
毎年2月の初めに長野県は乗鞍高原にある善五郎の滝の氷瀑撮影に出かけています。しかし情報を調べると、今期は寒気の訪れが早まったのか、昨年末あたりから凍り具合がモリモリと進んできました。
これは逃したらいかん! と、不安になってしまい、まだおよそ1か月も早いタイミングですが状況確認を兼ねて撮影に出ることにしました。

早速ですが、本日のお宿です(笑)。夕方に出発したので、途中のPAで仮眠します。

そして、再び運転を再開し、まだ暗いうちに伊那ICを降ります。
善五郎の滝に行く前にもうひと滝行くところがあるのですが、善五郎の滝よりも直線距離にしておよそ30km南に位置しています。こちらは危険が伴うので滝名は伏せさせて頂きます。仮に滝Aとでも表記しておきます。

目的地の滝Aの手前に、もう一つ滝があるのですが……この暗さでは見えませんね。人工物だらけの滝のため、特に興味はないのでこのまま通過します。

そして滝Aに到着。こちらは駐車スペースから200メートルほど山を登ります。

荷物や装備を準備している間にすっかり夜が明けました。いよいよ出発です。

序盤はこんな感じに雪が積もった階段を上り、その後は山道になります。

距離は大したことはないのですが、ザックを背負ったうえドールバッグを持っているので高低差がこたえます。
ほどなくして、滝前に到着。うっすら予感はしていましたが、まだまだ凍っていない状態です。完全結氷近くなると、滝直下の参画に積もったお山が上の氷柱群まで伸びます。

そして、私がこの滝を気に入っている理由がこれです。氷瀑を裏から見ることができる裏見の滝なのです。
外と裏の行き来は祠(?)のような場所を通りぬけて行くことができますが、それでも撮影中にいつ氷柱が落ちてくるか分からないので、ヘルメットがあると安心です。

ここは昨年撮影したポイント。比較的平坦なのでドール撮影に向いているのですが、今期はまだ氷柱が少なすぎます。

定番の撮影ポイントです。なぜ定番かといういと、全体を見渡せるのは勿論ですが、この写っているエリアは全て急斜面なのでアイゼンがないとこれ以上は進めないのです。というか、駐車場から滝前までの道のりもアイゼンがないと危険です。
状況はというと、まず氷柱が細いです。そして、もう一本同様な氷柱ができるはずなのですが、そちらは全くできていません。全てがしっかり完成するとパルテノン神殿のような美しい姿になります。

未明に現着して、早朝からの撮影。さすがにこの時間では訪れる人は一人もいません。
貸し切り状態なので大胆に空間を使って撮影開始。何よりも一番撮りたかったシーンを最初に撮影しておきます。このシーンは自宅にて何度も予行練習や実験をしてきました。

まずドールの支えは
Dolls - 足元の自由を求めて 3回目で作成したピックアップマグネット式スタンドを大型三脚のエレベータ下端に取り付けたものを使用しています。
順を追って説明すると……

まずは大型三脚。こちらは石突をスパイクに可変できるタイプで、氷上での安定性は格別です。

そして、エレベータ下端の雲台取付ネジにアンブレラホルダーを接続。アンブレラホルダーにはピックアップマグネットを差し込んでいます。
今回のモデルを務めるシャルロッテさん(SDシャルロッテ)の衣装の下には鉄製ワッシャーが仕込んであり、ピックアップマグネットがそれを捕らえます。

しかし、それだけでこの凹凸あり傾斜ありの氷上でドールが安定するでしょうか……。しかもシャルロッテさん、何気にサラっと片足立ちをキメています(笑)。
答えは「No!」。そのために家で練習や実験をしてきたのです。
まず、この片足立ちのポーズ自体はピックアップマグネット式スタンドを使えば、氷上でなければ問題なくできます。
そう、足元さえ滑らなければ……。
問題は氷。そこで、冷凍庫から氷を取り出して、これなら滑らないのではと思ったものをいろいろ擦り付けて実験してみたのです。
そして、辿り着いたものがこちら。

お分かりになったでしょうか……。
それは布やすりです! 番手は80番。その姿は、言ってみれば「布に砂を塗りつけたようなもの」です(笑)。
冷凍庫から取り出した氷とこの布やすりを擦り合わせると、しっかりとグリップしていて全く滑りません。因みに番手の高い(粒子の細かい)サンドペーパーでは期待する効果は出ませんでした。
よく、坂道などに滑り止め用の砂袋が設置してありますよね。つまりそこなんです!
実験で上手くいっただけではなく、ちゃんと理にかなっているわけです。
靴の裏にマスキングテープを輪っかにして布やすりを貼り付けただけですが、たったこれだけのことで不安定な氷上で見事な安定性を実現しました。この成功はとても嬉しくて特許を取りたいくらいです(笑)。
さて、話は撮影に戻ります。

滝到着時にも説明した通り、氷瀑はまだまだ未完成な状態で、外では水が普通に流れ落ちています。
勿論、その飛沫はこの滝裏空間にも入ってくるわけで、気がつけば髪はバリッバリに凍っていました(^^;

それでもむしろ良い感じに髪が固まってくれたので撮影を続行します。このスタンドと布やすりの組み合わせは、ホント最高です。セッティングに掛ける時間が殆どありません。スタンド置く、シャルロッテさんポーズ取る、ドッキングする、完成。

このシーンでは氷柱のカーテン越しの光を表現したいので、ディフューザーを使わずに氷柱の反対側からストロボを当てています。

こちは氷柱の間から空を見上げるシーン。

足元の氷は緩やかな傾斜と階段状の造形で、やはりノーマルな靴底では立つことは困難ですが、布やすりを貼り付けた靴底ではしっかりとグリップしています。

最後は最上部の撮影ポイント。唯一水平で平坦な場所です。
前回の撮影時では丁度良い塩梅に砕けた氷柱が転がっていたのですが、今回は何もなくただただ平坦なだけだったので、周囲に落ちている氷柱を集めてきてシャルロッテさんの周囲に配置してみました。

外はすっかり陽が昇って、冬の朝の眩しい光が谷へ差し込んできていました。気温が上昇すると氷柱が溶けて落ちてくるので危険です。
撮影の後半からはドカン! ガシャン! と氷柱が落ちてくる音がしていました。

撮りたい写真は撮れたので、危険度が増す前に撤収です。

来た道をどんどん下りて行きます。

撤収完了。滞在時間は3時間10分。その間、誰一人として訪れる人はいませんでした。こんなに長い間、貸し切り状態でドール撮影を満喫できたのは初めてです。

まだ時間は早いのですが、この日の予定は消化したので観光案内所に立ち寄ってダムカードを頂きました。

現在、牧尾ダムカードと合わせて愛知用水の通水60周年記念カードも頂けました! 後者のほうが期間限定な上に無くなり次第配布終了なので頂くことが出来て良かったです。

せっかくなのでカードだけではなくダムも見ておきます。
夏になると緑が生い茂って、アースダムではないかと勘違いしそうな独特の景観です。クレストにはラジアルゲートが4門。導流部には薄っすらと雪が積もり、減勢工の水は凍っていました。
先程の観光案内所で、近くで温かくて美味しいものを食べられるお店がないか尋ねたら「すんき」という漬物が名物らしく、それを使ったすんき蕎麦を提供しているお店を教えて頂きました。

というわけで、早速行ってみました。が、準備中の看板が……。時間的にはオープンしているはずなのですが、本日休店なのでしょうか。
ここで待っていても仕方ないので、次のお店を目指すことにします。

ここは教えて頂いたのではないのですが「すんき」の幟旗が立っていたので立ち寄りました。が、本日貸し切り……。
残念ですが、これは待っていても意味がないので次のお店を目指すことにします。

こちらも教えて頂いたわけではないのですが「すんき」の幟旗が立っていたので立ち寄りました。道の駅内にあるグルメ工房の名前に期待が高まりましたが、ただの工房のようで食堂ではありませんでした。何を作っているのだろう??
次のお店を目指すことにします……。

道の駅日義木曽駒高原です。乗鞍高原に向かう途中にあり、そこそこ大きな道の駅なので今度こそ期待できます。
が、食堂は今月末まで長期休業していましたorz
つ……次のお店を目指すことにします……。

来た道を10kmほど戻って道の駅木曽福島です。戻ってというのは、こちらのほうが観光案内所からは近いのですが、乗鞍高原とは反対方向になるのでパスしたからです。しかし、観光案内所で二番目に教えて頂いたのはこちらでした。

そしてようやく出会うことができました!
こちらが「すんき蕎麦」です。木曽御嶽山を眺めながら頂きました。食レポはセンスのカケラもないのでやめておきます(笑)。
素直に観光案内所に教えて頂いた通りにしていれば、もっと早く食べることができましたね。
すんき蕎麦探しで時間を大幅に使ってしまいました。まぁ、予定はないので良いのですが。
乗鞍高原に早く行ければ明日に予定してるドール撮影だけでもやってしまおうかと考えていたのですが、もう無理そうです。ロケハンくらいはできるかな?

乗鞍高原には何度も来ているのですが、気になる場所があるのでロケハンをしておこうと行ってみたところ、雪が盛られて通行止めになっていました。この先は除雪もされていません。スノーシューなら入っていけそうですが、その場所までは距離が多すぎます。
ロケハンなので「行けない」ことが分かっただけでも収穫は大きいです。

さて、残すは温泉と夕食です(先程昼食をとったばかりですが)。三連休の中日ということもあって駐車場にはクルマがたくさん。浴場は入場制限をしていて番号札による順番待ちになっていました。

そして風呂上りにはこれ! ここに来たら必ず食べている「野沢菜ピザ」です。野沢菜大好き人間なので、これは外せません。信州りんごサイダーと一緒に頂きました。

本日のお宿です。前日よりも少し散らかっています。お土産なんかも早くも買ってしまっていたりと、物も増えています。
というわけで、今回のれぽ~とはここまで。次のれぽ~とへ続きます。