世界初の実用PCMデジタル録音機DN023R

世界初実用PCM録音機デジタルデバイスは
ANALOG DEVICESのADコンバータの歴史
PCM録音機のADコンバータは13:10頃から
A/D D/A変換回路はアナログデバイセズ社製12bitモジュールに1bit追加し13bitとした

この12bitADコンバーターはレーダーを構築するために製造されていた部品でした。レーダーのアンテナが捉えたアナログ信号である電波を、コンピュータが計算できるデジタル符号に変換するための回路部品でした。いわば軍事用部品を音楽を録音するために応用したわけです。

バブル期を迎えて家庭で5.1chの立体音響でハリウッド映画を楽しむためのAVアンプの巨大市場が見え隠れしてきた。1988年からマルチチャンネルAVアンプを発売していたが1990年に
AVC2020と言うモデルを企画発売した。

アナログデバイセズ社の関係会社のPMI社が開発のDolbyデコーダーICプロモーションを手伝った。当時は日米半導体協定で米国製半導体を購入せよ!と言う雰囲気だった。
日本コロムビア赤坂本社でPMI社のDolbyデコーダ搭載AVアンプのプレスリリース業界発表会をPMI社メンバーを呼んで開催した。
SSM 2125と言うICの記者会見だったのだが「サブミクロン値は何μmですか?」と言う頓珍漢な質問が出た。(笑)
前モデルでは貿易部の意見を聞いてリニアトラッキングメカを使っていたけど、メカにコストを掛けてもあまりユーザーアピールしないので商品のコンセプトを大変更した。

RFアンプ内蔵ピックアップをギアドライブ化しつつ、アナログデバイセズのAD1862Nを使って、それまで半固定ボリュームを調整していたゼロクロス歪み対策回路を無調整化してコストダウンした。
デジタルバイアスを掛けてゼロクロスを回避する仕組みはLAMBDA-SLC(ラダーフォームマルチプルバイアスDA−スーパーリニアコンバーター)と言う名前を考えた。
コストダウンする一方、外観にお金を掛けた。
豪華な側板を付けてでトラップドアにしてカセットデッキとDATもシリーズデザインにした。
特に水平ローディング式のカセットデッキは大ヒットして社長賞を貰った。
だけど側板の色が気に食わなかった。

『水平ローディング式メカにしてDCD-
1650とデザインを合わせれば絶対大ヒットするよ。』とカセットデッキ設計主任の一戸さんを焚き付けたら翌年1991年6月にDRS-810Gが追加発売された。
本当に大ヒット以上の大成功したのを思い出したので当時の経緯を別途書こうと思います。

当時の営業課長がウンコ色の側板にしたので、1992年モデルはレコードプレーヤーと同色の側板に変更しつつDAC
-ICは選別品を採用。

アナログデバイセズAD1862Nの選別Zバージョンを使ったら大ヒットした
基本設計は変更せずに側板の色変更とDAC-ICを選別品にして音質改善の工夫をしただけの省エネ設計開発モデルで社内は大喜び。

当時開発中のハイエンドモデルのDA-S1 DP-S1やDCD-S1にもAD1862Nを使おうと思ったけれど、ある日突然アナログデバイセズ社は民生用ICをやめると言い出した。
大ヒットモデルを設計し直さなきゃならないと白河設計部の幹部はカンカンに怒ってた。
商品企画の私はアナデバに代わる20bitDAC ICを求めてバーブラウン(現在はTI傘下)の河合さんに相談。
開発中のPCM-1702を採用する事にした。PCM-1702はDENONとSTAXが早かった。

商品企画部からマルチメディア部に移籍。
当時は後にDVDとなる直前の年代で、この部署はPCMレコードを実用化した穴澤健明さんが率いて超並列コンピューターを用いた動画圧縮装置を開発してた。
私はデモ用映画コンテンツの入手を担当してハリウッドのパラマウント映画社やルーカスフィルムとコンタクトしていた。
この部門の日々の稼ぎは通信カラオケ歌唱コンテンツ制作で賄っていた。コレはセガ社向けの通信カラオケだけど背景動画像はコロムビアの業務用機器部門が製作していたCDチェンジャーメカに収録されている。

ある日上司の穴澤さんから相談された
アナログデバイセズ社製の浮動小数点32bitの DSPを安く納入させるにはどうすればいいか何かアイデアがあれば提案して欲しい、と。
当時一個二万円もするので採用させられないんだとか。
ちなみにSHARCと言うのはSuper Harvard ARChitecture スーパー ハーバード アーキテクチャ コンピュータの略で、このDSPは1991年にアナログ デバイセズ社が発表したSHARCの第一世代。
データバス プログラムバスと言った複数のバスを設けて命令フェチやデータのロードストアを同時に行うことでコアの処理能力を上げると言うアーキテクチャです。SHARCでは更に命令バスとデータバスの区別を無くす事でより柔軟なプログラミングが可能となりコアの能力を最大限に発揮出来るようにした・・・とさっぱりわからない。

AVアンプのDolbyデコーダーに使えば大量に購入することになるので値段が安くなる。
でも白河の設計部が・・・

って言ってたから、アナデバの幹部が詫びを入れないとダメだと思います。
それからもうひとつ問題があります。
現在川崎研究部の森岡君がモトローラの24bitDSPでDolbyデコーダを開発してる。
だからアナデバの浮動小数点32bitDSPの方が高音質低ノイズと言う事を認めさせなければなりません。
比較試聴させて納得させなきゃならないです

アナデバの開発エンジニアがやって来た
川崎工場の研究部視聴室でDSP対決試聴会
モトローラvsアナログデバイセズの一騎討ち

アナログデバイセズに引率されたインド人が3名川崎工場にやって来た。
アナデバのDSP開発拠点はインドムンバイだそうです。
そこで使ってるAVシステムはどんなモデルなんですか?と尋ねたら衝撃的な答えが・・
「音は聴いてません。」
「全て計算でやってます。」
今でこそIT業界のインドパワーは有名ですけど1994年頃はとても珍しかったですね。
世界地図を見ると分かるけど、インドで開発したプログラムを日本に送信してアンプに実装してその結果を米国のボストンに報告するという世界が眠らない状況で開発する体制が興味深かったです。

結果、アナログデバイセズのSharcDSP圧勝
スーパーハーバードアーキテクチャ

各チャンネルのセパレーションとノイズの低さ
圧倒的立体感と歪みの無さと超低音の迫力!
やっぱり、浮動小数点フローティングポイント32bitDSPの威力なのか?

お昼ごはんを食べて貰うことになったけれど、インドの人達は宗教上の問題で工場社食を食べられない為川崎競馬場に連れて行った。

カレーライスを食べて貰いました(笑)

ごはんを食べながらオーディオ用のDSPを売り込むならばどこに行けば良いか?教えてあげました。
DolbyデコーダーならばYAMAHA製のDSPユーザーじゃないメーカーに行くべきですと。例えば品川方面とか。なんとか丸って言うホームページをやってる人に売り込むといいと思いますとか、それからピュアオーディオのメーカーにチャンネルデバイダー用DSPとして横浜の緑区のメーカーに行くと良いですと言っておきました。
アナログデバイセズ幹部がコロムビア本社を訪問した。コーディネートしたのは私。白河設計部の幹部も顔を立てて貰って満足してた。

■ ドルビーデジタルAC-3の高音質に合わせ、新開発のDSPを搭載。
ステレオサウンド誌にアナログデバイセズ社の見開き広告が掲載されたよね?

右側ページはデンオン のAVP-A1でした。
左側ページはソニーのDA9000ESだっけ?
アナデバの人が雑誌が出てからソニーの人達に呼び出しを喰らったそうですけど大変でしたね。何故デンオン が出てるんだ?って詰問されたそうですね。

システムの能力を最大限に引き出す自動音場補正機能を装備。高精度化したフルデジタル32ビットS-Master PROを搭載したマルチチャンネルアンプ
専門誌に広告を出すとイイですよって言ったのは私だけど、ピュアオーディオ誌のステレオサウンドに出稿するとは思いませんでした。