頂したんだろうと、新しい興味が湧いて来ました。
以上!です。(^-^)