この記事は
わかっているようで実はわかっていない!バネレートとレバー比と固有振動数(等)の記事の一部です。
ここからアクセスされた方がいましたら、上記のリンクから他の項目の方も見ていただけると嬉しいです。
・固有振動数
名前だけ聞いたことある方もいるかも知れません。
固有振動数について簡単に説明すると車重やレバー比に対しての
バネの硬さのレベルみたいな感じのものです。
例えば同じ10kのバネでも1.4のレバー比があればその実レートは約半分の5.1kしかありません。
また、実レートを10kに合わせたとしてもそれに掛かる荷重が500kgだと50mm縮むのに対し、200kgしかなければ20mmしか縮まない。
そうなってくると結局のところバネレートって車種によって不確かなものになってしまいます。
なのでその重量、レバー比などを加味したものが固有振動数になります。
ちなみに固有振動数の単位はHzです。
Hzとは1秒間に何回振動するかの単位。そうです。バネも振動するんです。
電気やオーディオ触ったことある人ならわかると思いますが、RLC回路。あれの延長線と思えばイメージしやすいかも?
車を走らせていると何処かからか聞こえてくる「バリバリ」「ビリビリ」としたビビリ音。
平坦な道を走っている時は聞こえないけど、ちょっとした段差(道路のつなぎ目等)で聞こえてくる。
少し大きな段差(マンホール等)で大きな音がする。
でも大きな段差(縁石等)では全く音がしない。
これは部品同士が擦れたり叩かれたりして音がなっていますが、それらの振動数が一致した(要するに共振した)時に一番大きい音がなります。
逆にそれ以外のときは小さな音だったり無音だったりします。
バネも一緒!
ちょっとした轍で車が妙に上下する感じがする…。でも速度を上下させると何故かその症状が消える!
これがバネの共振点。いわゆる固有振動数です!(※厳密には違うケド)
要するにその振動の波長とバネの固有振動数がリンクして共振してるってこと。
とまぁ、長々と話がそれました。
で、その固有振動数って何に使うのかと言うとバネレートを合わせる時に使用します!
というのも、実車は前後で重量やレバー比などが違いますよね。
前に書いた通り同じバネレートでも重量とレバー比によってバネの縮み量は違います。
なのでそれの"基準"として固有振動数で合わせます。
あ、先に言っておくけど固有振動数がすべてじゃなく、あくまで"基準"です。
じゃあその固有振動数の計算式はというと
√(バネNm/バネ上重量kg)/2π=固有振動数Hz
でここでネックになるのがNmという単位。
基本的に日本だとニュートンではなくグラムを使用するためそれを変換します。
ニュートンをキログラムに変換するには9.8を掛けてグラムにしてそれに1000を更に掛けキログラムにします。
ので!
√(バネkgx9.8x1000/バネ上重量)/2π=固有振動数Hz
って式になります!
・固有振動数の求め方
計算する上で必要なのは
重量、バネレート、レバー比です。
この辺は今まで計算してきたと思うので、
プリロードの時に計算した
フロント 10k レバー比1.2 プリ0mm ショック有効ストローク90mm 800kg
リア 12k レバー比1.4 プリ10mm ショック有効ストローク80mm 400kg
を使用します。
前の計算からフロントは実行レート6.9k リアは実行レート6.1kというのがわかっています。
これをさっきの計算式に当てはめる。
√(バネkgx9.8x1000/バネ上重量)/2π=固有振動数Hz
√(6.9kgx9.8x1000/400kg)/2π=2.07Hz
固有振動数2.07Hz(誤差レベルですが、実バネレート3桁四捨五入してるので正確には?2.08Hzになります)
√(6.1kgx9.8x1000/200kg)/2π=2.75Hz
固有振動数2.75Hz(前略2.76Hz)
固有振動数はフロント2.07Hz リア2.75Hzとなります。リアのほうが乗り心地が硬い!
こんな感じに計算すると面白いのは、たった2キロしかバネレートが変わらない、何なら実行レートはフロントの方が0.8k硬いのに、固有振動数としてみると0.7Hzも違うということ。
こう考えるとバネレートってなんの足しにもならねーっす。
ついでに?例の問題のバネ変更後の
フロント16k+8k(合成レート5.3k)
リア 20k+3k(合成レート2.6k) でも計算してみましょう!
フロント
密着前(5.3k)
√(3.7kgx9.8x1000/400kg)/2π=1.51Hz
固有振動数1.51Hz
密着後(16k)
√(11.1kgx9.8x1000/400kg)/2π=2.62Hz
固有振動数2.62Hz
リア
密着前(2.6k)
√(1.3kgx9.8x1000/200kg)/2π=1.27Hz
固有振動数1.27Hz
密着後(20k)
√(10.2kgx9.8x1000/200kg)/2π=3.56Hz
固有振動数3.56Hz
マジでバネレートってなんの当てにもならないでしょ?
番外編
フロント2.07Hzに合わせたときのリアバネレート
ここで計算式の一つでも出せばかっこいいんでしょうが…。
そういうのぼくわかんない!って感じなのでなんかそれっぽいレートをテキトーに代入。
で、
7キロっす!(2.11Hz)
リア2.75Hzに合わせると18k(2.79Hz)
あ、ここまで引っ張っておいてアレですが、エクセルってすごく便利なんですよ。
何が便利かって関数つかえるんですよ。知ってました?

随分前のブログ用の写真だけどこんな感じ。
んで、それを今時風に改良したのがこれ。
こだわりポイント1
重量、バネレート、レバー比を入力するだけで
実行バネレート、固有振動数、バネの縮み量が見れる。
シングルレートの人は大体ここだけ入力すればok
ここからプリロード何ミリ掛けるかな~とか考えれます。
こだわりポイント2
ツインスプリング対応
サブスプリングのレート、密着長、全長を入力すると
密着荷重、(密着長を無視したときの)サブ縮み量、密着までの残りの重量が見れる。
ツインレートにする人向けだけどメイン+サブの情報入力するだけ。
あと何ミリで密着するかなぁ~とかめっちゃ需要なさそうな情報も見れます。
個々計算式自体需要あるかわかりませんがGoogleドライブにアップロードしておきます。
気になる人は
こちらからダウンロードしてください。
※Excelの二次配布禁止です。
結構長くなっちゃったのでそのにへ続きます。
そこで
固有振動数の活用方法について書いていきます。