東北3日目、時刻は午前9時を回ったところ。
本日は遂に旅のメイン、わんこそばに挑戦する日。何気に朝から緊張している。いい塩梅に腹を空かせるため、夕方4時辺りに盛岡に乗り込む予定。
それまでは大館とその隣、北秋田市にてお祭りがあるということなので見学。
友人がこの時期に有給をとったのはそばの他にこの催し物に合わせたとてっきり思っていたのに、全くの偶然だったようだ。このあとに盛岡へ行くと先程の時間にちょうどつくはず。計画は完璧!・・・のはずだった・・・
午前10:45 大館市街
雨なんですよねぇ、今日・・・それも割りと強い。
訪れたのは毎年2月第2土曜と翌日に行われる小正月行事「アメッコ市」。
大館市で1588年(天正16年)から行われる伝統行事で、「この日に飴を食べると風邪を引かなくなる」とこの地方で言い伝えられている。写真のように飴を括り付けたかわいらしいミズキの枝はアメッコ市の縁起物。農家がこれを稲穂の代わりとして神に供えたのが始まりと言われている。
400年続くこの行事も人口減少、後継者不足で年々出店数が減ってきているという。う~ん、時代の流れやな・・・
秋田犬。こっちは向いてくれなかった。大館は「ハチ公」の出身地。
露店のお汁粉屋で餅を搗く若者。友人なんですけどね(笑)
歩いてたら「ほれ!わげぇの!」ってお母さんに呼び止められて。へっぴり!
飴の付いた枝はお土産に購入することもできるし、お祭り期間とその前後は地元スーパーでもバラエティに富んだ飴が並ぶ。
午後00:23 北秋田市「道の駅たかのす」へ移動
次に行くは・・・
北秋田市の行事、「もちっこ市」。アメッコ市同様、枝に餅を飾りつける。餅はここ鷹巣地方の農家の手作り品。

日程が同日なのはアメッコ市に当てているかららしい。冬季の国道7号は交通量が減り、駅の集客がなくなるため、秋田・能代方面の車にアメッコ市の前に寄ってもらおうと商工関係者が始めたのがこの催し。ここで売っている「バター餅」はすごく美味!
お祭り期間、駅周辺道路&駐車場は非常に混雑するので余裕を持って行くのが吉。
午後01:21 北秋田市を出発
飴と餅を買ってすっかりご満悦の我々は一路、岩手県盛岡市へ向かう。待ちに待ったわんこそば。
私 「いよぉ~し!ほんじゃ盛岡に向かっていくぜぇ!」
友人 「うぉ~い!」
すっかりおのぼりさんの一同。しかし、このあと車内の空気が一変する。
それはR4を目指す途中、私が何気にボソッと喋ったひとこと。
私 「わんこそばってヤツはさぁ、予約とかなしで食べれるモンなん?」
友人 「前は大丈夫だった。」
私 「一応、店に電話してみる?」
という流れとなり、友人が店舗に連絡を入れた。すると、表情が険しくなり、どうも様子がおかしいのである。
「ああ、はい・・・ あ・・・そうなんですか・・・ は~い、ありがとうございます・・・」
静かに電話を切る。
「オイ!マズイぞ!3時半で閉店だぞ!」
「えっ!!??」
現在時刻は午後1時20分を回り盛岡まで約140km。カーナビの到着予想時刻は午後4時過ぎと表示されている。
「ん?ん?なんだい?ここまで来て食べらんないのかい?」
車内一同パニック。必死で頭の中を整理。
私 「高速だな?」
友人 「お、おう。そうだな!高速だな」
探索条件を高速優先に変更。パネル操作の指も震えていた気がする。
ナビ 「2時間くらいかかります」
到着は3時10分を指している。高速使用でもなかなか怪しくなってきた。よりによってこの悪天候。もし渋滞や通行止めがあれば間に合わない可能性も十分である。ヤバイヤバイヤバイ・・・
安全運転且つ急ぎ盛岡へ。
午後01:44
(閉店まで1時間46分) 東北自動車道 十和田IC
東北道で岩手方面へ。もうワイパーが思いっきり見切れてもお構いなし!
話を聞くと、営業時間は昼と夜で分かれているとのことだった。もちろん夜でも大丈夫なのだが、この日予約で全て埋まっている模様。でもまだ打開策はある。
午後02:10
(閉店まで1時間20分) 安代JCT通過
実は我々が行くお店には
「本店」以外、市内にあと2店舗存在する。移動中、間に合わなかった場合を考え、別店舗にも問い合わせしてみることにした。
さあ、どうだ!?
「あ~、そうですか・・・ はい、ありがとうございます。すいませ~ん・・・」
友人 「ダメでした・・・」
私 「諦めんな!もう1店舗ある!希望は捨てるな!」
最後の望み、3店舗目へ電話!
さあ、どうだッ!?
「あ・・・ わかりました、はい・・・ 失礼しまぁ~す↓↓」
私 「ダメだったんだね?口調でもうわかったよ・・・」
友人 「よし!本店へ急いでくれ!!」
「よぉ~し!しっかり掴まってろ!飛ばすぜ!(制限速度内で)」
打開策は全滅に終わった。
午後02:37
(閉店まで53分) 滝沢IC通過
今考えたら、もちっこ市に行ってる時間は全然なかったわけだ。いや、誰が悪いとかそういうのはなしにしよう。もっとも言いだしっぺは自分だが。今日に限って全員ゆっくり寝ちゃったし・・・ これは本当の意味で早食いするハメになりそうだ。
午後02:43
(閉店まで47分) 東北自動車道 盛岡IC
神は我々に味方したのか、目的地に近づくに連れ雨は落ち着き、車の流れも速くなった。さっきアメッコでお祈りしたご利益か?
予想より早く市内に入り・・・
午後03:02 岩手県 盛岡市 「そば処 東家」
閉店28分前、到着!間にあった!いやぁ、ホント焦った!
もし間に合わなかった「冷麺かなんか食べてきたとごまかすしかないか・・・」とさえ考えてしまった。事前に周囲の人に言いふらしちゃったので大恥をかくところだったッ!!
急ぎのあまり、外観写真を摂り忘れたので詳しくは
公式HPへ!
さ、気を取り直して参りましょ!
席に着くと早速準備が行われていく。画像にないが、薬味(ねぎ、なめこ等)と口直しに鮪の刺身が出てきた。コースは2種類、杯数を算木(数え棒)で数え、薬味7種の2700円コースとお椀を重ね、薬味9種の3240円のコースがある。我々は迷わず3240円コース。
一式準備が終わり、ここで給仕さんによるルール説明。
①1杯目は薬味を加えずそばのみで食べること
②お椀の中身を食べ切ってから次のそばを食べること
③「食べられない」と思ったら、自分で蓋を閉めること
④一度蓋を閉めたら再度食べることはできない
⑤途中、トイレ等の休憩は一切できない
自分の目標は100杯越え。そんでもって3人中トップになりたい。そう友人に言ったところ、
「俺らに勝つのなら100杯は最低条件だぜ!?俺ら120杯は越えると思うし。んじゃ、こうしよう。100杯食えたらがんばったで賞ってことで飲食代払ってやるよ。」
「言ったな?もしトップだったら?」
「帰りの八戸~苫小牧フェリーのチケット進呈!」
「よぉ~し。ホントだな?」
突然の勝利特典が付けられた。余程の自信があるようだ。
「お椀をお持ちになり、準備してください。では始めます。」
遂に始まったわんこそば。記念すべき1杯目が盛りつけられた。
※途中経過の様子は一切ないので画は皆様のご想像にお任せします。
「カコン、カコン」と小気味良くお椀が重なる音、麺を啜る音、そして給仕さんの掛け声が響く現場。
「はい、じゃんじゃん!」 「はい、まだまだ!」
数杯10杯ほど胃に収め、満腹へはまだまだ先。これは100はいくだろう。さぁ、どんどんいこう!
「たくさんお召し上がりになるコツはリズムよく食べること。そしてお汁が溜まってまいりますのでこまめに捨てることでございます。」
時折、給仕さんからアドバイスが入る。
20杯、30杯、40杯・・・快調に飛ばす3人。リズムが崩れるため、会話一切ナシ!こりゃガチだな向こうは・・・ ただ、1杯の麺の量がたまに多いヤツがたまにくる。口には出さなかったが、全員同じことを思っていただろう。
「クソッ!多いヤツ、向こうに行かなかったか!」
50杯。胃は全然余裕の状態。これと同じ量をもう一回食べれば100杯だ。
60杯。男性平均と並んだ。3人のペースは未だ衰えず。
「おそばばかりだと味に飽きてきしまいますので薬味を加えながら召し上がるのもコツでございます。」
まだ余裕だが、確かにそろそろそばの味には飽きている状態だ。
70杯。まだ大丈夫。そろそろ誰かはペースを落とすかと思ったがなかなかしぶとい。
ここで流れが変わった、80杯。私のペースが少し落ちたのはこの辺り。他2人に若干の差が生まれ始めた。しかし、勝敗は「早さ」でなくあくまで「数」。最終的に多ければそれで勝ちなのだ。焦ることはない。のだが・・・
90杯。ここでガクンとペースダウン。誤解を恐れず言うなら、そばがもう全然美味しくない・・・ ふと見ると向こうは100杯を突破した。ヤバイ・・・
最初の「10杯」と残り100杯までの「10杯」は感覚が全く違く感じた。
「無理をなさらずお召し上がりください。もしリバースされますと、『記録無し』となりますのでご自信の胃袋と相談しながらお召し上がりください。」
まさか、給仕さんの口から
「リバース」なんて横文字が聞けるとは思わなかった(笑)
1杯口に含んでは視線は一点を見つめ、ゆっくり飲み込む。視線を逸らしたら吐きそう。チンタラチンタラ食しているとようやく、
「100杯です」と給仕さん。
手形は確定!あと約束の食事代も!
でも、おかしなもので「まだ大丈夫なんでないか?」と蓋はまだ閉めず・・・
「煩悩の数までいくわ」宣言。
胃が千切れるんじゃないかと何度も頭をよぎりながら箸を進めて、
「もういい、無理!」競技終了。
最終結果
1位 友人(弟) 133杯
2位 友人(兄) 131杯
ビリ 私 111杯
自分が食べた分(左側2列)。
このあと、そば粉を使ったデザートが供される。大概の人は正直いらないと思っているであろう(笑)
証明手形もらった!一時は企画倒れになるところだったが、とりあえず満足!
さぁ、帰りは下道でゆっくりと帰ろ!シートベルトするのがしんどい・・・
東北3県激走!~わんこそばへの道~ 最終夜へつづく