もう買わない!と幾度誓ったことか…。
でも、また買ってしまったんです。腕時計を。
打ち止め、原点回帰、なんてカッコいいこと言ってから
わずか2か月…。
ウチ嫁ハンに言われました。
「こないにようさん要らんやろ。ムカデやないんやから。」
※こんなにたくさん要らないでしょ。ムカデじゃないんだから。

1962年製造なんだそうです。ジャスト60年…。人間で言えば還暦。
全くの素人なので、これまでヴィンテージものは避けて来ました。
実用にしたいので、1分以上の誤差は困るからです。
日差±2秒、という商品説明に惹かれて買ってみました。
値段も安いので失敗しても諦めがつきます。
出品者さんのプロフィールを拝読しますと、かなり厳しいことが
延々と書いてあります。
要は、礼儀知らずのヤツには売らん、ということのようです。
これだけ言うてはるんやったら商品コメントも信頼できるだろう
と判断しました。
60年も前の品物ですから相応の傷みは覚悟しておりました。
届いた物は、写真から想像していたよりもズッとキレイな腕時計でした。
父親が使い込んだものを譲り受けたと思えば十分許容できるレベルです。
気になる精度は、日差2秒はともかく、1分は切っているようです。
これならもちろん日常使いに全く問題ありません。
それにしても、この古い腕時計、60年の時を巡り巡って
僕のところに来たというのも面白い。
一番最初はどんな人が手にしたんだろうか?
1962年、昭和37年、東京オリンピックの2年前です。
まさに日本の高度経済成長期真っ只中。
入社祝い?
誕生プレゼント?
昇進祝い?
自分へのご褒美?(その頃、そんな言葉はなかったな)
この腕時計を身につけて、嬉しいこと悲しいことたくさんあったでしょう。
彼女とデート、プロポーズ、新婚旅行、父親参観、運動会、
友達の結婚式、親の葬式。
社員旅行、忘年会、新年会。
(勝手にサラリーマンだと想像してます)
雨の日、風の日、雪の日、国鉄のストライキでも、
とにかく出勤した。
あぁ?風邪で休む?甘ったれるな!
上司に怒鳴られ、得意先に責められ、同僚にバカにされ、
犬には吠えられ、それでも歯を食いしばりながら耐え忍んだ。
パワハラ、モラハラ、セクハラだらけの昭和。
泣いたり笑ったり、怒ったり、僻んだり、妬んだり、
悲しいほどに平凡な人の平凡な人生。
そんな人たちの腕に巻かれていた腕時計。
そしてこれまでで、おそらく最も平凡な僕のところに来て、
腕時計としての役割を終えることになりそうです。
僕の息の根が止まるのが先か、この腕時計が止まるのが先か。
しみじみと人生を考えさせてくれる腕時計です。
腕時計はもう買わない。これで打ち止めです。
…ということで、気ぃよう使っていたのですが…。
チョイと残念なことに。
このお話は続くかも知れないし、続かないかも知れません…汗。
以上、です。
Posted at 2022/03/23 14:43:42 | |
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