• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2020年05月24日

DENON DP-3000とDP-80の記憶

昭和52年4月。ココは東京都下連雀の日本コロムビア株式会社三鷹工場。

川崎工場に比べるとこじんまりとした町工場の姿ですが、日本コロムビアに吸収合併される前は放送業務用機器を開発製造する日本電音機製作所という企業だったのです。
ココはデンオンの放送業務用回転機器とカートリッジの工場です。

当日は第二設計部長の新谷さんが翌年発売のダイレクトドライブ式レコードターンテーブルDP-80を紹介している

リスニングルームに設置したレコードプレーヤーのターンテーブルがスピーカーから放射される音圧で共振する事を防止すると言うコンセプトで設計の新開発二重構造ターンテーブルが特徴

二枚の金属盤の間を弾性樹脂で挟み、板バネで支えて共振を抑えているので結構な重量のターンテーブルになってしまった。

コギング回転ムラが生じないデンオン独自のACサーボモーターだからDCモーターのコギングを滑らかにする為に重量級ターンテーブルは不要だったが一部マニアからデンオンはトルクが弱いと言われていた。

DP-80では共振防止の重量級二重構造ターンテーブルになった為に、新たに開発したアウトローター式とする事で強大なトルクを発揮して重量級の二重構造ターンテーブルを即座に起動する

このモーターには参った
コレは大学入学の記念として購入したデンオンのフォノモーターDP3000

永年に渡ってNHK日本放送協会のスタジオ従業員と使い易い形状とかを話し合って放送業務用機器の耐久性を考えるとターンテーブルのクイックスタート性が重要なので重量級ターンテーブルはあり得ない。軸受けがすり減ったりシャフトのすり漕ぎ現象が出るので重量級ターンテーブルの業務機は使わないと言われてもいた。

放送業務で行なっている「ポン出し」は一般のオーディオマニアは行わないが当時の三鷹工場の製品は放送局員の意見を重視していたので起動性に優れる軽量ターンテーブルを搭載していた。

コレがデンオンの特徴のACモーター
交流電流を120度の位相で三相に巻かれたコイルに流す事によって滑らかな回転でステーターが回る。

モーターはインナーローター式なので回転トルク特性は弱かった。

ターンテーブルは薄く軽量なのが特徴

しかしレコードプレーヤーの上で手を叩くと 「キーン!」と共鳴する。
DP3000はクォーツロック式回転制御ではないのでストロボが流れる。
さらに調べてみると回転制御は減速方向では加速するけれども、増速時にオーバーシュートした場合には減速しない「片方向サーボ」だった。

そこでデンオンからクォーツロック式のDP6000と言う新製品が発売されたのでグレードアップを検討したのだが

取付けられなかった
取付穴の形状が違う
DP3000用のキャビネットは秋葉原のテレオン第四店の松本店長に頼んでSME3009SⅡとFR54のダブルアームキャビネットを作った。

(借り物写真で小判形穴で無いご容赦)




その後、生録会を通じ知合いになった東京三鷹のLabo-Jと言うオーディオショップでDP3000を収納するキャビネットを特注してました。
今回は三本アームでトーンアーム取付部には丸型の砲金を使った豪華仕様。
ダストカバーはスピーカーからの音響フィードバックを考慮して6mm厚のアクリルで製作してもらった。

コレも借り物写真なのでご容赦下さい
メインはオイルダンプ式でパイプを交換出来るオーディオクラフト社のコレ


セカンドアームはナイフエッジのコレ

サードアームはSME3009SⅡ

対抗モデルは松下テクニクスのSP10




DCサーボモーターなのでコギングが生じるけれど多数のコイルを配しつつカックンカックン廻るDCサーボモーターの回転ムラを平滑する為に重量級ターンテーブルを回すために高トルクモーターを装備した。

ターンテーブルが非常に重いので停止する時にはバンドブレーキで停める。

DCサーボモーターによって強大な回転トルクを有するSP10に対抗するが、原理的に滑らかな回転が得られるACサーボモーターのDP80とは高回転トルク特性を持たせた理由が違う。

ACモーターでありながらアウトローター駆動による高回転トルクが話題になったが、SP10の場合の高トルク特性とDP80の場合の高トルク特性の目的は全く異なることを一般のオーディオマニアは知らない。
(この数年後営業マンになってお茶の水のオーディオユニオンを訪問した時に二重構造ターンテーブルの機能を殺して展示されていたので、「メーカーの設計思想と異なるのでそう言う改造みたいな事はやめてくれませんか?」と言ったらば、「こう言う風にした方が音が良くなるからこう言う風にした」と言うので店員と揉めた。)


さて話は戻り昭和52年4月の新入社員オリエンテーションで設計部長の新谷さんのDP80の商品説明が終わった。

「何か質問はありますか?」と言われたので、すかさず挙手!

「DP3000を使ってるんですけど、

DP80の取付穴を同じ形にしてくれませんか?

クォーツロックのDP 6000を取付けようとしたけど形状が違うのでキャビネットを作り直さないといけない。

大ヒットしたDP 3000をDP80にグレードアップする人が多い筈です。」って直訴した。





翌年発売されたけど

取付穴はDP3000と同じ

入社翌年にはデンオン製のTS3という重量のあるブチルゴム製のターンテーブルシートも発売された。


後にDP80を設計した荒木さんからグッドアイデアだったよ!と言われた。


おっと、このデンオン三鷹工場の荒木さんは後に工場が福島県白河市に転居する時に吉祥寺のTEACに転籍してあの有名なVRDSメカを作った人なのです。
ブログ一覧
Posted at 2023/11/13 11:21:11

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

関連記事

続・リニアモータアナログプレーヤー
mlj72さん

2023.11.3.お酒、その36。
BL5Aのとーさんさん

THS II の仕組みと計算方法( ...
ベルメーゼさん

大阪モーターショー 2023【マツ ...
avot-kunさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「今日は暑いので、コレを食べに来た http://cvw.jp/b/2252957/47728487/
何シテル?   05/18 21:56
てっちゃんフェラーリ458は2011年7月納車で2021年1月に走行距離36万キロで1番シリンダーのバルブガイドが折れて3.9LのV型7気筒になっちゃった。 ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/6 >>

       1
2 3 45 6 78
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      

リンク・クリップ

2024年6月2日伊勢崎オートモーティブフェスタに出展します。 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/05/26 13:35:59
車検で1ヶ月入院 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/05/20 19:33:47
フェラーリのベタベタ汚れを自分で除去して再塗装してみました。 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/04/18 23:26:11

愛車一覧

フェラーリ 458イタリア 36万km走った世界最過走行 458 (フェラーリ 458イタリア)
車体はフェラーリ定番ロッソコルサです。2011年の1月にスポーツカー作りが趣味の私は憧れ ...
BMW 5シリーズ セダン BMW 5シリーズ セダン
458のエンジンが壊れたので生活の脚として購入した。 今迄458を修理した時はレンタカー ...

過去のブログ

2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2001年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2000年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation