2008年04月14日
ブローバイ還元装置の考察 その2
ブローバイガスを大気開放にするメリットは「その1」にて説明しましたが、
その弊害(デメリット)もお伝えしておかなければなりません・・・・
その昔、技術がまだまだ乏しい時代はブローバイの処置、
いわゆる還元方法がいまいちで、多量の未燃焼ガスによってパワーロスも多いし、
オイルにもガソリンが浸透しやすいので、エンジンパーツの寿命やオイルの寿命も、
現代の車より遥かに短い環境でした・・・・
それが近年のエンジンは様々な工夫から、
クランクケース内の圧力をコントロールし、
エンジンの効率の向上や、耐久性、オイルの寿命にも多大に貢献しています!
近年のエンジンはクランクケース内の圧力が通常はゼロもしくは
若干負圧になるように綿密に設計されているものがほとんどです!
もちろん高回転・高圧縮などの環境では圧力は上がりますが、
まずは純正のブローバイ還元装置(ライン)が
エンジンの運行環境に重大な影響を持ってる事を認識する必要があります!
そんな高度な設計をされたエンジンのブローバイ系統を大気開放すると、
まずはケース内の圧力が設計値とずれるのは当然なのです!
近年のエンジンはそのほとんどに2系統のブローバイ系統があります!
エボの4G63エンジン(エボ4~9MR)を例に取ると、
エンジンルームに向かってヘッドを見たときに、
右下からサクションにつながるラインがメイン!
ヘッド左上からサージタンクにつながるラインがサブラインとなります!
どっちがメイン、どちがサブかはメーカによっても考え方が違うみたいですが、
基本的にはサージタンクが正圧時はメイン、負圧時はサブラインとしてるようです!
構造を先に説明しておく必要がありますが、
メイン系統はヘッドからガスをサクションへ送るのみ!
これは正圧時のみで、
ヘッド内が負圧なら逆メイン系統はサクションからヘッドにエアを
吸い込んでいます!
逆にサブラインはサージタンクにつながっていますが、
ライン内にPCVバルブを設置し、低負荷運転時やエンジンブレーキ時は
負圧によりヘッド内のガスを吸い込み、サージタンクが正圧時は
バルブが閉じることで、ラインを閉鎖します!
そうすることで、正圧時は必然的にメイン系統しかガスが流れない仕組みです!
PCVバルブとはワンウェイバルブの一種で、内部にボール弁があり、
エンジンに合わせて適度な抵抗で設計されているので、
仮にエアの流れる方向でも多大なブローバイガスやオイルの進入を防いでいるので、
通常のワンウェイバルブでは代用できないパーツです!
ここまで言えば勘の良い方はお分かりかもしれませんが、
サーキットのみを走る競技車両ならともかく、
一般的にはエンジンの運行状況はその大半がサージタンク圧が負圧なのです!
エンジンのかかっている時間で割合計算した時に、
常にブーストかけっぱなしだよっていう環境はありえまえん!
だから常にサブ系統を利用し、その負圧でヘッド内の圧力を下げることで、
近年のエンジンは成り立っているのです!
ブローバイのラインを純正から改良することは、
そういったエンジンの設計を無視した行為だと言うことを
まずは認識しないといけませんね?
次回は具体的な処置例です!
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Posted at
2008/04/14 10:33:14
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