
よく、RB26DETTは出力が抑えられている、封印されている、と言われるが、果たしてそうなのか、という事を考えてみる。
先に、弱点も含めて吸気側からまとめてしまうと
・フェンダー側からの吸気口が塞がれている。(消音のためという意見有り)
それ以前にそもそもあのインテークボックスでは全く容量が足りない。効率面では、現車合わせ必須にはなるが、特にHKS等のキノコ型の効率が良い。
・設定ブースト圧が低い。
・インタークーラーパイピングがゴム製。抜けやすい、変形し易く、レスポンス低下等も招く。
・インテークマニホールド、スロットルのガスケットが紙。「何もしなくても壊れる」
・インジェクター容量がイジっていくには少ない。シングルホール。詰まってくる。
・燃料ポンプの容量も辛い。劣化して吐出量が減ってくる。
・点火プラグの熱価がやや低い。
・カムシャフトのオーバーラップが0度。無し。N1は5度。
・溶湯鍛造ピストンが1.2kg/c㎡で耐えられるかどうか。N1ピストンでも同じ。寧ろ耐久性が…。
・クラッチがイジるには容量不足。
・オイルポンプのインナーギア強度不足、油圧やや不足気味。
・Gに対するオイル供給の限界が低い。
・エキゾーストマニホールドの内部に絞りが付いている。N1は無し。
・セラミックタービンはレスポンス重視でパワー対応ではない。N1はメタルだが、最近の他社メタルタービンと比べても、特段ノーマルのセラミックタービンだからと言ってレスポンスは…?
・アウトレットパイプも最適化されていない。
・排気系も容量不足。純正オプションの某スポーツマフラーも、流石に純正オプションだけあって完全に糞詰まりレベル(今のヴェルディ○はそう問題ないらしいが)
・全体的に冷却系の容量不足。オイルクーラーも踏むなら必要。
これらに加えて、20年前後という年月による弱点。
・燃料ホース、燃料フィルター、燃料ポンプの経年劣化
・エアフロメーターが古い。
・その他全体的にホース類の劣化。
個体差や時期による差
R32初期のクランクの先端形状、特に第二世代終盤のN1(ニュル)ブロックに認められるブロックのバリ、強度のやや低い(32後期〜33前期、34後期〜生産終了後暫く、また生産移管間前後)外れブロック(現在供給されている、特にN1ブロックは金属も変更されていると噂されており別物。因みにGTブロックも品質はかなりバラつきがあるとの噂で、下手すりゃ普通に割れる)、カム角センサーの劣化、故障、熱に弱いパワートランジスター、改良した筈の弱くなったR34ダイレクトイグニッションコイル(32、33よりも耐久性が低く、ECUでも32、33よりも34のドエルタイムは一部短縮)、ハーネス類etc...
因みにイジっても色々とノーマルなら排ガス等車検に通らなかったりするので、その点だけを見ると違う、という事になる。
とはいえこの見方は明らかに偏っているが。
お手軽コースとして有名なのは、
1.ブーストアップ、2.ポンカム、3.ECU現車合わせ、4.吸排気系
これらが上がると思う。
しかし、これらには別のボトルネックが存在する。
クラッチ、タービン、インジェクター
これらの中で、更にボトルネックを探すなら、形式にもよるがタービン若しくはクラッチ、となる。400馬力がクラッチ強化の目安(32のレース仕様車は550馬力以上で、クラッチはトリプルプレートにして販売されていた)、理論上は約444馬力がインジェクターの目安(交換していない場合、経年で詰まっていてそんなに吐出出来ないため、リーンになってブローする虞れあり)、ブーストアップはセラミックタービンで距離乗っていると、少し上げても危険。
BNR34のタービンなら多少は大丈夫だけど、それも劇的に上げられるわけじゃあない。
因みにそもそもピストンがノーマル、N1の溶湯鍛造だと1.2kg/c㎡くらいが限界。1.1kgf/c㎡くらいで運用すべき。
それ以上なら鍛造ピストンが必要だが、オイル消費、ブローバイ等、街乗りをある程度犠牲にする必要が出てくる。
確かに、N1カムのオーバーラップ5度を除いて、基本的に標準状態ではカムのオーバーラップは無い。但し低速トルクや高回転での充填効率を考えるとこれはこれであり。
おいしいとこ取りするならV CAMかNVCSぶち込めばいいが、これは封印というか単純に改造のような気がする。
因みにV CAM入れると下から鬼トルクな上に踏むと即ブーストというアホみたいに楽ちんになるが…高い。
因みにオーバーラップは高回転域では充填効率を落とし逆にデメリットになるため、可変にして中回転でオーバーラップを大きく取り、高回転域ではまた戻す、というのは実に理に適っている。オーバーラップも回転数に応じて本来は調整すべきではある。
因みに東名ポンカムAとR35の3点セット流用で、安全性を考えてノーマルブーストだと約350~360馬力くらいか。
ちゃんとR35を参考にしてセッティングを取ってくれる店(非常に少ない)だと、排ガスも低速トルクも含め美味しいとこ取りできる。
この仕様でもノーマルから比べると下からトルクがかなり出て、乗りやすく相当刺激的なのでこれくらいで止めておくのがオススメかもしれない。コスパ的には一番いいかも。クラッチも扱いやすいし。
これで60万くらいか…
ただね、先ずは20年選手ってのがザラなのでエンジンまわりはやっておいた方がいいと思う…ホース類とか…
80万くらい掛かると思うけどエンジン降ろして、オイルポンプの社外品導入、バッフルプレート、ホース類、インテークガスケットの交換は「最低限」必要かと…
ノーマル維持でもこれはしとかなきゃならない。
インタークーラーも考慮していいか。冷却系は大丈夫か。
金掛かる?
いや、20年選手の車を信じて、「アクセルを踏む」って無理やで。命知らずなだけやで…
因みに私自身、R35流用、ポンカム仕様でブースト0.9に上げたらインテークパイプのガスケット飛んだからな。
ガスケットで済んで良かった、と思っているくらい。
因みにヘッドガスケットやブロック強度は実はそんなにボトルネックじゃない。
キチンと冷却しているかどうか。コールドスタートでいきなりブーストブチ込んでいないか等。扱い方次第という意見。そもそも先にピストンやタービンが逝く。
標準ブロックだからと言って扱い方が正しければ特に臆することも無い。寧ろスーパーフロントヘビー車には軽さが武器になる事があるかと。
但しボーリング等を行った場合、ハズレブロックかどうかが響いてくる事がある。
排気系だと、メタル触媒だからと言って最近のメタル触媒と排気抵抗が同じである訳が無い(丸っきりの別物レベル)ので、交換も視野に入る。
R35エアフロ流用だとECUのVQマップが合わなくなる。書き換え。
因みにエアフロレスとか社外コンピュータはメリットもあるが、
純正の許容範囲の大きさや、内部のデータを考えると全て良いとは言えない。
また、ごく稀に純正書き換えが出来ないがために社外に手を出している場合や、頑なに現車セッティングを行わない場合にも何か問題や技術面で不安点が残る場合もあるため店の選定にも注意。
社外コンピュータだと、別の店で関係無いような場所をイジってエンジン不調、となったりする事もある。
ECU書き換えというのは、量産では製品のバラツキを考慮した数値で満足させるのを、コストを掛けてオーダーメイドにする、という考え、作者の方向性を表すため、等の意味がある。
これらをクリアしました。さて次やりたいです!となると、タービン交換か。
人それぞれ。好き好き。
ピストンがN1、標準として、ブースト圧から回しきれるとなると、日産系メタルタービン、HKS GTIII-SS、Jing GT-Je辺りか。
GTIII-SSはレスポンスが良く、純正置き換えとして大幅に耐久性アップを図るには良いとの事。実際、すぐインターセプトポイントを越える。非常にレスポンスがいい。
GTIIIタービンは店がノウハウを持っていれば取り付けられる。
Jingに関してはJingでしか買えない、セッティング込み、というのは理由があるため、必ずJingに任せる必要がある。
旧GT-SSは実はもうちょっとブースト掛けたところが面白い、との事…
他のタービンもやはり、腰下ノーマルだと辛い、鍛造ピストンが必要、回すためのカムのプロファイル的にバルブリセスが必要になってくる、等と、街乗りを重視する人からはやや辛い状況になってくる。
RB26DETTをしゃぶり尽くすというのなら、
1.V CAM、NVCS入れて街乗り最速系統やねん!
2.POWERRRRRRRRRR!!(56歳英国人)、鍛造ピストン! メタルガスケットを入れてもっと大きなタービンを回すやで!
3.最早全部強化や!! 金は幾らでもある! 行くで! V CAM Proやねん! N1ブロック! 2.8L化! ビッグシングル!
ピリオドの向こうへ!!
「ママーあの車の中、カタツムリいるよー」
「見ちゃいけません!」
1くらいが変な消耗品が増えないギリギリでもある…との事。
それ以上は…
その車はまるでくるおしく身をよじるように走るという…
っていうかマジで他への負担が…