流行り歌と記憶

歌はいいねぇ、リリンが生み出した文化の極みだ・・・

Girls On Film / Duran Duran

蘇る記憶・・・年上の女性

高校時代、親や姉にもらった小遣いを全てレコードに注ぎ込んでいた私の楽しみといえば、放課後レコード屋で暇を潰すことで、新しいレコードが入荷となる日には必ず顔を出していた。とはいえ田舎のレコード屋ゆえ品揃えはとても貧弱。自分が欲しいレコードが入荷することも滅多になかったので、予約あるいは注文取り寄せで買うことが多かった。

年上の女性Aさんとの出会いは高３の春。彼女はこの春からこの店で働き始めていたのだった。

Aさんとはすぐに仲良くなれた。Aさんも洋楽ファン。そして私の少しばかりマニアックな注文にも興味を持ったようで、放課後店長の目を盗んでお喋りすることが多かった。

そうこうしている内に季節は冬の受験シーズン。私も何校か受験し運良く第一志望の京都の某私大に合格。晴れて親元を離れ自由の身となり大学生活を満喫していたが、Aさんとは帰省の度にお店にお邪魔する程度だった。

年が明け大学二年の春、Aさんは仕事を辞め急遽京都で暮らし始める。私は年上ということもあってかAさんに対して恋愛感情というものは持っていなかったのだが、Aさんの思いは少し違っていたようだった。

当時バイトと麻雀に明け暮れたいた私は、初めて出来た彼女と会うのも週に一回あるかないかというぐらい忙しく、Aさんの相手をする時間もほとんど無い状態。それでも何とか時間をやりくりし一緒に食事やコンサートに行っていたのだが、だんだん鬱陶しい存在になってきた。

そしてある晩、Aさんに呼ばれてアパートに行った。当時流行っていたMTVを観ながら二人でビールを飲んでいると、急にAさんは一本のビデオ・テープを私に見せ「コレ、どう？」と私に尋ねた。
そのビデオの曲がDuran Duranの「Girls On Film」。

Duran Duranの１stアルバムのオープニング・ナンバーで、ビデオの内容はやたらと裸のモデルが出てくるHなのも。当時童貞だった私はAさんの意図に困惑すると同時に、この場の雰囲気に堪えられなくなり適当な理由をつけて帰ろうとした。
Aさんの瞳は微かに潤んでいた（ように見えた）が、私は逃げるようバイクでその場を立ち去った。

私がAさんと会ったのはこの晩が最後だった・・・・。



追記

今回のブログは、現在サボタージュ宣言中のあかねのかいぬしさんのブログにインスパイアーされて書いたものです。