新型エクストレイル試乗

　タイトルの通り、試乗してきました。


　なぜなら、私のエクストレイル定期点検の待ち時間が暇すぎるので！(笑)

　まずは外観を舐めまわすように……と言いたいところですが、ぶっちゃけ全く興味がないのでテキトーに眺めてみます。
　フロントフェイスはインパクトがありますね。インパクトはあるけどそれはエクストレイルとして見ているからで、最近のクルマのデザインとしては当たり前というか定番というか。

　続いてリア。こちらはT32のデザインを残していますね。で、見ての通りe-POWERです。さらに言えばe-4OECEという4WDシステムを採用しています。
　e-4OECEの売りのひとつにある「止まるときに前のめりにならない」とありますが、普通に前のめりになりました(笑)。これについては過度な期待はしない方が良いでしょう。

　前席です。
……。

　なんですか、これ。
　もう「遊びに行こうぜ！」というクルマではなくなってしまいました。四駆でガンガン遊べるクルマ……それがエクストレイルだったはずなのにT32で方向性があやふやになったと思ったら、このたびの新型で”ただの”高級車に成り下がってしまいました。

　後席足元です。前席センターコンソールの背面にはUSB端子が口を開けています。スノーブーツに雪が付いたまま大胆にドカッと乗れるクルマ……それがエクストレイルだったはず。ぜひとも、雪がこんもり引っ付いたブーツでUSB端子を突っついてみたいものですね。

　エクストレイルを名乗るなら、せめて防水対策くらいしておけよ！　カバーくらい付けられるだろ！

　これは、面白かったですね。HUD（ヘッドアップディスプレイ）です。ただ、面白いだけですね。
　HUDには元々興味があったのですが、実際使ってみると……

　鬱陶しい(笑)。付け加えて説明すると、逆光でも見えるくらい明るい表示なので目が疲れます。もしかしたら、明るさは調整できるのかもしれませんね。
　因みにこちらは標準装備ではなくオプションだそうです。

　たっぷり乗ってみた感想はというと……

　すごいクルマです！

　ただ、X-TRAILの名前は似合いません。サクラと同じように新車種で売り出しても良かったような。
　コンセプトとしては「免許取り立ての若者から、免許返納直前のお年寄りまで、誰もが安全に悪路でも雪道でも走れる高級車」といったところでしょうか。

　高級一眼レフカメラを持っているのに、絞りもシャッター速度も全部カメラ任せのAUTOモードしか使わないような印象でした。
　つまり何が言いたいかと言うと、全部クルマがクルマの思うようにやってくれるので、ドライバーはクルマに任せておけばいい。逆に言うと、ドライバーの意思では何一つ操ることができない。そんなクルマです。

　良くも悪くもですね。
　たとえば、ムラーノのような高級感を演出するクルマからの乗り換えはとても有意義だと思います。
　しかし、T31からの乗り換えとなると、おそらくT31オーナーさんは遊び心を持っていると思うのでお勧めはできない感じです。
　そういった意味では、間にT32というちょっと方向性を見失いかけたモデルを作ったのはメーカーの戦略としては正解かもしれません。T32で高級志向の顧客にターゲットをシフトしておいて、T33へ導入しやすくするといったところでしょう。

　今回ご一緒してくださった営業さんから聞いた話では、この試乗車は最上級グレードで乗り出し価格は約550万円。安いグレードとの価格差は約60万円程。
　おそらくe-POWER、e-4ORCEが金食い虫なのでしょう。それだけで値が上がってしまうと売れない。であればいっそのこと高級車にしてしまおう。そんな考えが見え隠れしています。

　果たして、新型エクストレイルを見に来られたお客様達は、このクルマに550万円の価値を見出せるでしょうか。

　私は「このクルマいかがですか（欲しいと思いますか）？」と聞かれて、迷わず即答しました「いりません！こんなクルマ（高級車）」と(笑)。