この記事は
わかっているようで実はわかっていない!バネレートとレバー比と固有振動数(等)の記事の一部です。
ここからアクセスされた方がいましたら、上記のリンクから他の項目の方も見ていただけると嬉しいです。
・レバー比
バネレートをイジる上で切っても切れない関係である
レバー比と車体重量。
そのレバー比について今回書いていきます。
まずレバー比とは何か?
簡単に言うと
タイヤ(ホイール及びハブ)が1mm上に動いた時、バネが何ミリ縮むのか?を示したもの。
要は支点力点作用点のそれです。
実車にそれをあてがうと…。

こうなります。
あ、ちなみにレバー比は自分で実物測定しなくても、HKSさんのサイトで見る
ことができますw
例えばアクアなら
ここのセッティングデータのところにあるレバー比を見れば書いてますw
"車種名 HKS 車高調"で調べれば大体でます。
で、このレバー比があると何なのか?何をどう司っているのか?
例えばレバー比1なら10kのバネは10kで動作します。
しかしレバー比2なら10kのバネは
"2.5k"で動作します。
レバー比の倍率は2倍でも、動作するレート(以降動作レート)は1/4倍になります。
このレバー比に惑わされて
腰砕け感を改善するためにバネレートを上げたのに車の動きがふにゃふにゃなのが改善されない!とか
車高を10mm下げるために車高調10mm縮めたのに15mmも下がった!とかそいういことが起きてしまいます。
(よく目にするのはレバー比を加味せず計算し、失敗してしまう例)
で、そのややこしいレバー比を(個人的に)わかりやすく図にしてみました。
レバー比1はタイヤが10mm動いた時に10mm動きます。
対してレバー比1.3はおよそ6mmしか動きません。
またレバー比1.5に関しては4.4mmしか動きません。
アームの付け根はフレームに対して1mmも動かないけど、ナックル側はたくさん動きますよね?
要するにレバー比が大きければ大きいほど、バネ(この場合作用点)は少ししか縮まない。ということ。
しかもさらに厄介なのが
レバー比が上がるに連れ、動作レートも同時に下がってしまうこと。
それもそのはず。
動作レートを出す計算式は
バネレート÷レバー比÷レバー比です。
つまりバネレートを10kから18kに変えたぞ!
といっても
レバー比1ならたしかに8kのレートアップですが、
レバー比1.3は4k程しかレートアップされず、
レバー比1.5に関しては3.6kしかレートアップされていませんからね。
そのため、先に言ったように腰砕け感をなくすためにレートアップしても全然改善されない!ということが起きてしまうんですね。
また、その逆で
車の車高を10mm下げたいから車高調を10mm縮めたら15mm下げっちゃった!
という話。
これもレバー比(この場合レバー比1.5)を加味していなかった結果、予想以上に下がってしまう、ということが起きてしまいます。
しかも、ロアアームを長いものに交換したり、調整式アームで長くしたりすると力点が更に外側=相対的に作用点が内側に入るのでレバー比が変化します!
純正の長さが何ミリで伸ばしたのが何ミリで何%伸びたのか?って感じにレバー比を計算できますし、アームにジャッキをかけ実寸で測るって方法もあります。
もちろん短くしてもそれはそれで変化するので、変更前後でレバー比を測っておくのは手だと思います。
で、これは動作レートの計算のそれとちょっと違くて
下げたい(または上げたい)車高÷レバー比です。
10mm下げたい。
レバー比が1なら10mmショックを縮める。
レバー比が1.3なら7.7mm
レバー比が1.5なら6.7mmとなります。
プリロードに関しても同じです。
ではなぜバネを変更する際、2回レバー比で割るのか?
これが車高調をイジるうえで一番の難所だと思っています。
この2回で割る(もしくは2乗して割るという動作を忘れると思った通りの足にはなりません!
それが何故かを簡単に書くと
レバー比1なら10mm縮めても正直にショックが10mm縮みますが
レバー比1.3は13mm縮めてようやくショックが10mm縮むんです。
レバー比1.5は15mm縮めて10mm縮む。
以前
スプリングに付いて書きましたが、
基本バネレートは
kg/mmで表示します。
例えば10kのバネがあったとして
レバー比1だと10kの力でバネが1mm、ハブが1mm動きますよね。
しかしレバー比1.3だと7.7k力でバネが1mm ハブが1.3mm動く(縮む)。
それで、基準はバネの縮量ではなく、ハブの動作(縮み)量なわけです。
なのでこの場合バネレート表記が
7.7kg/1.3mmという不思議なことになってしまいます。
その単位をすべて
kg/mmに直したいのでもう一度割ってkg/mmにしています。
ということは10/1.3/1.3 or 7.7k/1.3で5.9kとなりますね。
するとレバー比1.3は5.9kの力でバネ0.77mm、ハブ1mm動作します。
レバー比1.5も同じ。
バネは6.7kの力で1mm縮むけどハブは1.5mm動く。
4.4kでバネが0.67mm ハブは1mm動く。
っていう説明でわかるかな…?わかりにくかったらごめん。
・レバー比を加味したバネレートと車高調整
今までの説明の応用編です。
今の車の仕様がF:10k R:18kだったとする。
これをF:16k R:14kにし、更に車高を15mm落とすとき、ショックを何ミリ調整すればいいか?
車重はF:600kg R:400kg レバー比はF:1 R1.5とする。
まずここで必要になってくるのがスプリングの縮み量の計算。
以前私が書いた
記事も使用しバネが何ミリ縮むのかを計算します。
まずはフロント。
車重600kg ということは、
フロントのバネ1本にかかる重量は300kgです。
またフロントのレバー比は1なので
バネレート/レバー比/レバー比=実行レート
10k/1/1=10kです。
これに300kgの重量がかかるため、
荷重/実行レート=縮み量
300kg/10k=30mm
バネは30mm縮みます。
これを16kのバネでも同じ様に計算
16k/1/1=16k
300kg/16k=18.75mm
10k仕様の縮み量-16k仕様の縮み量=車高変化量
30mm-18.75mm=11.25mm
車高変化量/レバー比=ショック調整量
11.25/1=11.25mm
フロントは16kのバネに交換し、11.25mmショックを縮めると10kのバネのときと
同じ車高になる。
更にここから15mm車高を落としたいので
車高調整量/レバー比=ショック調整量
15/1=15mm
車高変化量+車高調整量=最終ショック調整量
11.25+15=26.25mm
フロントは26.25mmショックを短くすれば16kのバネにして車高を15mm下げれます。
続いてリア。
車重は400kgだからバネ1本に掛かる重量は200kg。
バネ18kでレバー比1.5なので
18/1.5/1.5=8k
実行レート8k
200kg/8k=25mm
バネ縮み量25mm
これを14kに交換
14/1.5/1.5=6.2
実行レート6.2k
200kg/6.2k=32mm
バネ縮み量32mm
25mm-32mm=-7mm
車高変化量-7mm
-7/1.5=-4.7mm
ショック調整量-4.7mm
18kのときと同じ車高にするにはショックを4.7mm上げなければいけません。
15mm落としたいので
15/1.5=10mm
-4.7+10=5.3mm
リアは5.3mmショックを短くすれば14kのバネにして車高を15mm下げれます。
とまぁこんな感じに計算することができます。
今後の話になりますが、
固有振動数を求めるのにレバー比及び実行レートはかなり重要なワードになるのでぜひ覚えてください!w
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Posted at
2024/06/14 07:13:23